実家の青森に帰ったときに、居間にいつのころからか、必ず韓国ドラマのDVDが置かれているようになった。
これは母が観ているのだが、母がレンタルしているわけではなく、隣に夫婦で住んでいる姉がレンタルしている。姉が観た後に、母にまわしているのだ。
『世の中には、韓国ドラマ意外にも、面白い洋画ドラマもあれば、邦画も洋画もあるのに、なんで韓国ドラマなんだろう?』
そう思って記憶をたどると、NHKの2003年「冬のソナタ」の放送から姉は、はまってしまった。
ぼくも、毎週3本から5本くらいDVDをレンタルしているのだが、その中に韓国ドラマや韓国映画は必ず入れるようにしている。安定して面白いのだ。
● 平均年収にも届かない
映画でいえば、昨年の「パラサイト-半地下の家族-」は、ずば抜けて面白かった。アカデミー賞での作品賞も納得のクオリティの高さだった。
今年の第93回アカデミー賞授賞式では、アメリカに移民として渡った韓国人ファミリーを描いた『ミナリ』が助演女優賞を獲得した。

『ミナリ』はアメリカ制作の映画で、リー・アイザック・チョン監督と主演男優賞候補になったスティーブン・ユアンはともに韓国系アメリカ人だが、受賞したベテラン女優ユン・ヨジョンは韓国人。
映画の中で使われる言語も半分以上が韓国語であり、昨年に続き、韓国系映画の快進撃がめだっている。
『なんで、こんなに韓国と日本ではエンターテインメントで差がついてしまったのか?』
とは、誰もが感じることではないだろうか。
ぼくも初めて紅白歌合戦で東方神起を観て聴いたときは、日本のジャニーズ系との圧倒的な差に驚いたものだ。東方神起の歌のうまさは、例えば2016年に解散した「スマップ」や2020年に活動休止した「嵐」などに比べても、レベルが違うのだ。
国による公金を投じてのバックアップが違うと言われている。映画制作から人材育成、海外進出までを支援する韓国映画振興委員会(KOFIC)は年間約400億円を支出。それに対して日本の文化庁が映画に出す助成金は約20億円だと言われる。
単純計算で韓国のほうが20倍もお金を使っていて、これでは日本はじっくり作品に取り掛かれないわけだ。
自分の企画で実写映画を作ろうとする監督の経済状況は厳しい。1本あたりのギャランティは数百万円で、年収換算すれば日本人の平均年収436万円にも届かない。そして、映画がヒットしても、興行収入に比例してのインセンティブもない。
● 韓国のファン文化
初監督作『岬の兄妹』で貧困の問題を鮮烈に描いた片山慎三監督は、現場での実感からこう語る。
「僕が助監督になった15年前は、超大作と低予算映画の中間に製作費1億円ぐらいの映画が少なからずありましたが、現在はほとんどなくなってしまい、格差が広がっています。数千万円の低予算映画だと、必然的に監督のギャランティも少なくなり、とてもそれだけでは生活できない。そういった状況が続くと、監督も消費されている感があって、モチベーションが保てなくなりますよね」
また、韓国ドラマ好きが生じて字幕なしで観られるまで韓国語をマスターして、韓国に住んでいるというブロガーのMisaさんは、ドラマに対しての韓国視聴者のネットを通じての積極的な意見発信を以下のように指摘している。
『韓国視聴者が活発に作品の評価や分析を行う背景には、まず何より韓国人がエンターテイメントが大好きだということ。そして、エンターテイメントに限らず、自分の意見をインターネット上で表現する習慣、また「ファンだからこそ厳しい意見を言う」という韓国のファン文化があります。
一方、制作側も、ドラマのクリップ映像や予告編はもちろん、メイキングやインタビュー動画、制作発表会の様子など「作る過程」や「作り手の想い」まで積極的に発信しています。
日本では考えられませんが、さっき見たばかりのシーンの裏側がわかるメイキング映像が、放送数時間後にはネット上に公開されます。』
● 配信や有料チャンネルに才能が
それから、韓国は早くから世界を見据えたネット配信を意識して活動していた。Netflixなどのオリジナル作品がそれにあたる。しかし、日本ではいい作品も世界に知られていないし、世界に積極的に広める方法も確立できていない現状がある。
国の支援が期待できないならば、世界的な企業に成長した配信サービスと組むのが打開策として考えられる。片山慎三監督もNetflixのオリジナルシリーズで仕事したことがあり、その潤沢な予算とクリエーティビティの高さを実感したという。
「すでに映画館での興行収入だけで儲けが出る時代ではないので、配信や有料チャンネルに才能が集まるのは当然の流れ。映画監督にとっては世に出ていくひとつのルートになるでしょうね」(片山監督)
Netflixの『全裸監督』で脚本・演出(武正晴らとの共同)を手掛けて評価を高め、『ミッドナイトスワン』で日本アカデミー賞を獲得した内田英治監督の成功例もある。
というように色々な指摘事項のブログやニュース記事を読んでいくと、一刻もはやく世界を意識したエンターテインメントの企画をたてて、戦略を練らなければ日本は遅れてしまうと思えてくる。
『いよいよ日本のドラマや映画も世界レベルになってきた。』と、言えるような日が来てほしいものだ。
参照:「韓国に大差つけられた日本映画界」低迷の真因 なぜ邦画は「アカデミー賞」に選ばれないのか?
「クソー! 韓ドラなんか見ないと言っていた俺が…ハマっちまった」