『レモンの歌』と"As Long As I Have You" | Sancantion【喰(SHOKU)レーベル】アルバムリリース情報!

Led Zeppelin2度目の米国ツアーは,1969年4月24日(木)に開始された可能性ばあります。

 

この瞬間から,Jimmy Pageは,テレキャスターから,後にこの御方のトレードマークとなる1959年製のレスポール(サンバースト)に持ち替えたと思われます。

 

 

まさしく,このときがNew YardbirdsからLed Zeppelinへの転換のときであった,と言ってよいかもしれませぬ。

 

April 24 Thursday,1969

Fillmore West, San Francisco, California

 As Long As I Have You (Incl,Fresh Garbage, Mockingbird, Bags’ Groove, Cat’s Squirrel, You Can’t Judge A Book By The Cover)

 Killing Floor (Incl,The Lemon Song)

 White Summer/Black Mountain Side

 Babe I'm Gonna Leave You

 Pat's Delight

 

この時期は,ツアーをこなしながら,その移動先においてセカンドアルバムのためのレコーディングも行う,というたいへんに多忙な日々を皆様方送っていたようです。

 

上述のセットリストはおそらくはコンサートの一部の可能性がありますが,カヴァー曲が目立ちます。

 

1曲目の"As Long As I Have You"は,ガーネット・ミムズはんという,2022年の現在御年88歳でご存命の御方の歌曲になりますが,Led Zeppelinのこの日の演奏は,有り余る無尽蔵のエネルギーの放出(はなてん)に尽きるとでも申しましょうか,荒っぽい中に,金剛摩尼宝頂楼閣級のとてつもないグルーヴが内包されております。

 

「あんたとともにおる’かがり」

 

この日,おそらくはベースアンプの調子が悪く,演奏開始後9分間くらいのところで,ベースの音が完全に潰れてしまい制御不能に陥っています。その後,ドラムスとヴォーカルだけで数分間間を持たせ,12分間過ぎからギターが入って来ますが,この辺りのギターとドラムスの掛け合いが,また鳥肌ものです。

 

ちなみに,ドラムスとヴォーカルだけの部分では,Plantはんが,アドリブで「機材が,つぶれてもうた! そのうち,何とかなるやろ!」と歌ってはるとのことです。

 

 

 

そぎゃんツアーの最中,おそらくはハリウッドのミスティック・スタディオ木の壁に囲まれた何とも言えない雰囲気のある一室に於いて録音されたのが,他でもありませぬ,(もしかすると,レはレモンのレ,で夙に知られているとは言えないかもしれぬ)『レモンの歌』"The Lemon Song"になります。

 

この歌曲こそは,初期型Led Zeppelinを代表する楽曲の一つと言ってもよか,と思います。というのも,この曲はスタディオ録音でありながら,ほぼぽぼ即興で演奏された(一部オーヴァーダブはあるとしても)のではないか,と思われるからです。

 

 

「レモ’ンの歌」

 

とりわけ,3分間経過辺りからのパフォーマンスは圧巻の一語です。ドラムス,ベース,ギター,ヴォーカルのコンビネーションがとにかく絶妙で,ぞくぞくするようなグルーヴ(鳥肌)を生成しておるがです。

 

この曲にはいくつかの引用("Killing Floor" by Howlin' Wolf)("Travelling Riverside Blues" by Robert Johnson)が含まれておりますが,それらの引用を些か内包するとともに,金剛摩尼宝頂楼閣級に拡張してしまうLed Zeppelinの力技に関しては,ただただ,カイカン!でありましょう。

 

 

 

 

 

ちなみに,"Travelling Riverside Blues"「川沿い旅の憂鬱」から引用されているのは,あの夙に著名な"Squeeze My Lemon"の一節になります。

 

 

 

そして,この"The Lemon Song"わたくしが夙に強調したいことは,エンディング前のアップテンポ部分のギターソロのバッキング側のギターの音色のことになります。

 

想像ですが,このバッキングのところ,Jimmy Pageはんは,おそらくワウペダルを中途半端な位置に持ち上げて,わざとこもった音にして弾いているのではないか,などと思う次第です。このような絶妙な音感覚が,またまたカイカン!なのでごわす。

なるほど,ほど……。