和竿 鑢 ヤスリ等のこと | 惣治の日々

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「悠々として急げ」とは彼の巨匠 親父の呟き
開高健に憧れ・・江戸和竿に魅せられ
回顧録を兼ねて綴る
4代目竿治 参乃治会 惣治 

和竿作成には、切り出し小刀に次いで、鑢、ヤスリがよく使われます。

並継ぎでも、印籠継ぎでも、継ぎには「すげ込み(込み芯)」と「すげ口」をしっかり調整する必要があります。

これには、棒鑢、浚い棒、剣先、柳葉、袋錐等が使われます。

まずは、棒鑢、浚い棒という丸い鑢から、通称「丸棒」、「ごずり棒」とも呼ばれるもの。



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左半分は既製品、注文品で、右半分は鉄の棒(焼きが入っていない生鉄)に鏨(たがね)で目立てした

自作の鑢(浚えなくなったら、鏨で叩きなおすだけ)。

竿治親方曰く「道具は自分で作るもの、これを知っていてから市販を使うのは良いけどね・・・」

なるほど・・・ 道具がないから、できないのではないのだ。


浚い棒は目が粗いので、親方は


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竹に使い古しの紙やすりを巻きつけて、細かい調整ができるようにしている。


次に、「突き鑿(つきのみ)」と「掻き出し」


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「掻き出し」、は竹の中を引っかいて肉を浚うもので、棒よりも格段に「えぐる」

中は奥が深くえぐられ、手前が残る特徴があるので、「掻き出し」で肉を浚ったら

必ず浚い棒で均一にする必要がある。


突き鑿(つきのみ)は矢竹の「芽取り、太いすげ口のえぐり」に使う。


次に、平鑢

これも、ガンギリ(目立てがクロスしていない 細かくおろす)

シャリメ(目立てがクロスして荒削り)の大きく2種類ある。


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一番奥は、ホームセンターでの木工用平鑢

その手前2本は特注品

最も手前は、竿製作用に片方に「きしゃぎ」用の刃をつけて、

もう片方の裏表に「ガンギリ」「と「シャリメ」を目立ててあるもの。

左下の黒いのは「握り用のゴムキャップ」



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通常は、平鑢、きしゃぎともに、これで間に合っている・・・・・。


これは、川崎の某釣具店でたまたま見つけたもの。




さて、次に  研ぎ、磨き用の小道具達・・・・・



素材の竹の表面を磨き上げるのには、

古来、木賊(とくさ)を乾燥させ、これを湿らせながら使用する。

乾燥しすぎると、パリパリになり粉砕する。

木賊は研磨力は相当あり、油断すると竹の表皮や

塗り面は簡単に剥ぎ取る。


竹の表面の汚れを取るには、油抜きの際にしっかりボロ布で取ることと、

その時落ちなかった汚れを磨き取るには、今は布やすりを使っている。



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「漆塗り」の際に塗り重ねのつど、表面を均一にするために、


漆面を「研ぐ」作業があります。


昔からの炭(これも硬軟あり、炭研ぎ用の炭がありツルガ炭とロイロ炭がある。)で研ぎます。

今は人造のブロックが出回っている。


仕上げのコンパウンドはアモールが良いようです。

この辺の細かい研ぎには、「砥の粉」と「食用油」でペーストを作り、コンパウンドとして

これで、研ぐ人もいるようです。


「継ぎの部分」、「ラインガイド止め」の厚塗りする所は、炭やブロック、耐水ペーパ(紙やすり)を


胴塗りには、「炭粉」や「コンパウンド」で、重ね塗りの際の剥がれ防止、いわゆる

次に塗る漆の食い着きをよくする研ぎ・・。




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今日は、前回の「傘屋小刀」(切り出し小刀)、に続いて、削る、浚う、研ぐ、磨くための

道具達に登場してもらった。


次は、定規に該当するような道具に登場してもらおうと思います。

乞うご期待