ココヘリの利用規約違反に注意 | がんちゃんの雪山讃歌

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石川の山スキーヤーがんちゃんが登山、山スキーを中心とした日常生活や山への想いをつづります。
ヤマレコもやってます。(HN:Sanchan33)

このブログの読者の方にとっていまさら「ココヘリ」の説明は不要だと思うが、会員制の遭難者捜索サービスのことだ。

登山者が発信器を兼ねた会員証を携帯しておけば万一の時にヘリ等から要救助者を発見、救助してくれるという頼もしいサービスである。

 

そんなココヘリのサービスに関してSNS上で誤った情報が拡散されているということで話題になっていた。

具体的にはSNSの「ココヘリはヘリ出動しなかった」との投稿をきっかけに、「ココヘリって飛んでくれないの?」「残念だ。がっかりした」といった声が広がってしまったようだ。

 

遭難者を見つけてくれて更にヘリで救助してくれるところまでワンストップで価値を提供してくれているのにヘリを飛ばせないなら意味がないじゃないか、という意見。確かに…と思っていたらココヘリから下記のようなメール(一部抜粋)が届いた。

 

残念ながら登山計画をご家族や自治体もしくはココヘリに共有していない状態で遭難してしまったココヘリ会員さまの事故が、直近1カ月で2件発生いたしました。
内1件は会員証(発信機)さえも携行されていない状況でした。
その事案において、ここ数日、一部SNS上で「ココヘリはヘリ出動しなかった」との投稿をきっかけに、「ココヘリって飛んでくれないの?」「残念だ。がっかりした」とのお声が広がっています。
実際には、「飛ばなかった」のではなく、通報当日は該当山域が天候不良だったために、公的救助ヘリ及びココヘリの民間提携ヘリは「飛べなかった」というのが事実でした。
一方で天候回復が予想されていた翌日早朝から一分でも早く捜索活動を開始できるように、通報当日には民間提携ヘリを京都府から120分かけて静岡県のヘリポートまで飛行させ、出動待機=スタンバイさせておりました。

 

なんだ、「出動しなかった」んじゃなくて「天候不良のため飛べなかった」だけでちゃんと準備してくれてたんだね、というのが実態のようだ。メールはその先も続いていた。

 

なお、ココヘリ利用規約第4条には
下記①②③に該当する場合、当社は会員さまに対して捜索費用の全額またはその一部をご請求することがある旨の記載があります。

①下山連絡の不徹底
②登山届内容の記載ミス
③会員証の不携行など


したがって今回のケースでは民間ヘリの出動費用を当該会員さまにご請求することになっております。
ただ、この案件も含め、過去にもこのようなケースが発生していますが、
これまでココヘリから実際に会員さまへ費用請求をしたことはありませんでした。
なぜなら捜索ヘリの費用は一個人が支払うにはあまりにも高額なため、
資金を有する企業体=ココヘリが負担せざるを得ないという判断があったからです。

一方で、きちんと規約を守って登山を楽しんでおられる大多数の会員さまからお預かりしているお金を無駄に使用しているという葛藤も抱えてきました。
こういった事案が頻発すると、今後は規約通りに費用請求を行うことになるかもしれません。

なるほど、捜索するための前提を満たすために、あるいはスムーズに捜索するために下山連絡や登山届、会員証の携行はしっかりしてね、ということだろう。仮にこれらの条件が満たされていなくてもこれまでは費用請求してこなかったらしい。規約違反しても好意で動いてくれていたということだ。確かに実際は下山連絡を忘れることも、登山届の内容と違った行動をすることも、会員証を忘れることもあるだろう。うっかりミスなのに救助は有償です!というのはなかなか手厳しい。とはいえビジネスでやってる側面があるわけだから有料にしてもおかしくはない。

あまりにも不備が多いと当然有償化されるだろうし、もしくは会費が全体的に値上げされてしまうことだってありうる。保険の告知違反みたいなものだな。

 

ココヘリが思ったよりすごくしっかりしたサービスだと思わせてくれる情報も添えられていた。実際に救助にあたった際の社内でのやり取りだ。

社内連絡ツールでのやり取り▼

https://hitococo.com/cocoheli/pdf/timeline_0402.pdf

生々しいが言葉遣いとか細かい点も含めてオープンにしても恥ずかしくない取り組みをしていなければ普通は公開できるような情報ではない。

昨日のブログに書いた槍ヶ岳山荘の情報公開もそうだが、情報の非対称性を排除することは気持ちよくサービスを受けるためにとても大切なことだと思っている。

 

ココヘリは山で事故に遭った時の心強い味方だし山行中に安心感も提供してくれる。