おそらくは,去んじ40年近く前のことになります。実は当時はある程度の立ち読みは可能でした。書店で「知識人のレポート」(蛭子能収さん著作「私はバカになりたい」所収)を初見した際の衝撃は,タブン計り知れぬものがおました。
往時たまたま目にした雑誌の読者投稿欄で,妙齢の女性が,平積みになっていた蛭子能収さんの著書をつい取り上げて読み始めてしまったばっかりに,あまりの衝撃と快感に蝕まれて,しばらくその場から動けなくなった,という言説を読んだ記憶があります。その女性は,足が震えてしばらく歩けなくなるほどの衝撃に見舞われたということらしいのですが,詳細は言及を控えます。
2021年の秋を迎えて,「知識人のレポート」で,わたくしが何よりも気になっていることは,言うまでもなく『オーバーを売りに行った次の日』のことになります。
ちなみに,現在第二陣のキンモクセイたちが香って来ていると思われますが,断言は出来兼ねます。
そこで,たいへん僭越ではございますが,Sancantionが2011年2月にReaktorの自動演奏生成機能で制作した楽曲の名称として,『オーバーを売りに行った次の日』"Le lendemain je suis allé vendre"という文字列を採用させていただきました。
現在ではカフェ(仏キャフェ)などと通常は申しますが,往時は喫茶店(稀サテン),もしくはコーヒーショップ(あべ静江さんの楽曲「コーヒーショップで」に詳しい)と称することもあったようです。
そして,わたくしが何よりも好むのは,何と言いましても「ティールーム」なのです。
ところが,もう一つありました! 「キャンプストア」です。
岩崎宏美さんが歌唱して1976年に発表した「美しい夏」という,現在の季節に聴きますと思わずうるうるしてしまう曲中に,「キャンプストアでアイスティー」という歌詞がありますが,「キャンプストア」というものが何であったのかは,現在調べてもよくわかりません。ただし,少なくともそこでアイスティーが供されたということは,喫茶店の如きものを兼ねていたのではないかと推測する次第です。
ちなみに,この曲に登場する旅の御方は,アイスティーの氷を手に乗せて「冷たい」と泣いたことが,恋の終いのきっかけになったようなのですが,ことの真偽については言及を控えさせていただきます。
1972年ころに森本和子さんが歌唱した「二杯目のコーヒー」の歌詞に登場するのが,他でもありませぬ「ティールーム」になります。この曲につきましては,以前ここにも書かせていただきました。
抄録
「黄昏近いティールーム」でコーヒーのお代わりをしたのですが,旅の御方は一向に来る気配がありません。腕時計を見つめても,雨は降るし人は見るしで,わたし以外はみんな嬉しそ&楽しそ! そんな折り,ピアノの音がわたしに突き刺さります。時空間は,常に既に藍色に沈み,いつの間にやら「黄昏深いティールーム」に変わっておったのです,こわか!
間奏2 F G F G F Bb A7sus4 D7
"G major of the autumn end"「秋の終わりのト長調」は,2015年6月にSancantionが発表した5作目のアルバムになります。
アルバムタイトルは,前作の"illicit manufactured apple pie"「密造アップルパイ」と同様,大島弓子さんの作品「夏の終わりのト短調」にあやかって名付けられております。
5年ほど前に,Sancantionが多大なる影響を受けたアルバムをイカに書きました。
「知識人のレポート」の衝撃は,上述の音楽に接したときに勝るとも劣らぬものがあったとです。