歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」『マハーバーラタ戦記』 | Blog ばったもんのめっけもん


鳳凰丸の紋が染め抜かれた櫓が掲げられる、歌舞伎座「吉例顔見世大歌舞伎」。


昼の部は、『マハーバーラタ戦記』。世界三大叙事詩だけに外国人客もより多かったような・・(インバウンド復活で昼はこれが普通なのかな)。
滅びの神・シヴァが開幕に語る「人間たちが始める戦争で世界が滅ぶだろう」という言葉。それを食い止めるため、太陽神は「慈愛に満ちた子を人間界へ送り救世主に」、帝釈天は「武力でもって世界を淘汰する存在を」と。太陽神を父に持つ迦楼奈は慈愛の心で戦を収めようとする一方、帝釈天の子、阿龍樹雷は武力をもって争いを止めようとする。
二つの勢力が権力争いをし、大戦に向かう人々の愚かさが描かれる『マハーバーラタ』の成立は、紀元前4世紀ごろから紀元後4世紀とされる。その頃から変わらない・・特に世界情勢が「新しい戦前」と言われる今。


◆マハラーバタ戦記
https://spice.eplus.jp/articles/323509
https://www.kabuki-bito.jp/news/8540

・「人間とは」「戦争とは」を、叙事詩として説く。
・戦う理由
・「役割」の話
・照明・美術・演出の功名さ
・古典歌舞伎ではあまり姿を見せない奏者が、見える配置に。楽器も異なる。
・「シャクティ―!」が、セーラームーンの幻の銀水晶てきな感じで出てくる
・インド映画が日本でも認知度を高めつつあり、且つ、世界的に「新しい戦前」と言われつつある今のタイミングでの再演


・10年くらい前にヨガ・ティーチャーtrainingでヴァガバッドギーターを読んでの論文が課題だったときは、まずは登場人物が多すぎて物語を通じての教えを受け取る段階では全くなかった
・『鎌倉殿の十三人』について三谷幸喜さんが、複雑な構図を「北条家は磯野家で、マスオの死後にカツオとワカメが波平を追い出す話」と仰ってた。それくらい簡潔に整理できたら、もっと面白く読めてたな‥と思ってたので、当時の私に、歌舞伎『マハラーバタ戦記』を観られるよって伝えてあげたい
・現代語でわかりやすい一方で、伝統的な歌舞伎の手法を要所要所入れ込んでくる
・他ジャンルの歌舞伎化は、最近話題になることが多い(ナウシカ、FF、刀剣乱舞etc.) 大胆に歌舞伎に置き換える、もしくは歌舞伎だから却って伝えられる
・展開が早かったり神話独特の難解な場面があるので、イヤフォンガイドがお勧め。全く物語を知らない人でも、ガイドが丁寧だったので、楽しめたと。
・神様たちのド派手な衣装が圧巻。RRRを参考にしたという踊りやインド音楽に、歌舞伎の要素もありの。
・壮大な物語をここまで落とし込む凄さと、それでも大味にならずに要所要所に、教えとなる言葉やエピソードが。