四月大歌舞伎 夜の部『於染久松色読販』『神田祭』 | Blog ばったもんのめっけもん

四月大歌舞伎 夜の部『於染久松色読販』『神田祭』


2018年3月・2021年2月と今回3度目。
初見は、自分が歌舞伎と出逢った頃。バレエでスペイン舞踊を練習してたものの型が決まらず、見栄を切るメリハリを観たいと思い立って歌舞伎(今思うと突飛な・・)。実際は参考にしようとするだけでも畏れ多い芸の世界だった。以来、俄かに歌舞伎好きになっている。


『於染久松色読販』
「ニザ玉」悪玉夫婦。すんごくふてぶてしい玉三郎嫁と、美脚まくりまくりの仁左衛門旦那。悪が清々しくて、たびたび客席から笑いと拍手が起きる。過去の公演では、歌舞伎座公式が「極悪夫婦が活躍する物語」「色気ある悪に満ちた喜兵衛」って評しちゃってた。  
コント調に事態が転がっていく終盤、悪事がバレたら開き直ってなお一層ふてぶてしくなる玉さまが素敵すぎる。「惡の華を咲かせまくってめちゃめちゃヒールな前半からの顛末が最高・・!」と終演後に思わず笑い合った。


『神田祭』
ふたりが舞いながら台詞無しで、ねぇねぇちょいちょいうんうんの仕草を交わすのが楽しい。50年モノの人間国宝カップルが円熟した色気をまき散らしつつ、”付き合って1年めです”みたいなキュンキュン感があるのがどうかしてる(褒めてる)。玉さまが自分の簪を抜いてニザ様をツンツンして簪の両端を二人で持ちながら目配せして舞うとか、天下一品のイチャイチャと美が凄まじいのがひたすら続く。若人たちの宙返り連発など、祭りならではのアクロバティックな賑わい。
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『於染久松~』も『神田祭』も、最後の最後、花道で御二人が長く芝居をしてくださるので、0.01秒でも長く観たいお芝居。


たった35分の休憩挟んで、全く別人の2演目を拝めるの凄くない??!?!と毎回思う。
「日本一のええ男とは思えないですが、正直、ちょっとは自惚れていないと照れくさいですよ」って、日本一のええ男が自覚的にええ男ってさらに上書きしてくれてるええ男が拝めます。