喜びも相半ばのこの春、今年もコロナに鬱々としている我々にはおかまいなく、それ春分だ、やれ立夏だなどと進んでいく暦にいささか感心などしているうちに、2ヵ月近くも経ってしまった。

 見渡せば、残雪の里山の茶色が萌黄色に変わり、間もなく緑一色に塗りつぶされる時季になる。自然の景観が一番激しく変化する季節かもしれない。そんな移ろいの様子を一部まとめてみた。

              

                雪 消 え の 鋸 山                      Wirgman P10  /  HOLBEIN

 

                    2021年3月~5月初旬の生物季節観察記録から

 

3月          

マンサク開花 (里山で) 3月1日   -1

ツバメ初認         22日   -3                

ユキヤナギ         23日   -7

ウメ (町内)       24日   -5

ヤブツバキ         26日   -4

スイセン          30日   -7

タムシバ (里山)     31日   -6

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4月

ウグイス (里山)      1日   -3

シバザクラ          2日   +1

ヒバリ初囀り(郊外)以下4月 4日?(以前?)         

里山のブナ芽吹き始め(里山) 4日

消雪 (アメダス小出)  4月8日  -18

ソメイヨシノ開花       9日   -4

チューリップ開花      12日   -2

消雪(自宅周辺)      13日  

イカリソウ開花       15日   -6

モモ開花          18日   -7

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5月

アオバズク初鳴   以下5月 1日    -1      

スズラン開花         2日   ± 0

カッコウ                      例年5月上旬

ホトトギス                     例年5月10日前後 

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(注)○ 植物は開花日、野鳥等は初認、初さえずり日を記録

 ○ 前年より「3日遅い」、「4日早い」を-3、+4と表記 

 ○   観察地点は、特記無しは魚沼市古新田の自宅(標高110m)及びその周辺、里山は市内の

       標高 300~600mの山地

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 前年が記録的な少雪の冬の後の今年の春です。また、定点での連続観察でないものもあるため、精度的に単純な比較はあまり意味がないかもしれない。しかし、季節の推移やその傾向はある程度は見えてくるようだ。さて、この後の季節はどんな具合になっていくのだろうか。高温傾向などという報道もある。雨も暑さもほどほどに、と願いたいものだ。

 大雪だ、大雪だと言われたこの冬も、日増しに雪解けが進み、所によっては道端に野草が咲き乱れるような季節になってきました。毎日つらい思いをしてきたあの雪も、喉もと過ぎれば・・・でなつかしささえも覚える余裕の今日この頃です。

 

                                           

               下倉山に春の訪れ                  Paul Rubens  19.5 X 27 cm  /  W&N  

 

 一体、この冬の雪はどうだったのかと、新聞記事(「新潟日報」やアメダスの1月~2月(雪は12月~)のデーターで振り返ってみました。

 

 

 昨冬の同期(12月~2月末)は、累積降雪量161cmで平年(過去30年間平均値)のわずか19%と記録的な少雪でした。その印象があまりに強かったこと、一時的にまとまって降ったことなどから、当地のこの冬の雪(12月~2月)が累積828cmで、平年値835cmの99%でありながら、「たいへんな大雪」という印象が強くなったのでしょう。気温は2月などは1℃も高かったようです。

 これらのことから、実はこの冬は気温はいつもの冬よりやや高く、雪は平年並みということになります。

 

「大雪だ!」「この雪にはまいったな・・・」などと毎日のように愚痴っていた本人が、こんなことを言うのは誠にどうも・・

・・・・なんですが、人間の感覚がいかにその時々の感情や思い込みといったことなどに左右されるのか、ということになりそうです。はてさて、はたして来年の雪はどうなるのでしょうか。

 

 ( ※ 平年値を20年間の平均と書いていましたが、「30年間」の間違いでしたので訂正しました。)

                     

              春  の 息 吹 き                 Paul Rubens  19.5 X 27 cm  /  W&N

 

  この冬は何年かぶりの大雪で、里山では積雪が3メートルくらいになったようです。それでも、傾斜の急な斜面では雪はすぐに雪崩れ、土を覆うブッシュには天に向かってのびようとする生命力を感じます。そんな所からマンサクが咲き出すと春はもうすぐそこです。

   登り下りする尾根のルートの雪にはいたるところに深く鋭く亀裂(クラック)が入り、油断ができません。緊張感の中にも、そこここに春の息吹きを感じる気持ちの良い季節になってきました。

  

今や山を登りながらスマホで気象状況が手に取るようにわかる便利な時代です。とは言え、昔ながらの観天望気も捨てがたく、山ではくせのように絶えず西の空の雲行きが気になります。

 

                                                  

                      夕暮れせまる刈羽黒姫山       Waterford   4F   W&N

 

 この御嶽山(魚沼市)からは、西の眺望が100キロ以上も効くため、数時間先の天気の変化を予測する「練習」などに好都合の山です。さらに夕方などは、茜色に染まる夕焼け空に浮かび上がる妙高連山とそれを演出するような雲の変化にはいつも引きつけられます。

  山の風景は、太陽の高度による影の関係と山容の特徴から、夕方と朝のどちらかがよいと言われていますが、この御嶽山は前記のようなことから夕方がより魅力的のように思うのです。

  「立春」が過ぎて早1週間。4日には、関東地方で、観測史上最も早い「春一番」が吹いたということです。

  当地新潟県の内陸部の魚沼地方では積雪が現在2メートル。つい先日、雪晴れの日に近くの里山に登ってきました。

 

                         

         御嶽山頂上から越後駒ケ岳を望む        Montval Canson  18 X 25cm   W&N

 

 山では積雪が3メートルくらいで、登る雪面が地面より2~3メートル高くなっているために、時々ブナやアオハダの枝に頭が当たりながら登りました。あたりは地形の凹凸が深い雪で覆い隠され、ゆったりとした雪景色が広がっていました。

 それでも、急な斜面のいたる所に見える雪崩れの跡に、春の気配を感じながらスケッチを始めました。気温はマイナス2°少し風もあり、やはり寒くて絵筆を持つ右手が悴んでたまりません。がまんできずに、すぐ近くの避難小屋に入って仕上げました。