Q.五月雨さんはどうしてこういう絵を描かれるんですか? | 五月雨薫のDear.Rock'n'roll. 【生き辛さをブチ壊すアートのススメ】

五月雨薫のDear.Rock'n'roll. 【生き辛さをブチ壊すアートのススメ】

絵描き五月雨薫のブログ。
色鉛筆画とフルオーダーの革ジャンペイントをメインに、アナログスタイルに拘って活動中。
岡山で暴れ回っている美術モデルBambiとは同一人物。
表現活動を通してよりよい明日を提供することを生業としています。

今日和、五月雨薫です。

すみません、気が付いたらめちゃくちゃ開いてしまってました。

9月中は全く使い物にならなかったあたしです。

 

9月28日から30日までモデルの仕事で名古屋東海を回っていたのですが、台風により30日の予定がキャンセルになりました。

そしてこの土曜日も岡山で自主企画のクロッキー会なのですが、また台風が。

もうほんと仕事させてくれよと。

 

 

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最低限「ここまでは書かなくては!」と思っていた記事を書いたら、それ以降すっかり更新が止まってしまってましたが、先月の個展会期中に同じ質問が何度か出たので、今日はそれについて書いておきたいと思います。

 

IMG_3918.JPG

 

会期中色んな方とお話をさせて頂いたんですが、

「五月雨さんはどうしてこういう絵を描かれるんですか?」

「五月雨さんはどうしてこういう絵を描くようになったんですか?」

という内容の質問が何度か出ました。

あたしはこれを聞いた時に、「こういう絵」が何を指しているのかも分からなかったのですが、聞くと「世間一般的に言われるグロテスクなもの、世間一般的に分かりやすく美しいとされるものではないもの」を指しているようでした。

その場で答えられる範囲では回答したのですが、これはもっと突っ込んで解説してもいい内容だなと思ったのでまとめます。

 

 

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先にも書きましたが、まず「どうしてこういう絵を描かれるんですか?」と聞かれて、「こういう絵」が何を指しているのかが分かりませんでした。

それはあたしにとって意識することではなく、とても自然に生まれきたものたちであったからです。

振り返ってみると中学に上がったぐらいから今の傾向が顕著になり、ほとんどブレずに今の世界観で描いてきました。

 

 

 

まず全体的なことから。

あたしは絵に限らず、「お体裁だけ整えたもの」が好きではありません。またそれを簡単に真に受けて、大切なことが見えない人たちのことも好きではありません。

「こういうふうにしておけば正しいんでしょう?真意がどうであれ、あなた達はこういうふうにしていればよしとするのでしょう?」という、嫌悪感のようなものがあります。

小学校の高学年ぐらいには、そういう世間や大人の浅はかさに辟易としていたので、「ああ、うん、綺麗だね」と言われるような「ただの綺麗な絵」には、あたし自身あまり心が動かされません。

自分が心動かされないものを描くことはありませんから、あたしもそういう絵は描きません。

 

 

 

次に傷口などのモチーフについて。

これに関しては以前から自分の中での考察があり、いつか書こうと思っていたことです。

これについては理由が3つあります。

まず1つ目。

「視覚から痛覚を呼び起こすことで、痛みを表現する為。鑑賞者にストレートに体感としてインパクトを与える為。」です。

傷口などを見ると「痛い!」と感じると思いますが、シンプルにその感覚が狙いです。

 

 

2つ目。

「無傷の少女」というものがあたしの中に存在せず、あたしにとってリアルではない為。

人ではないものなどをモチーフにすることもあり、あたしの描いているものをファンタジーだと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、あたしはあたし自身実感のあるリアルなものしか描きません。

自身の中にある生々しいものたちを、見て下さった方たちが手に取りやすいかたちにして表現しています。

傷はあたしにとってとてもリアルなものなのです。

 

 

そして最後、3つ目。

「自傷行為の代替行為である」ということです。

リストカットなどの自傷行為は、自らを傷つけることで安心感や癒しを得る行為ですが、今までのあたしの絵はそれの代替行為であったと考えています。

あたしも色々セルフネグレクト的な問題はありましたが、幸い身体を激しく傷つけるような自傷行為に走ることはありませんでした。それはきっと、ずっと絵を描いてこれたからだと思っています。絵の中で少女たちは傷付き、あたしの代わりに涙を流してきてくれました。

高校生の時、父親に「なんでそんなもの描くんだ」と否定的に言われたことがありますが、「気持ちいいからだ」と答えておきました。

それを描いて気持ちが晴れるということは、あたしの心がそれを求めているということであり、そうであるならばここにそれは表現されるべきであると。

そしてこれはあたし一人の癒しにとどまらず、そうしてあたしが描いたものたちを拠り所にしてくれる人たちがいることをあたしは知っています。

自らの身体を傷付ける自傷行為と違い、身体に傷も残らず、自分自身はもとより鑑賞者にも同様の効果を発揮するという点で、絵は非常に健全で有益です。あたしはこの観点からも、自らが絵を描き発信する意義があると感じています。

 

 

 

これらがあたしが今のような世界観で絵を描いている理由です。
疑問に思ったことがある方など参考になりましたら幸いです。

 

 

あたしは昔に比べて随分幸せになりました。

こんなふうに生きられる日が来るだなんて思いもしませんでした。

以前のようにこれ見よがしに身体を縫い合わせて見せる必要がなくなったあたしの絵は、なんだか昔より少しだけ綺麗な身なりをしていますが、これからもずっと、痛みを知っているはみ出し者で在り続けるでしょう。

傷付いたこともない笑顔だなんて、奥行きのない綺麗なだけの絵だなんて、あたしには縁のないものです。

絵を通して、そして自らの身をもって、「痛みを知っていながら、それでも美しく微笑うことが出来る」、そんな人生を体現します。

 

 

 

あなたに届きますように。

 

 

 

 

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五月雨薫7th個展

”KAORU SAMIDARE OLDWORKS.”

2018/08/25-2018/09/09

@Synergy73

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活動をほぼ休止していた五月雨の3年ぶりの個展。ずっと応援して下さっていた方々への意思表明と、これまでの自己の整理を兼ね、地元岡山で旧作展を開催。

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【当ブログについて】

サミダレの時間の感覚が世間一般と大きくずれていることや、

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