アルミンクの指揮は2019年すみトリでのベルギー国立リエージュPOの来日公演で、サンサン3を聴いて以来、その時はオケの調子が今一歩だったのでツェムリンスキー楽しみにサンパレスに参上です
博多駅到着天候回復
駅前でコンサートやってました
福岡県警音楽隊
ホール到着
2022年7月21日
福岡サンパレスホテル&ホール
九州交響楽団
第405回定期演奏会
アルミンク初登場! ツェムリンスキーの誘惑
Cond:クリスティアン・アルミンク
Vc:佐藤 晴真
【第1部】
チェロ協奏曲 ロ短調 作品104(A.ドヴォルザーク)
第1楽章 Allegro
第2楽章 Adagio ma non troppo
第3楽章 Allegro moderato
【ソリストアンコール】
無伴奏チェロ組曲第1番 サラバンド(J.Sバッハ)
【第2部】
交響詩「人魚姫」(A.ツェムリンスキー)
第1楽章 非常に重々しく
第2楽章 大きく動いて、ざわめくように
第3楽章 苦悩に満ちた表現で、広大に
今日は2本立てプロですがミュンヘン優勝の俊英である佐藤さんの、これまた名曲と名高いドヴォルザークのVc恊ですから、十分お腹一杯・・・大満足となりました
曲の説明は不要でしょう~一般的にはドヴォルザークはSyNo.9新世界よりで有名ですが、数々の弦楽4重奏なども作曲した重要作曲家のひとりで、そのNo.9のあと1895年に作曲したのが通称「ドヴォコン」の愛称があるこの曲で新世界よりと双璧をなす代表作ですね
アルミンクはその見た目のイメージどおり楽曲の構築もスタイリッシュでポイントは押さえつつも出しゃばらない、ソリストを支えつつもドヴォのシンフォニックな面はシッカリ前面に出すスタイル~So Good
第1楽章冒頭のClの第1主題の入りはまずまず、そして少しハラハラしながらHrの第2主題を経て、ややカデンッア気味に第1主題を奏でさっそう佐藤さんが登場
全くオケに負けない存在感を放ちながら第2主題を経て再現部へ突入、再現部からコーダにかけて堂々オケと渡り合いながらTuttiで終結
第2楽章ではやはりドヴォらしいメロを木管とVcが掛け合うなか徐々に盛り上がり、やや暗めの歌曲「一人にして」の主題がVcで歌われ、Hrが繋いだあとにVcが再度カデンッア風の変奏を奏でやがて静寂のなかへ消えました
第3楽章はもう圧巻のVcでドヴォらしい美しい主題を次々と展開し、やがてアッチェルされてTuttiへ突入して強奏のなかフィナーレ
佐藤さんはもう少し粗削りな部分もあるのかなと勝手なイメージを持っていましたが、成熟とか老練ではないけれど既に自分の確固たるスタイルで、堂々たるVc協を面前で披露されて思わずウナッテしまいましたぶら~ぼ~~
いや~素晴らしい演奏に初聴きでリサイタルをじっくり聴きたくなったのは久しぶりですが、福岡でやってくれないかなあ
さて後半はツェムリンスキーの「人魚姫」…レア曲になると集客がね
私も数えるほどしか鑑賞経験がなのですが、それもツェムリンスキーがアメリカ亡命のなかでスコアを喪失したことも一因で、近年の再発見を待った事情にもよるかな~
ともかく世紀末ウィーンを生きたマーラーとの交流もあった作曲家兼指揮者だったので、後期ロマン派ど真ん中という位置づけでしょうか~私もそうだったように来日公演=ブルックナー&マーラーにどっぷり浸っていたおやじ族は偏った志向もあり日本ではうけないのか~
この交響詩はタイトルのとおりアンデルセンの童話「人魚姫」を題材に、1903年作曲1905年自身の指揮による初演を経て一度歴史の中に埋もれたわけですが、ある程度の年齢の日本人なら知っている人魚姫が人間の王子に恋したが叶わず悲恋のうちに海に身をなげる話です
第1楽章は人魚姫と王子の出会いから美しい声と引き換えに人間になり王子と再会するが、王子は溺れた自分を助けた姫ではなく目覚めた時に居合わせた女性と婚約する場面、コンマス扇谷さんのVnソロによる人魚姫の主題、嵐と船の難破、姫との出会いが美しいメロとまるで映画音楽のような劇的表現で展開されました
第2楽章は自分の声と引き換えに魔女により人間になった人魚姫~王子と再会しその館で暮らすも王子は別のい女性への結婚へと進み苦悶する人魚姫、そう王子が他の女性と結婚してしまうと人魚姫は泡となって消えゆく運命
揺れ動く人魚姫の葛藤と助けたのは自分だと告げたいが声を失ってそれもできない心情が迫ってきます~ClやOb・Flが活躍するなかHrの躍動や金管の挿入はたまたVnやBassClの哀し気なソロ、一度Tuttiによる頂点を形成するもHrの物憂いソロ(外すな~~)からEND
第3楽章でいよいよクライマックス~姉たちが髪と引き換えに手に入れた魔女のナイフで王子を殺しその血を浴びて人魚に戻るか、それともそのまま王子が結婚し自分は泡と消えるか、苦渋の決断が刻々と迫る刹那を最初は静かにはじまり、やがて決然と海へ身を投げたが風の精となって救済されます(どこかワーグナーぽい)
この楽章も静かに始まるがやがて快活な主題を経てClの物静かなソロとVnソロの会話、HarpやFlを挿入しながら美しい弦部のアンサンブルが絡み合い、Hrが荒々しく介入するとやがて静寂なひと時が流れます
そしてうねる様に弦部から始まるクライマックスが徐々に楽器を加えながらコラール風に主題を提示し、Vn・Tp・BassClがソロを奏で柔らかいTuttiによるロングトーンで人魚姫は天へ召されました
九響Twitterから木村さんを囲んで
交響詩というもののツェムさんはやや絶対音楽的作風で初演ののちに4楽章の交響曲に改編しようとしたとも~その点からかリヒャルト・シュトラウスなどの作品と比してですがそれっぽくない部分というかね・・・・
ともかくHrを除いて盤石の感も出てきた九響ですが、今度は抒情交響曲もお願いします
そうそれから今回がラストコンサートとなった1stVn木村紀子さん永年のご活躍ありがとうございました~Vcの鈴木さんみたいに延長はないのかなあ