あたしの絵なんてゴミみたいに捨てられる。絵をお譲りすることについて。 | 五月雨薫のDear.Rock'n'roll. 【生き辛さをブチ壊すアートのススメ】

五月雨薫のDear.Rock'n'roll. 【生き辛さをブチ壊すアートのススメ】

絵描き五月雨薫のブログ。
色鉛筆画とフルオーダーの革ジャンペイントをメインに、アナログスタイルに拘って活動中。
岡山で暴れ回っている美術モデルBambiとは同一人物。
表現活動を通してよりよい明日を提供することを生業としています。

今日和、絵描きの五月雨薫です。
 
 
今日は読み物です。
この間お客様のオーダー品に手を入れながら、ふと思い出したことがあるので書いておこうと思います。
 
あたしのことを応援して下さっている方には随分ショッキングなタイトルがついていると思いますが、これは淡々とした事実であり、あたしが実際に今まで体験してきたことです。
そしてこれまでの過去の経験から、絵をお譲りするということについて、絵に値段を付けるということについて、いま現在あたしがどう考えているのかを自己の整理も含めて書いておきます。
 
 

 

 

 

 

+++
あたしのお客様方があまりにもあたしに優しいので、「ありがたいなあ、幸せだなあ、ちゃんといい作品にして返さないとなあ」と作業していて、「なんでこんなにみんな優しいのかなあ、もう自分でもよく分かんないなあ」などと思っていたら唐突に思い出したこと。
小学校のクラブ活動のことです。
 
 
あたしが通っていた小学校では、4年生から6年生までクラブ活動をしており、その中に漫画イラストクラブというものがありました。
あたしは物心ついた時から絵を描くことが好きだったので、迷うことなく漫画イラストクラブに入ったのですが、5年生の時だったか、事件は起きました。
 
 
毎年、年度末近くに3年生を対象にクラブ体験というものが行われ、4年生からのクラブ活動がどういうものであるのかを見て回るのですよね。
そのクラブ体験の際に展示をするというので、あたしも何時もより少し気合を入れて描いたものを数枚提出していました。
当時の漫画イラストクラブは、何故か全く絵を描かないヤンチャな6年生男子数人が参加しており、クラブ長か何かをしていて(ただ偉そうにしていただけで、そんな役職があったわけではない可能性も)、クラブ体験の時も何やら仕切っていたようです。
 
 
そのクラブ体験の日、あたしはたまたま体調不良で欠席をしており不在でした。
何も知らないまま次のクラブ活動に出たところ、何故かあたしの絵が返ってきません。
おかしいなと思い上記の6年生男子に尋ねると、その「ああ、欲しいってやつがいたからやったわ」と言われたのです。
もうビックリ。
「そんな話は聞いてない、何てことをしてくれたんだと、返してくれ」と言うと、あたしのあまりの憤りに少し怯んだようでしたが、「なんだよ絵ぐらい。自分で取り返しに行けばいいだろ」「頭がおかしいババア」みたいなことを言われ、話をしても無駄なので自分で取り返しに行くことにしました。
何も問題なくもらったつもりの子には悪かったのですが、その子を探して「返してもらえないか」と言うと、また持ってくるというので、翌日だったかに再度会いに行くと、「なかった、お母さんが捨てたと言っている」というような話をされました。
 
 
もう呆然。
 
 
展示するからと言われ何時も以上に熱心に描いた自分のことが、もう阿保らしくて阿保らしくてたまりませんでした。
6年生の男子に対しては、「こんなに身勝手な人間がこの世にいるのか」「どういうふうに育てられたらこうなるんだ」と思いましたし、この世の全ての理不尽を自分が受け止めているような気がして、頭が真っ白になって1人校内を歩いたような記憶があります。
 
 
あたしはその時、自分の大事にしているものなど他人には全く関係がなく、一切慮ってもらえることなどないのだということ、人は平気で人の気持ちを踏みにじるのだということを痛烈に学びました。
今思えば、頭のおかしな教師が担任になったり、そもそもいじめられっ子からスタートするあたしの子供時代はそんなことばかりだったような気がしますが、この時の理不尽さはなかなかに強烈でした。
 
 
 
+++
大人になって作家活動をするようになり、今まで色んなショップさんに取り扱いをして頂いてきました。
でも最後まで、売り上げがある月もない月もきちんと報告を下さり、売り上げは少なくてもきちんと振り込んで下さって、最後にはグッズ達をきちんと梱包して送り返して下さったショップは、今はなき「アリスと豆の木」様と「ブロンディ」様だけです。
あの頃は本当にお世話になりました。
本当にありがとうございました。
 
 
あとは全て途中から報告がなくなり、売り上げも有耶無耶になり、グッズすら返ってきません。
本当はこちらから「最近ご報告がありませんがどうなっておりますか?」と連絡を入れるべきだったのでしょうが、もう関わることすら嫌になってしまい、全て自然消滅させました。
きっとグッズは倉庫の隅にでも追いやられ、いずれ何だったかも分からなくなった頃、ゴミとして処分されるのでしょう。
売り上げが振るわないというのであれば取引は辞めてもらって構わないのです。
何故、これだけのことすらしてもらえないのか。
みんな、向こうから声をかけてきたのに。
 
 
 
+++
あたしは20の頃、当時東京高円寺にあった「アリスと豆の木」に声をかけて頂いて取り扱い作家になりました。
当初は原画を売るのが嫌で、展示品に値段を付けないこともあったのですが、絵が売れなければお店が破綻してしまいます。
「原画が売れてこそ作家」というお店の指導方針もあり、お世話になっているオーナー達に少しでも還元できるよう、あたしは絵を売るようになりました。
「出せば売れて当然」という勢いで自分に発破をかけて、人気作家になろうと思っていました。
 
 
あれから10年近く。
今でも、絵を売るのは得意ではありません。
 
 
数年前、何もかも嫌になり、全てを放棄して倒れ込んだ時、不思議とそれまでお世話になっていた取扱店様が閉店する運びとなり、あたしは今やどこにも属さなくなりました。
完全にフリーになった今、ただ自分が食うのに困るということを除けば全て自己責任であり、無理に絵を売る必要もなくなったのです。
当時は「売らなければいけない」というプレッシャーや、何となく周りを見渡した際の絵の相場などもあり、絵を積極的に売っていましたし、売れるであろう価格設定にしていたと思います。
でももうそういうのはやめにしようと。
 
 
 
+++
最初の回想の話に戻りますが。
あたしはあたしの絵に何の価値もないことを知っています。
自分がどれほど大事に思おうと、あたしの手から離れたあたしの絵は、ゴミのように扱われ捨てられるのです。
 
 
小学校のクラブ体験の事件の時、あたしは親にもこのことについて話さなかったような気がします。
あまりにも阿保らしかったことと、結局自分の気持ちなど誰にも解ってもらえないだろうと思ったからです。
仮に一応話していたとしても、自分が得たかった理解が誰かから得られた記憶はありません。
(確か当時たまたま不安障害を発症していた時期にも重なっていたので、自分でも自分の持っている執着心は異常なのではないかと思ったこともある気がします。)
 
 
あたしの絵をあたしほど大事にしている人間はいないし、あたしほどあたしの想いを大事にしている人間はいない。
だからあたしの絵も、あたしの想いも、あたしが自分で守らなければいけない。
そうそれが、はたから見てどれだけ滑稽で馬鹿馬鹿しくても。
 
 

 

 

 

 

+++
「あたしの絵をあたしより大事にしてくれる人なんかいない」と書きましたが、今はあたしのことを応援してくれている人達が沢山いて、そういう方々と関わっている時、「ああ、この人はあたしの絵を本当に大事にくれているのだな」と思わせて頂けることがあります。
あまつさえそれは、「あたしなんかが思っているよりずっと深いのではないか」、と思わされるほどに。
そしてあたしは、そういう「もしかしてこの人は、あたしよりもあたしの絵を愛してくれているのではないか」と思わせてくれるような人達にだけ、あたしの絵をお譲りしたいのです。
 
 
もういい加減な気持ちで絵なんか売らない。
だからオーダーも原画も、本当にあたしのことが好きな人にしか、本当にあたしのやっていることに価値を見出してくれる人にしか、出せない価格に設定してあります。
勿論「え!?」という顔をされることだってあります。
そりゃあそうでしょう。
絵なんか買ったって、役にも立ちやしないんだから。
あたしのことなんて、普通は誰も知らないんだから。
でも、わざとなんです。
あたしの絵を、あたしの信念を、あたしの今までの人生を、あたし自身が守る為に。
 
 
あの呆然と立ちすくんだ小学生の頃のあたしを救えるは、あの時の言葉に出来ない憤りに報いることが出来るのは、今のあたししかいないのです。
 
 

+++

あたしは絵描きなので絵のことについて書いてますが、これは絵に限らず人生において全てのことに言えることです。

きっと誰も知らないし、誰も期待していないし、誰も解ってくれないような、そんなあなたの信念は、あなた自身が守らなければいけないのです。

 

 

絵は人生です。
絵は全てを教えてくれますし、生き方は絵に出ます。
今まで生きてきた人生の全てを内包し、そしてこれからどう在るべきなのかについても教えてくれます。
そして絵に限らず、何かに本気で向き合うということは、こういうことなのだと思っています。
 
 
それと。
あたしは自分には理解できなくても、誰かが大事にしているであろうものは軽んじないようにしようと思っています。
 
 
 
+++
大袈裟だと思うでしょう。
何を大それたことをと思うでしょう。
それでいいのです。
全て承知で、あたしはずっとこうして生きてきたのですから。
解る人にだけ解ってもらえればいいですし、とてもとても少ないでしょうが、あたしと同じような人に届けばいいと思っています。
 
今日は以上です。
愛を込めて。
 
 
【関連記事】

美しさに妥協しない。五月雨が普段から大事にしていること。

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――

現在多忙につきオーダー受付休止中。夏頃再開を目標に制作中です。

五月雨のレザーペイント、その辺にあるものでは満足しない拘り派の方々からの支持を集め、全国に続々と増加中!!
この価格帯ですが、お客様はほぼリピーターであることが自慢です。
五月雨のペイントで是非、あなたの生き様背負って下さい。
 

――――――――――――――――――――――------

【当ブログについて】

サミダレの時間の感覚が世間一般と大きくずれていることや、

ワーキングメモリ、キャパシティの小ささなどから、

コメントのお返事などが大変遅くなりがちです。

特に基準はありませんのでまちまちですが、

2週間後などにこっそり返信が付いていたりします。

(つかない場合もありますことお詫び申し上げます)

ご理解の上お付き合い頂けますと幸いです。

いつもありがとうございます。

――――――――――――――――――――――------

 

メインメニュー
―――――――――――――――――――――

五月雨薫プロフィール

お問い合わせフォーム
オリジナルレザーペイント
オリジナルイラストオーダー
オリジナルグッズサイト「SamidareKaoru Artworks.」
―――――――――――――――――――――