「夜明けのスキャット」と『食生活と人間』 | 【喰(SHOKU)レーベル】アルバムリリース情報!

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木曜日の午後のことでしたが,権阪駅の地下にあるだだっ広い喫茶室(所謂ティールーム)で,磯辺さんに会う約束をしておりました。その喫茶室は,通り抜けになっており,席に座ったり暫く立ち止まったりと言った動作を行わない限り,自由に出入りできる構造になっておりました。

 

そこで,ちょうど約束の15時30分に着いたわたくしは,ゆっくり歩きながら辺りの席を見回したのですが,磯辺さんはまだ到着していないようでした。

 

そこで,一旦地上に上がることにして,階段を昇り,駅の改札口前に出たときでした。

 

大体10mくらい先でしょうか。ゆっくりと歩く鉄筆さんの後ろ姿が眼に入って来たのです。一昨年の10月に訃報に接して以来,そのお姿を眼にしたことは勿論なかったのですが,後ろ姿だけで鉄筆さんやとわかりました。

 

 

"Trademark of Quality"となっていたつば付きの青い帽子を深めに被り,装飾のない臙脂色のジャケツを羽織っている姿は,まさしく鉄筆さんその人でした。

 

とてもびっくりして,てっきり一瞬時計(あるいはこの世)が止まったのかと思いましたが,すぐに自然とこの状況を受け入れていました。

 

そうです。鉄筆さんと磯辺さんは懇意にされていた(もしかすると,愛し合っていた可能性もあります)ので,「磯辺さんは鉄筆さんに会っていたので,約束の時刻になっても現れなかったのか」と妙に腑に落ちたのです。

 

鉄筆さんの後ろ姿を見ていたのは,時間にして「十数秒」と言ったところで,あっという間に雑踏に消えてしまいました。

 

ということは磯辺さんは,今は地下の喫茶室に来ていルールールルルーであろうと踏んで,階段を降りて再び喫茶室に向かいます。

 

ところが,喫茶室は常に既に蛻の殻で,跡形もありませぬ。まるでこの世(もしくは時計)が止まったかのように,誰もいないダダッ広い空間が拡張されているだけでした。

 

 

正確にはお一人(芥子色のスーツを着用した60代中盤くらいの男性)だけ存在を確認しましたが,その御方は帰り仕度(ちょうど終業時だったと思われます)をされていて,あっという間に姿を消してしまいました。

 

途方に暮れましたが,いたし方ありませぬ。このままこの場所に留まっても,時計(場合によってはこの世)は止まったままで,何時間経っても夜は一切流れることはないであろう,と同時に,磯辺さんには今後お会いすることはないのではないか,などと明確な理由もなく思ったりもしました。

 

この辺りで,話題を変えて,『食生活と人間』についての考察を僅かばかりではありますが,差し挟ませていただきます。

 

「なるほどザ・フライ」という蛭子能収さん(1947年10月21日〜)の作品で,環境庁の認可を得て活動している男性が訪問した家で,烏賊フライ(ジョルジョルイカではない通常の烏賊の可能性?)をごちそうになります。去り際に,「商売を忘れていた」という台詞を,男性はよし子さんに対して口にしますが,この「商売」が何なのかは一切明かされません。

 

 

その直後,よし子さんの夫(名称未設定)が帰宅しますが,訪問員の男性は,その夫から,塀越しに雑誌「フライデー」を前頭部に投げつけられますが,特に激高することもなく,家を後にするのです。

 

 

ちなみに,よし子さんのご自宅には,もうお一方,さやかさんという女性の御方がいてました。

 

以下は,あやふやな記憶になります。

たぶん1980年代に蛭子能収さんの作品で読んだ記憶があるのですが,滝の近くで,女性歌手がスキャットを歌っている場面が描かれていたと思うのです。その女性歌手の名前が,確か「由紀しおりさん」であったような記憶があるがです。

 

実を申しますと,2022年1月4日ころから,Sancantionは「夜明けのスキャット」"excremento del amanecer"の再アレンジに取り組んでおます。

 

 

【閑話休題】

ルールールルルー ランラーララーラー パーパーパーパーパパーパー アーアーアーアーアー ルールールルルー

Dm    C  C   Dm  Dm  Bb   F A Dm
愛し合う 二人の   時計は 止まるのよ

 

再アレンジを開始してから1週間ほどは,あまり変わり映えのしない感じで,今ひとつ・ふたつの出来といった感じでした。つまり,原曲の域からはみ出すことがなかなかできなかったのです。

 

どんな曲の再アレンジでもありがちですが,何か変化を付けようと原曲にないインストやエフェクトば追加したり,旋律やリズムば差し込んだりしても,どうにもこうにもしっくり来ない,ということがあります。はっきり言って原曲のままで何も変えないほうがよいという状況に陥ってしまうのです。

 

ところが,1月15日くらいから俄然おもしろうなって来たとです。

 

ちなみに,「夜明けのスキャット」の元MIDIファイルは,Macintosh内のPerformerを使用するよりも遥か以前,おそらくは,YamahaのC1というシーケンサーで生成された可能性が高い(タブン1990年前後)と思われます。

 

当初は,歌の旋律に4種類のインスト(メロトロン風フルート,撥弦楽器,鐘,西アフリカ風フルート)を,コーラスごとに一律にインストを変えて割り当てていたのですが,それだけではどうしても平板で単調になりがちでした。そこで,コーラスの部分部分に応じてインストをこまめに変えたり,場所によっては複合させたりすることで,三次元的な差異と拡がりを楽曲に付与する方向へと向かったことが,きっかけとなりました。

 

同時に,旋律にスケールにない装飾音を,やり過ぎにならないように,適宜差し込みました。こうすることで,原曲にないちとおかしげな雰囲気を纏わせることができるがです。

 

また,最後の仕上げとして,ドラムスに変化を付けるため,とりわけ最終コーラス部分のドラムスに2種類のドラムキットを割り当てるとともに,キックやスネア,タムの位置を,意図的にずらして,リズムにある程度突発的な変化を贈与するアレンジを施しました。

 

 

"excremento del amanecer (Abbreviated)"