危険な秘密に遭遇「アイ・ケイム・バイ」 | トリップちゃんねる

トリップちゃんねる

本と映画とニュースと日記

「アイ・ケイム・バイ」2022年製作 イギリス 原題:I Came By

『裕福な家にいた老人は、とても危険な人物だった。そこに忍び込んだ者は思いがけない恐怖に遭遇する』というストリーは「 ドント・ブリーズ」を思い起こさせる。

「 ドント・ブリーズ」では、若者3人が老人の家に忍び込むけれど、こちらの「アイ・ケイム・バイ」では、アーティストが大物判事の家に一人で忍び込む。物語に出てくるアーティストは、貧困家庭に生まれ、格差社会に不満を抱くトビーとジェイ。

彼らは金持ちの家に忍び込んで、壁にスプレーアート「I CAME BY(参上!)」を描く。その事が世の中に反抗し、メッセージを送っているという事なのだろう。でも、金持ちの家に忍び込むスリルだけを楽しんでいる愉快犯のようにも見える。

トビーは母親に反抗して、常にイライラしている。『このヒステリーな男を約2時間、見続けなければならないのは、しんどい』と思ったら、すぐに画面からいなくなった。

ある日、判事はハンサムなマッサージの青年を自宅に呼びよせ、身の上話を始める。

「父には愛されなかった」
青年は判事に向き合い「残念だ」
「パルシーを雇っていた」
「僕と同じペルシャ人か」青年が問う。
「インドのね。ラビという名の美男子だ。インドの家族のため出稼ぎに来ていた。経営する工場で働くラビを父は援助した。父は彼を家に住ませた、家族のように。そのうち父は彼をベッドにも誘った。母は客室に追いやられた。その後母は自殺したよ。」

判事は青年をじっと見つめたまま話を続ける。
「手首が切り裂かれた母を私が発見した」
「ひどい」
「父は私をなぐさめもせず全寮制の学校へ送った。私としては父とラビから離れられてよかったよ。母と私に取って代わったラビが憎かった。家に住みつき食べ物や空気を奪う。たかが農民のくせに」
「差別主義者みたいですよ」
「差別主義者ではない。私の経歴が証明している。ラビに優しくありたかった。だが私の中にある怒りを抑えるのは困難だった。」

その後、だんだん話の雲行きがあやしくなり判事の態度も変わり、青年の表情が青ざめてくる。そこのスリル感などはハラハラさせて良かった。忍び込んだスプレーアーティストとの絡みより、こちらの方に見応えを感じた。