黒島暁生(くろしま あき)というライターの日刊SPAの記事が興味を惹いた。以下、その内容の一部を抜粋。
「10歳くらいのとき、胸に突起物がついているのがどうしても嫌だなと感じたのを覚えています。洋服に当たる感覚が不快で、ブラジャーをしても締め付けられている感覚にどうしても馴染めませんでした。それでとうとう今年、乳首を取りました。思えばこれまでも、衝動的に『髪の毛、邪魔だな』と思って坊主にするということを数回繰り返しました。不要とみなした身体の一部をなくしたくなるのかもしれません」
と、語るのは鳶職人をしながら、人体改造を手掛けるスタジオで修行に励む女性のさとさん。
自らをフックに吊るして自重を支えるセルフサスペンションの成功で知られるさとさん。身体を使ってするパフォーマンスのあり方にも関心を抱く。
「身体にフックを突き刺して、そのまま人体ごと吊し上げるパフォーマンスは、見る人をハラハラさせる最高のショーだと私は思っています。血はたくさん出ますが、観客のさまざまな反応を引き出すことのできるリアルでエキサイティングな見世物なので、病みつきになります」
乳頭を削除してしまったら、子どもができた時に赤ちゃんの授乳に困らないだろうか?などと現実的なことにぼくは頭が働いてしまう。体の不用に思える部分にも、”自分の考えが及ばない隠れた働きがあるのではないか”と思う一方で、彼女の突拍子もない発想に興味を持ってしまう自分もいる。
さとさんは日本人の父親とスペイン人の母親のもとに生まれた。出生はスペインで、来日したのは4~5歳のころだという。やがて小学校入学を迎えるが、そこで大きな挫折を味わう。
小1のときに『さとちゃんのこと、嫌いな人、手をあげて』というニュアンスのことをひとりの同級生が言って、それに全員が挙手をする場面もありました。日常的に『ガイジン』という言葉は浴びせられていて、たぶん私に関する悪口を言っているのだろうと悲しくなりました」
「学校が嫌になってしまったんですよね。集団でひとりを仲間外れにする人たち、それを黙認する教師の姿を見て、幻滅したというか。小4くらいから、学校には行ったりいかなかったりを繰り返しました」
さとさんが働き始めたのは中学3年生と若い。仲良くしていた先輩の保険証を使用して、身分を偽って倉庫整理のアルバイトをしていた。
「義務教育を受けたと胸を張って言えない私ですが、仕事で必要な知識や知恵は吸収できるものだなと思いました。お金を稼いで、身体改造の分野で活躍したいという思いが当時からあったんですよね」
なぜそこまであるべき身体の形を変えたいと願うのか。
「自分でも明確にはわかりません。ただ、原体験なのかなと感じるのは、小学生のころに転んでできたかさぶたの形を『これがハート型だったらよかったのに』と残念に思ったんですよね。みんなが『そういうもの』と気にしない細かいものを、いろいろと考えていたのは確かです」
両親は彼女に感心をもっていないという。さとさんは両親の関係性に関して聞かれたインタビューで動物の保護活動に関し語っている。
「今は保護した犬2匹と暮らしています。一時期は、ネズミ80匹、ハムスター10匹以上を保護していました。ネズミは雌雄をわけないと、どんどん増えていくんですよね。1日に2回くらい掃除をしないとにおいも凄くて、そのときは恒常的に睡眠不足でした(笑)。愛情をかけられるのを待つのではなくて、愛情をかける側になってみると、視界が拓けるものですよね」
普通は、ハムスターならともかくネズミを保護しようとはおもわないので、発想自体がどこか違っていて面白い。Xでも「今一番要らないのがオッパイ、ヘソ、クリトリス・・・・・」など、色々なメッセージを発している。彼女の今までの半生を書いた私小説をよんでみたいと思う。
参照:「乳首を切除した」女性の人生。胸に突起物がついているのが「どうしても嫌だな」と感じた
