Led Zeppelinが1976年の春に発表したアルバム"Presence"の1曲目"Achilles Last Stand"の出自の一つは,彼らが1972年12月〜1975年5月にかけてライヴで,"Dazed and Confused"を演奏した際に含有した一部分に由来していることは,夙に知られております。
それは,所謂ヴァイオリン・ボウに入る直前の部分で,コード進行が主にEmとC(add9)で構成される部分(ギターのアルペジオで始まる3〜4分間の演奏)に当たります。
↑件の部分は,08:35〜 この日の演奏で含有されているのは,"Woodstock"
この部分は,このコード進行とは全く無関係な他者の曲の歌詞が,Robert Plantによって(殆ど無理矢理!)乗せられることで,また夙に有名です。
因に,この部分に使われた他者の曲は,以下のごとあります。
1972年12月〜1975年2月中旬,1975年5月の一部 "San Francisco"
1975年2月末〜1975年5月 "Woodstock"
例外
1975年3月末 "For What It's Worth","Spanish Harlem","Feel Like I've Been Loving You"
気圧が些か低くなっている可能性を否定できぬかもしれませぬ。この季節に激烈な風が吹いていますと,ついつい『春の嵐』などと思い込んでしまうこともありがちです。
そして,気象条件とそのときに聴く(聴いた)音楽にはたいへんに密接な関係があるのではないか,などと思うのですが,詳細については省略させていただきます。
幾重にも入り組んだ倍音の多種多様体が,『春の嵐』の最中に南天の鉄塔の如き音の建造物ば現前させた可能性があります。
と申しますのも,本日の夕刻時,『春の嵐』の最中にLed Zeppelinのアルバム"Presence"を久方ぶりに聴いておりましたところ,何だかぞわそわと身体の中や視床下部内に,新たな多種多様体が浸透して行くのを感じたのです。
因に,Led Zeppelinのスタジオ録音版のアルバム(1982 Codaは除外)とその強度を列挙してみますと,ご覧のような結果になります。
1969 Led Zeppelin ★
1969 Led Zeppelin II ★★★★
1970 Led Zeppelin III ★★★
1971 Led Zeppelin IV(Untitled) ★★★★
1973 Houses of the Holy ★★★★
1975 Physical Graffiti ★★★★★
1976 Presence ★★★→★★★★★
1979 In Through the Out Door ★
その音の印象をとても大雑把に記述するならば,中低音寄りだった"Physical Graffiti"に対して,"Presence"は中高音にピークがあり,煌びやかと言ってもよいような倍音が豊穣に含まれているような印象を贈与されるケースが多いように思います。
その典型的な例は,1曲目の"Achilles Last Stand"に於ける(幾重にもオーヴァーダビングされた)ギターを中心とする各楽器の音質の多種多様性,並びに,旋律・リフレイン・リズム・奏法などの組み合わせによって齎される多種多様体,それらの全てが一塊となって,そこに所謂一つの高度を備えた建造物の如きもの(こと)を創出しているかのような印象を,聴くものに対して贈与する可能性があることが指摘されています。
『春の嵐』のご到来を感じさせるあやしげな空模様(所謂「薄晴れ」)
つまり,「病は気から」などとよく申しますが,またまた大雑把に言ってしまえば,その音が奥行きを感じさせる"Physical Graffiti"に対して,"Presence"は高度(ひょっとすると南天の鉄塔?)を感じさせるような気がするのです。
(地中に潜り込んで行くような)中低音は奥行きを感じさせ,(倍音が豊穣な)中高音は高度を感じさせる,と言い換えてもよいかも(鴨)しれませぬ。これは,もちろん優劣の問題ではありませぬ。
高度を感じさせることに関しては,1曲目の"Achilles Last Stand"以外では,6曲目の"Hots On For Nowhere"と最終曲の"Tea For One"に,とてたまに顕著ではないかなどと考える次第でごわす。
末筆となりましたが,このアルバムに於いては,レイクプラシッド・ブルーのストラトキャスターが大活躍しております。
梅が咲いておったと思うたら,常に既に桜が咲いております。
なるほど,ほど……。