
「痴漢電車 あの娘にタッチ」1988年制作 日本
映画館にて一人の女性が、映画が終わって客はいないのに、帰らないで眠りこけている。館主は、「もう映画はおわりましたよ。」と彼女を揺り動かすが起きない。気がつくと、その女性は睡眠薬自殺を図ったことがわかる。「好きな映画を観ながら死んでいきたかった」と、いうのが、あとで生き返った彼女の自殺の理由だった。
と、いうなかなかつかみのいいスタートで、渡辺元嗣監督の「痴漢電車 あの娘にタッチ」は物語が面白い。
あまりタイトルの痴漢電車とは関係がないが、その自殺を図った女性の恋人が「痴漢男」演じる山本竜二で、これが関心するほど演技がうまい。ただ、観ているだけで面白さをかんじさせるという点では、竹中直人と通じるところがある。
山本竜二は、成人向け作品から一般向け作品からまで幅広く活躍していて、大河ドラマ、『水戸黄門』といった超メジャー作品への出演も実現している。
主役の荻野目翔子とは別に、物語の中で映画館に通ういつも二人組の女性がいるのだが、これがそろって突拍子もない声を出して笑う。そのヘンテコさ加減がなかなかシュールで、ラスト近くに再登場して、気持ちをくすぐる。
ということで、普通の映画と比べてかなりお金がかかっていないのだろうけど、面白い映画はお金とは関係なく面白いのだ。渡辺元嗣監督の事をもう少し知りたいと思ってネットで検索してみるが、作品名が出てくるくらいでインタビューなどは、見つからなかったのが残念だ。
「AVではなくて、ピンク映画作品を借りてました。市内の各店舗を回って、渡辺元嗣監督作品ばかり借りていた」というXへの投稿があったので、ファンというのは一定数いるとは思う。渡辺元嗣監督の他の作品もぜひ観たいと思った。