ジミー・ペイジと「レイクプラシッド・ブルー」のストラトキャスター | Sancantion【喰(SHOKU)レーベル】アルバムリリース情報!

アメリカ合衆国のニューヨーク州にレイクプラシッドという自治体ばあります。1932年と1980年に冬季オリンピックが開催されたことで夙に有名なところらしいです。

 

ところが,オリンピックとは全く別の,もの(こと)でその名称が使われていることを数十年前に知ったったのです。

 

 

それは他でもありませぬ。フェンダー社の主にストラトキャスターというギターのボディの塗装の色のひとつに,「レイクプラシッド・ブルー」という素晴らしか色があるがです。

 

 

レイクプラシッドには,プラシッド湖という湖ばありますが,その湖面の色の表象がギターのボディの塗りに使われていることになるわけです。

 

ところで,Jimmy PageがLed Zeppelinのコンサートで,初めてストラトキャスターを用いたのは,1975年5月18日のEarl's Court Arena(London, England)に於けるコンサートであった,という情報を,ほぼ十年前に入手したことがあります。

 

そのストラトキャスターというのが,まさしく件の「レイクプラシッド・ブルー」でボディが塗装されたギターであったらしいのです。

 

 

ブラック・ドラゴンスーツ着用でStratocasterを弾くJimmy Page(Tight But LooseというLed Zeppelin Fanzineのサイトの画像であったと記憶)

 

何分にも十年前のことですので,詳細ははっきりと記憶しておりません。ただ,このコンサートでストラトキャスターが使われたのは,おそらく,"Over The Hills And Far Away"と"No Quarter"の2曲に限ってのことであった,という記述を自分で残しておりました。

 

因に,Jimmy Pageがブラック・ドラゴンスーツを着用したのは,1975年5月のEarl's Court Arenaと1977年のU.S.A.ツアーだけに限られるのではないかと思われます。しかも,1977年はホワイト・ドラゴンスーツが大半で,ブラックのほうは殆どなかったのではないかと推測されます。

 

何れにしても,この衣装でレスポールやダンエレクトロ,ツインネック以外のギターを弾いているJimmy Pageの姿は,超レアもの! と言っても過言ではありませぬ。

 

そして,それ以降は,1979年のネブワース(正確にはコペンハーゲン?)のコンサートに於ける"In The Evening"まで,ストラトキャスターがライヴで使われることはおそらくなかったと推測されます。

 

Stratocasterを弾くJimmy PageのTシャツ?(Tight But Looseという,Led Zeppelin Fanzineのサイトの画像であったと記憶)

 

では,何故(名瀬の嵐!)1975年5月18日に,それもたった2曲だけで,それまでコンサートでは全く出番のなかったストラトキャスターを用いたのか,という疑問が沸々とあたかも『秘密荘厳心』の如く沸き上がって来るのを,2022年の年頭に於いても抑えることが出来ません。

 

 

この日のセットリストは,烏賊のようになります。

 

Rock And Roll〜Sick Again

Over The Hills And Far Away

In My Time Of Dying

The Song Remains The Same〜The Rain Song

Kashmir

No Quarter

Tangerine

Going To California

That's The Way

Bron-Y-Aur Stomp

Trampled Underfoot

Moby Dick

Dazed And Confused(incl,Woodstock)

Stairway To Heaven

Whole Lotta Love/The Crunge〜Black Dog

 

同年5月24日のライヴ映像から判断しますと,曲ごとのJimmy Pageの使用ギターは,黒字がギブソン・レスポール(サンバースト),緑字がダンエレクトロ,赤字がギブソン・ツインネック,青字がアコースティック・ギター(マーチン)になると推測できます。

 

例えば,起こり得たこととしては,Rock And Roll〜Sick Againの間に,レスポールに何らかのトラブルが発生したとして,その場合でも,1973年のマディソン・スクエア・ガーデンの"Whole Lotta Love"の途中で登場する(メタリック)レッドのレスポールに持ち替えるのが自然と思われますが,もし,このとき(メタリック)レッドのレスポールが何らかの理由で使えないが故に,急遽,「レイクプラシッド・ブルー」のストラトキャスターを"Over The Hills And Far Away"で使うことになった,と考えることができるかもしれません。

 

そして,"Kashmir"では一旦レスポールに戻ったものの,まだトラブルが完全に解消された状態ではなかったために,"No Quarter"で再びストラトキャスターにチェンジ,"Trampled Underfoot"の開始時点に至って,トラブルが完全に解消されて,ようやっとレスポールが万全の状態で使えるようになった,と考えれば腑に落ちる感じがします。

 

とはいえ,以上は全くの机上の空論で,5月18日のブートレグを聴いた感じでも,レスポールに何らかのトラブルが起きたような雰囲気は感じられません。ということは,Jimmy Pageは最初から上述の2曲だけでストラトキャスターを使うつもりだった,と考えるほうが理にかなっているかもしれません。

 

で,それ以降1979年までライヴでは一切ストラトキャスターを使うことはなかったということは,ライヴ演奏時の感覚や操作感,音色などが本人にとってはあまり芳しくなかったということなのでありましょうか? 少なくとも5月18日のこの2曲をブートレグで聴く限りに於いては,演奏は全く悪くなく,音色も含めてとてもよか演奏だと思うのですが。

 

ちなみに,このストラトキャスターにはトレモロアームが装着されていたと思われますが,2曲とも,アーミングが用いられた雰囲気は,ブートレグで聴く限りに於いておそらくは確認はできておりませぬ。

 

 

なお,Sancantionは,何年か前に"No Quarter"についての言説を,烏賊のような形で残しております。