かけはし -6ページ目

かけはし

日本とヨーロッパの交流コーディネイターのさんぼです。
草の根のちいさな交流が広がれば、きっとお互いにわかりあえる、受け入れられる。

手術の当日は、6時半までに病院に来い、とのことで、病院は我が家から車で20分ぐらいのところにあるんですが、問題は夫は出張中で、次女も同居しているわけではないので、誰も連れていってくれる人が居ないんですよね。次女に早朝に来てもらってもいいんだけど。

まず考えたのは、自分で車で行って、ちょっと遠くの無料駐車場に置いておいて、帰りもそれに乗って帰ると言う案。だけど胸を切った後、帰宅できるとはいえ、果たしてハンドル操作が滞りなくできるかどうかは、ちょっと不明だよな、と思ってそれは却下。

あとは自分で運転して行って、後で次女がボーイフレンドとわたしの車を取りに行くと言う案。


6時半までに来いって、考えてみれば結構大変ですよね。前の日から泊めてくれれば良いのに。聞けば考慮してくれるのかもしれないけど。


化学療法とか通院とか、証明書があって承認を受ければ保険会社がタクシー代を一部負担してくれます。自費負担は片道15ユーロだったかな?多分これも申請すれば承認されるんじゃないかなと想像しますが、申請するのが面倒くさいし、よくタクシーが遅れて現れる、とか言う話も聞くので、タクシー利用は積極的になれない。考えてみれば、わたしはその患者輸送タクシー運転免許も持っていて、うちの業務車は保険会社に登録しているんだわ。しかしまさか自分で自分自身を運転して通院させることはできないね。



これは入院前の注意書きです。


青の部分は手術4週間前から留意すべき事項。

⚪︎少なくとも毎日15分は体を動かすこと。散歩とか自転車、水泳、階段昇降など。

⚪︎ ニコチン摂取を少なくする。できることなら辞める。喫煙は手術後の回復を明らかに遅くします。

でその後に、

「禁煙は言うのは簡単だけど実際に実行するのはすごく困難。これは依存症だからです。そこで下記のウェブサイトにアクセスしてアドバイスをもらってください」


さて、運動ですが、わたしはラジオ体操と暑くなる前はジョギング、そしてスクワットなどの軽い運動は続けているので、良しとします。ただし、これはホルモン剤の影響と思うけれど、体が痛く、全ての動作が「どっこいしょ」なんですよね。そのうち慣れるでしょうけど。

タバコに関しては、わたしは40年ぐらい大喜びで喫煙しており、わたしの数多い欠点の中でも社会的に最も忌み嫌われる欠点だったのですが、がんと診断されてから吸っていません。辞めたんじゃ無いんです。単に今吸っていないだけ。

最初はケモセラピーから始まる事になっていて、副作用で気持ちが悪くなることが予想されたので、なんとなく吸う気が無くなっただけです。そしてそれが今でも続いている。

実は1日のうち、少なくともきっと合計して1時間ぐらいはまだタバコのことを考えていて、いつでも再開できそうなんです。タバコを買うぐらいのお金はあるし、アイコスだったんだけどまだ持っているし、車もあるから電子タバコを買いに行こうと思えばいつでも行ける。

だけど行かない。せっかく今まで吸ってないから、なんかまた始めるのは勿体無いし、手術の時も経験上肺や気管がクリアな方が術後楽だろうなと思って。

あと日本に行った時に喫煙場所を探し回る手間が省ける。ただ日本には味付きの電子タバコがあって、それはもう一回味わいたいよなあ。



そしてその下に、1週間前は、常用の抗血小板薬的なものを家庭との面談の上服用をストップすること。

24時間前は、普通に飲食して夜は高カロリーのプロテイン飲料を飲むこと。

お風呂に入るかシャワーを浴びて特におへそをよく洗うこと。清潔な下着を着用すること。


手術するんだから、血液サラサラにする薬なんて飲んでいたらやばいでしょうから当然早めにストップするのはわかるなあ。

24時間前の注意書きですが、3年前に手術した時は、運動についてもプロテインについても言われなかったんですが、これは最近のガイドラインでしょうかね?プロテインを摂取すると傷の治りが早いらしいですね。

そこでこの注意書きをもらった日にすぐに次女がプロテインパウダーを買いに行ってくれて、ちょっと飲んでみているんですが、わたしはこれを自分から進んで飲むことは無いでしょうね。何しろ甘い。わたしは甘い飲み物が苦手で、しかもこれは健康を考えてだろうけど人口甘味料なんです。わたしは甘さを求めるなら自然の甘味料の方が体にいいと思っているし、心配なら量を調整すればいいと思っているんですよ。この後味が苦手。ただ、今はちゃんと1日に一回飲んでいます。

手術前日に飲むための高カロリープロテイン飲料は一本病院からもらいました。これもなんか業者とちょっと関係あるのかもな。


お風呂とシャワーは我々にとっては当然だけど、案外年配者とかお風呂は週に1回の人はかなり多いし、改めてこのように指示しておかないと、なんとなく不潔感漂う身なりでくる人もいるんだろうなあ、と思った。おへそのお掃除は考えもつかなかったけど、やりましょう。


あと最後に術後について書いてありますが、

なるべく早く体を動かすようにしましょう。シャワーとか廊下を歩くとか。

食事はベットに腰かけるかテーブルで食べましょう。

ガムを少なくとも1日3回、30分間噛みましょう。


食事と体を動かすことはすぐ理解できますが、このチューインガムを噛め、と言うのはにわかには信じられませんでした。冗談かと思った。だけど昔病院に勤めていた長女によると、これには理由があり、ガムを噛むことで、胃腸が「食事をしている」と騙され、腸の動きを早く回復させ、術後の腸イレウスの予防となるとされているんですって。いや、これも説得力ありますね。次女にガムも買ってきてもらおう。

そして、再度高カロリープロテインドリンクの摂取が推奨されています。ふむふむ、やはりなんかメーカーと関係があるのかな?


わたしがすでに病院からもらったプロテインドリンクは味が選べました。ヴァニラかチョコかフルーツ。わたしはフルーツにした。昭和の時代、フルーツ牛乳というのがあったけど、わたし好きだったような覚えがあるので、味がその方向じゃないかなと思って。


さて、わたしは放射線治療について、書こうと思ったのですが、それは放射線科との面談の後に書く事にします。


さんぼ






手術が決まるまで本当に長くかかりました。


これはわたしの記録日記でもあるのでちょこちょこ書いていたらこの日記はかなり長くなりました。


治療方針が決定できなかったのは病理の記録のミスのせいですが、シンプルなミスではなかったために、腫瘍内科、乳腺外科を混乱させて、わたしも不安のどん底に陥れられたわけです。


最初の病理では、両側乳がんで両方ともホルモン依存度の高いタイプというところは共通していましたがあとはかなり違ったタイプとされていて、とりわけ増殖スピードが右側は異常に速いとされていました。

そこでガチの化学療法が選択されたんだけど、わたしは、分析オタクですから、病理検査の結果を医師用のハンドブックで調べまくり、どう考えてもこの増殖スピードは異常じゃないか?なんだかそこだけ後の数値とそぐわないと思ったんですよね。

で、腫瘍内科の先生に電話かけて、なんか数値がどうしても不自然な気がするけど本当にガチの化学療法を始めねばならないのか?もっとマイルドなのとか短縮パターンはないのか?なんて聞いたんですよ。

わざわざ電話したもう一つの理由は、わたし自身というより次女が化学療法に対してかなりの恐怖心を持っており、何度も「本当に必要なのかもう一度医師に聞いてください」と懇願されたからです。


その時点では増殖スピードがかなり速いから早急に化学療法、という考えを繰り返されたので納得しましたが、その次の日に電話かかってきて、ケモは中止。病理の値が下方修正されたからとのこと。


わたしが想像するに、わたしが電話をかけたから、わたしの資料を改めて見て、病理結果が修正されていたことに気がついたんじゃないかな?とも思うんですね。


わたしは今回色々な場面で思ったんだけど、大病院の医者は多数の患者を抱えており、病理の結果などは、患者との面談の際に初めて読む場合もあるようだし、検査の追加結果など、自動的にカルテに保存されて、その都度医者が読むわけでは無いんじゃないかなあ。

もちろん重大な変更とか追加事項とかは検査場から電話かなんかで連絡があると想像しますが、忘れることもあるでしょう。わたしの病理の検査結果の修正は、重大なものでした。だけど、医師には特別な連絡は無かったのだと思う。どうしてそう思えるかと言うと、修正された病理結果の書類の日付が、かなり前の日付だったからです。

因みにこのような検査結果の書類は、患者はもらう権利があります。ただし、言わないともらえません。わたしは、自分の状態を洗いざらい知りたいタイプなので、全部 ー 時にはわざわざそのために病院に出向いて ー もらいます。


実際乳腺外科医もわたしと手術の話をした時点では、手術方向に舵取りをするエビデンスになった遺伝子検査の詳しい結果はわたしのカルテには入っていなかったので読んでいなかった。おそらくオンコロジストと電話で概要のみを話しただけなんじゃないかな。

詳しい検査報告書は(まだそれがわたしのカルテに保存されていないことにびっくりして)わたしがオンコロジストに請求して取りに行って、自分で乳腺外科医の秘書のところに持参しましたもん。そしてわざわざ主治医にOncotypeの検査報告書は貴女の秘書に渡して、彼女はそれをスキャンしてカルテに入れたからね、とメールしました。そうでもしないと確実に読んでくれないかもしれない。その後主治医からは「読んだよー」との返事が来ましたけど。


「あなた自身よりもあなたの体を心配する医者はいない。」

正確ではないけれど、これに近いことを敬愛する故千葉敦子女史が書いていらっしゃいました。

わたしは奇しくも、彼女が命を落とした病気と同じ乳がんになったんですが、わたしは今回、それを肝に銘じて、主体的な患者人生を歩もうと思っています。





ともあれ結果的にはわたしの腫瘍は、化学療法の中止の後、がんの住所氏名年齢性格みたいな、素性を洗いざらい明らかにするための遺伝子検査に送られまして、左右のがんの正体が明らかになりました。この検査結果を延々と待っていたのです。この検査は日本でもやっていると思いますがOncotype-DXという検査です。


この検査では、遠隔転移の確率とか再発の確率なんかもわかるのですが、面白いのが、悪性度が高く、増殖スピードが速いがんが必ずしも転移や再発の確率が高いというわけでは無いみたいなんですね。わたしの場合がそうで、今までおとなしい無害ながん(無害なわけない)と思っていた左側が、実はそのおとなしい姿は世を欺く仮の姿で、再発の可能性は高くて、悪者に見えていた右側が、本当はイイ人だった。


とにかく、この検査で、両側ともケモがほとんど役に立たないことが明らかになったので、手術方向に舵を切ったんですね。

しかし、あの時化学療法を始めなくて良かった。化学療法は必要ならわたしはやるつもりでしたし、覚悟も決めていました。断髪して準備もしていた。娘たちからは、脱毛した時のために肌に優しいエルメスのシルクのスカーフもプレゼントされた。

だけど役に立たないのだったら、体を痛めつけるだけの無駄な治療になったわけですからね。


手術前にやるべきことは放射線科との面談です。手術あと、4ー6週間後に3週間の放射線療法を行います。

これは全摘手術なら不必要とされることがほとんどですが、温存手術だと、乳房の中に残った微小ながん細胞を退治するために放射線を照射することが推奨されているんです。これで再発度を下げることができます。体にほとんど負担はないという話ですが、皮膚は硬くなって多少の影響は避けられないらしい。

しかしこれに関しても、わたしは希望があり、それについて主治医に相談しました。あまりにも長くなったのでまた今度。


さんぼ

さて、わたしの治療の流れは、まず手術、その後放射線療法と決まりました。もしも病理のミスがなければ、今頃全て終わっていたのだと思うと残念です。普通ならわたしは激怒し、大騒ぎしそうですが、今回はあまりにも長く待機して、かなり精神的にも消耗したために「怒りの玉」みたいなのが消滅していて、わたしはまるで仏様のように穏やかです。

手術は最速で予約を入れてくれました。


わたしは3年前にも手術を受けましたが、その時は手術の前の日から入院だったのですが、今回は当日の早朝に行くようです。どうだろ?最近ほとんどの病院が予算削減に躍起になっているのでその影響?それともこの程度の手術は前からそうだったのか?


全身麻酔での手術なので、全身の検査がありますが、わたしはいくつかの検査は化学療法前の検査としてポート設置手術の前に済ませていたので、特に追加の検査はなかった。麻酔医と話しただけです。

心配なことは麻酔医に相談。わたしは3年前の下顎の手術で顔面左下部から首にかけて感覚異常があり、首に縫い跡があるので締め付け感があり、飲み物もごくごく飲み込めない不便があることを訴えて、それが今回の全身麻酔に何か影響があるかを聞きました。言うことは言ったので、ちゃんと考慮してくれるでしょう。その時点ではもうわたしは夢の中ですし。


驚いたのが、入院期間が一泊か二泊だと言われたこと。これはかなり驚きです。考えてみればわたしは色々な闘病ブログに目を通し、参考にさせてもらったんですが、ケモテラピー関係しか読んでいなかったことに気がつきました。手術が先になるなんて思ってもみなかったからです。今日から読まなくちゃ。

本当に手術の次の日に家に帰れるほど回復するんでしょうか?

下顎の骨を除去する手術は1週間、その後化膿したのでもう一度病院にとんぼ返りでさらに10日ぐらいいたと思うんですよね。

なんだかにわかには信じられませんが、専門家がそう言うんだったらきっとそうなんでしょう。着替えは念のため3組持って行くか。


わたしは8月中旬に日本行きのチケットをとっているんですが、生まれて初めて「早めに計画して安いチケットを買う」と言うのをやったんですよ。そしてその後にがん発覚。これはキャンセル不能のタリフで購入していたので、本当に無念だったんですが、もしかしたら行けるんじゃ無いか? 2日で家に帰れると言うのなら、2週間もあれば普通に動けるんじゃ無いの?

この予定は主治医にも言っていたのですが、まさか現実味を帯びることになろうとは!


手術までにはあと放射線科との面談があります。


全身麻酔での手術なので緊張すべきなんですが、わたしは待機時間が長かったので、とにかく物事が動き出したことが嬉しくて、もうそれだけで全て満足です。


手術の日まで、体調を整えて風邪などひかないようにしておかないと。ここまで忍耐強く待ったので、もう何も起こらずに手術日を迎えられますように!


病院からもらった手術前の飲食に関する注意書きですが、上は標準ドイツ語、下はシュバーベン方言で書かれています。

我が愛するバーデンビュルテンベルク州は、かつての州の標語に「我々はなんだってできる。標準語以外は」というやつが掲げられたほど、その強い方言で有名なんですが、こんなところにも方言を愛してることが表れていますね。


さんぼ