日本開国のシナリオを作った中心人物、アーロン・パーマー。
アーロン・パーマーは、ニューヨーク・マンハッタンに法律事務所を構えていた。
彼が「対日戦争計画書」〔1849年9月17日)をクレイトン国務長官に提出してから、ペリー提督を司令官とする日本遠征計画が具体化するまで、およそ3年の月日が経っています。
国内世論もすでにこの計画を支持することで一致していました。
新しい大統領も国務長官もパーマーの提案の本質をよく理解しています。日本遠征計画はあくまでも拡大するアメリカの将来にとって重要な東アジア、とりわけ支那大陸との交易ル-トを確保することです。
安全な太平洋航路の確立です。
戦争も辞さずとするパーマーの『対日戦争計画書」は、日本の牡蠣の殻から
引きずり出すには、それほどの覚悟が必要だと精神論を述べているにすぎません。
日本に対して驚くほど好意的な記述が目立ちます。
・エネルギッシュな民族で、新しいものを同化する能力はアジア的というよりもむしろヨーロッパ的とも言える。
(略)
・名誉を重んじる騎士道のセンスをもっており、これは他のアジア諸国と全く異なる。
(略)
・支那に隷属することもなく、外国に侵略されたり植民地されたことがない。
パーマーは「日本は東洋におけるイギリスとなるであろう」とまで言い切っています。
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パーマーのペリー遠征に向けた世論操作、彼と東部エスタブリッシュメントとの繋がり等々、関係者の動きを点描しながら、日本に開国を迫ったアメリカの真意を明らかにしてゆく。
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