先日、パソコンの部品を探しに中古品店で、タイプライターが目に入った。イタリアのオリベッティ社のレトロなタイプライター 「olivetti LETTERA 35」__新品同様に見える品が何と1100円とある。店員さんに確かめると、全く動かないジャンク品ということだった。
タイプライターは映画などでよく見たことはある。ルロイ・アンダソンの名曲「タイプライター」では、キーを打つ音もあの「チーン」も誠に効果的に使われていて、いつ聴いても楽しい。そんなタイプライターを、いつか機会があったらと思っていたが、はからずもその時が巡って来たか、と後先も考えずに買ってしまった。
家ではやる気持ちを抑えて試してみると、やはり動かない。店の説明通りやはりジャンク(ごみ、ガラクタ)か.. . 。
中は?仕組みは?直せるか?と好奇心と野次馬根性から、筐体を外してみた。
何と「動かない」というのは、不意に動かないようにしてあったロック装置を外したらOK。何本もの文字ハンマーが絡まっているのは、一文字一文字外すと、これもまたOK。何文字かは印字後の返りが遅い。結局全部バラシして、埃を掃除し、可動部は全て界面活性剤をかけると、完全な動作品となった。
ただ、改行を知らせるあの「チーン」が聞こえない。これではどうも張り合いがない。落ち着いて調べてみると、ベルに当たってチーンとなる小さなハンマー状の金具が、チリの固着で動かないことが判明 (〇の所)。掃除をしてCRCであっ気なく軽快にチーンと復活。よし、これでこそタイプライターだ。
その後、取り寄せた赤黒2段の新しいリボンテープを装着して、全機能回復!錆、傷、変色もなく、オリベッティのタイプライター LETTERA 35は、50年の時を経て新品同様のタイプライターによみがえった。
このタイプライターは、世界的に有名な建築家でありデザイナーのマリオ・ベリーニという人によるものとのこと。今やその実用性は乏しいものの、頑丈な鉄の筐体ながら、美しいカーブと直線で構成されたオブジェとしても上品なこのデザインは、和室のこたつの上に置いてさえ、全く違和感がない不思議な感覚である。さすがイタリア製の道具だと感嘆する。
実際に動かしてみると、一文字ずつパチパチパチッと打つ感触が何とも心地いい。改行のタイミングを知らせる「チーン」という音がたまらない。味わいあるフォントなど、どれをとっても見た感じや操作感が素晴らしく、道具としての質の高さに感動させられる。
キーボードの配列は、パソコンと共通のため、違和感が無い。文字を打つとは、こういうことなのだということが視覚的に理解できるし、スペルに気を付けてキーボードを打つ練習にもなる。
何よりも、電気と無関係である。パソコンと違って、作業はいつでもどこでも、作業の始めと終わりの一連の操作がいらない。当然プリンターも不要。何十年もバージョンアップがなくいつまでも使える。パソコンVSタイプライター!軍配は……タイプライター!!と、言いたいところではありますが、やはり.....パソコン、なんですね。










