最近、仕事の関係で地方への出張が多く、その移動の間、数時間もあるため、録り貯めていたラジオ番組をipodに移して聴きまくっていた。因みにどんな番組を入れていたかというと。。。
①ラジオ文芸館(NHK第1 土曜朝8時5分~8時45分)
土曜の朝にやっているNHK第1の番組。NHKのアナウンサーが週替りで文学作品を朗読する『耳で聴く短編小説』というのがキャッチフレーズ。NHKアナウンサーによる素晴らしい朗読が聴けるわけだが、演技もふんだんに取り込まれており、音響効果もしっかりついていて、朗読の形を借りたラジオドラマになっている。今回、聴いた中でもとくに印象に残ったのが、2月27日にアンコールとして放送された「サヤンテラス」(乙川優三郎:著)という作品。
イギリスの擁護施設で育ったオリーという女性が、アジアに憧れをもち、なんとかお金を貯めてアジアに旅行に行ったところ、日本人の哲夫という男性と出会い結婚し、房総半島の海沿いの町で暮らし始める。しかし、若くして哲夫を亡くしてしまったが、二人の思い出の場所、サヤンテラスに行くと、哲夫の声が聞こえ始めてくるというお話し。小説なのだが、ラジオドラマのために書かれたような作品で、とても心に沁みてくる作品だった。
http://www.nhk.or.jp/bungei/index.html
②ラジオシアター~文学の扉(TBS 日曜夜9時~9時30分)
日曜の夜にやっているTBSの番組。これも朗読ものだが、こちらはアナウンサーではなく女優の中嶋朋子さんがゲストに俳優さんを招き、様々な文学作品の名場面をラジオドラマ化して演じているもの。中嶋朋子さんの「声」のスタイルは完全に出来上がっていて、どこを切り取って聞いても「あ、中嶋朋子だ!」と分かるものになっている。今回聞いた中で印象に残ったのは2月7日と2月14日に放送された「ハックルベリーフィンの冒険」。今回、ブログでとりあげるFMシアター「おきらく極楽」にも出演している井之脇海さんが出演している。作品自体も、そうだよ、文学のテーマって「漂流」だよ、と思わせてくれるような内容だった。
この放送はYouTubeでも公開しているらしい。FMシアターも公開してくれればいいのにねぇ。。。というわけにはいかんのか。。
番組HP : http://www.tbsradio.jp/tobira/index.html
YouTube : https://www.youtube.com/channel/UCcVDwRjcj0eQxeRkIhJ8yQA
Twitter : https://twitter.com/tobiratbs
まだ、他にも「菊地成孔の粋な夜電波」(TBS)や、「東京ポッド許可局」(TBS)なんかも入れてたのだが、それらを書くとグダグダ長くなってしまうのでやめときます。
さて、今回のFMシアターは「おきらく極楽」という作品。作者は大河内聡さん。大河内さんの作品は名作が多く、ABU賞を受賞した「鳥を放つ日 」(2010年)や、芸術祭を受賞した「瑞穂のくに 」(2013年)等、もし聴かれていない方がいたらぜひ聴いていただきたいお薦め作品が多い作家さんだ。
その作風は一言で言えば「リアリティ」。
それはあり得ないことをドラマの説得力で実現してしまうリアリティではなく、気持ちのうえでのリアリティ。
ドラマは主人公の成長をテーマにする。いい意味でも悪い意味でも。
そのため、無理矢理、一気にステップを踏み、壁を乗り越え、ドラマの中で突きつけられた課題や葛藤を解決してしまうものがある。それがうまく行けば、とてつもない爽快感を我々にもたらしてくれるし、下手をすると、なんか見ているこっちがモヤモヤして終わってしまう。
大河内さんのドラマは、そういう無理矢理感がない。かと言って、つまらないということもない。
「鳥を放つ日」のカンボジアのお母さんに対する違和感を持ち始めた息子に対して、母親なんだからそんなことを思うな!と叱ることなく、俺もそうだと言う父親、「瑞穂のくに」で農業の危機的状況を知ったからと言って、農業を始めることはない女子大生、どちらも我々と同じ感覚で生きる1人の人間として浮かび上がってくるのだ。
今回の「おきらく極楽」では、隠岐の島に「逃げてきた」という思いを持つ高校生が、「牛突き」と出会うことで成長していく淡い恋も絡めた青春物語。どこか漫画的な要素も見受けられるが、若者に対する大河内さんの目線はどこまでも優しい。
オジイさん役の本田博太郎さんの演技はいいですね。




