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かけはし

日本とヨーロッパの交流コーディネイターのさんぼです。
草の根のちいさな交流が広がれば、きっとお互いにわかりあえる、受け入れられる。

ドイツで火事で賃貸アパートから焼け出された場合のことなどを書き連ねても、なんの役にも立たないでしょうが、日記です。

さて、急遽運転手にホテルを予約しましたが、ギリシャ人の方は簡単でした。

「僕は鍵がかかる部屋で、部屋にシャワーとトイレがあればどこでも満足。あえて希望を言えばタバコ吸うからバルコニーかテラスがあれば最高」。そこでわたしがたまに泊まるバスの駐車場の近くの、バイク乗りがよく泊まりに来るペンションを予約しました。ここはガストホフ、ペンションと言われるタイプの宿泊施設で、階下にはレストランがあり、ギリシャ人は、他の運転手と一緒に何度かここにご飯を食べに来たことがあるので、割とすんなりと決まりました。

後で聞いてみたら、部屋はアパートタイプでバルコニーとミニキッチンも付いていて、料理はするつもりないけど、お茶やコーヒーが作れるので最高、とのことです。もちろん最後には「早くお家に帰りたい」と言ってましたけどね。


問題は潔癖症気味の掃除魔。彼は難しいタイプの人間で、悪人では無いですし、かなり真面目に仕事に取り組んでいるのですが、いつだってホテル探しは難航するんですよ。取ってあげて感想を聞いても、帰ってくる返事は👎。忌々しいったらありゃしない。で、今回は、ギリシャ人と同じホテルにしようと思ったら、「路線の途中にいい感じのペンションがあって、そこの娘がタイプだからそこに聞く。」と言ったので、もう任せました。かなり辺鄙な場所で、わたしはやめた方がいいんじゃ無いかなと思ったけど。で彼は人懐っこい面もあるので、たちまちオーナーのおじさんと仲良くなり、昨日なんか、レストランは休店日なのに、おじさんが夜ご飯を作ってくれて、ビール飲みながらご馳走になったらしいですよ。

でもね、後数日もすれば、絶対にやっぱり他のところが良いって言ってくるに決まってます。賭けてもいい。まず、そのペンションに行く道は恐ろしい悪路で、彼はそこにバスを持っていくしか無いんですが、そこから出発地点に行くためには、予想の2倍の時間がかかるはず。始発は絶対に遅れてはいけないと厳命しているので、その辺りは真面目な彼は不便を自覚すると思う。そしてタイプの娘は、週日は都会の学校に通うために、自宅であるペンションににおらず、週末だけちょっとお手伝いをしているだけだからです。なんでわたしがこんなことを知っているかと言うと、わたしはこの路線を2年ぐらいやっていたので、その女の子のことも知っているからです。


さて、この火事によって生じた余分な支出ですが、これは火災保険か何かで支払われると思います。まだなんのお知らせもありませんが。ただ、わたしにとっては、運転手にできる限り快適な住居を提供するのは義務ですから、お金の出どころがどこであれーあるいは一部負担してくれなかったとしてもーホテルを彼らのために用意するのは当然です。お料理も出来ないので、食事代も払います。彼らは毎日フィレステーキを食べるタイプでもないし。


もう数日経っていますが、水道管が破裂したらしく、このアパートがある村全ての水道が止まりました。今全力で道路を掘り返して工事しているそうです。

また、電気ケーブルが破損し、ケーブルは火の元の地下駐車場の下を通っているため、未だ警察の捜査が終わっていないために、工事が始められないようです。


さてここまで書いてから忙しさのあまり日記まで手が回らず数日ほったらかしだったんですが、その間に行われた残留有害物質の試験は合格したようで、地下が焼けたことによって建物の安定性が損なわれていないかのテストも合格しました。

水道も復旧、あとは電気だけです。これはもう少しかかるようです。なぜなら火災原因究明のための警察の捜査がまだ終わっていないからです。


ちなみに、日記を放っておいた間に、やっぱり予想通り掃除魔はギリシャ人のいるホテルに引っ越しました。お互い言葉はわからなくとも、なんとかうまくやっているそうです。と言うか、ギリシャ人によると「僕は彼が言っていることがほとんどわからないことを彼は知っているはずなのに、ずーっとご機嫌で喋っていて、面白い男だね」とのことです。ま、お互いに性格が合わなくて喧嘩するよりマシだね。


今黒い森にある2台。最長のタイプで、本来は国鉄代替バス専用の車両。こんなのを雪山の路線バスに使うところはあまりないです。なんでうちがこんなのを持って行っているかと言うと、これしか無いからです。右がギリシャ人、左が掃除魔のバス。掃除魔の方が新しいのですが、わたしは右の方が好き。同じタイプでも個体差があるんですよね。


さんぼ





 火事に関する諸々の雑事がありますが、その合間に、運転手のお仕事もやっています。

1月、2月はツアーバス会社はかなりヒマな時期で、それだからこそ、わたしはまた日本に里帰りを計画しているんですが、2月に来る仕事はスキーグループのトランスファーか、カーニバルのどんちゃん騒ぎグループのトランスファーがおもです。カーニバルグループは、断っています。以前は仕事の少ない時期なので、カネに目がくらんで全て受けていたんですが、彼らの煩さに根をあげて、多少のおカネと精神の安定を天秤にかけてみて、カーニバルからは手を引くことにしました。

スキーのトランスファーも本当はあまり好きじゃないんですよ。煩いし、荷物は多いし、スキーは嵩張るのでスキーボックスかトレーラーを引いて行かなくてはいけないし。

で、先日わたしにぴったりのグループが来ました。人数はたったの20人なので、トレーラーなしで行けるし、お客さんはフランクフルトの単科大学に交換留学に来ている学生が主らしく、「みんな仲間」のスキーグループよりも大人しいはず。

そこで、はじめて一緒に走るアルバイト運転手と二人で行くことにしました。


まずガレージからオーストリア、エッツタールと言う地方にあるセルデンと言う有名なスキー場に空のバスで行き、そこでお客を乗せて今度はフランクフルトへ送るツアーです。


わたしがこのトランスファーを自ら名乗り出て走りたかったのは、ドイツ最高峰ツークシュピッツがある山脈を通るFernpassと言う峠を走ってみたかったからです。自家用車では一度走ったことがありますが。これは割と交通難所と言われている峠です。雪が積もるとクローズしたり、チェーン必要になったり。わたしはバス免許取り立てですぐに黒い森の雪山に送り込まれ、そこで運転手人生を始めたので、峠は結構走ってるし、他の有名なサンベルナディーノ峠とかブレンナー峠はもうバスで何度か走りましたが、ファーン峠はまだ未経験だったのでやってみたかった。しかもこれは行きは空のバスですよ。そりゃあやるでしょう。客なしでお給料貰っての自動車学校教習みたいなもんですよ。

お迎えは16:30だったので、渋滞を鑑みて11時にガレージを出発。セルデンまではわたしが全部走りました。15時ちょっと過ぎに到着。渋滞が結構あって時間かかりました。セルデンをちょっとお散歩してみたかったけど。


みんなスキーに行くのね。かなりの渋滞でした。そして周りの景色も素晴らしい。だけど普通なら下の写真のあたりは雪で真っ白なはずです。やっぱり雪が少なくなっているんだね。運転手的にはありがたいけど、地球的には大問題ですね。


セルデンに到着する前も、いくつかかわいい村を通り抜けます。スキー休暇中の人がいっぱいいますが、やっぱりわたしを見ると振り返ってまでもう一度確認する人多いです。ツアーバスの女性運転手は元々少ないし、しかもアジア系でとても珍しいんだと思います。隣にいる同僚運転手などは「スターみたいじゃないか?手を振ってやれよ」なんて言ってましたよ。



こんなところを通過するんです。バスを降りて、散策したくなりますよね。

下はわたしが今回持って行ったお弁当。帰宅は次の日の朝3時ぐらいの予定で、22時を過ぎるとアウトバーン上のドライブインも閉まるところも多くなるので、セルデンで何か食べる時間がなかったら、もうそのあとは時間がないとわかっていたので、果物とチョコレートとビスケットを持って行きました。


フランクフルトまでは6時間半ぐらいかかったかな。途中で一回我が家の近くでトイレ休憩して、そこからわたしがまたハンドルを握って、フランクフルトまで運転。到着は23時前でした。そこでお客を降ろして、今度は同僚に交代して、我が家までとんぼ返りです。フランクフルトからは約250km。

ガレージ到着は午前3時を回っていました。わたしも最後の150kmぐらいを交代して走りました。


こんな長距離のトランスファーは大変だし、疲れ果てますが、実はわたしは路線とか、観光ツアーの運転よりもこっちがずっと好きなんですよね。止まらずに爆走が好きなんだと思います。お客がいるし、規定があるので休憩しますが、4時間5時間は走りっぱなしで平気です。自家用車の場合はよくやりますけど。


さて、初めて通ったファーン峠ですが、その日は寒いけれど道は乾燥していて、ヘヤピンカーブは二、三箇所だけで、見通しも良いカーブで、道幅も狭くなく、そんなに難しい道とは思わなかったけど、注意しなくてはいけないのは、道の脇が岩壁で、岩が張り出している部分がとても多いので、あまりにも道の端っこを走ると、バスの場合は岩にぶつかる危険があると思いました。わたしは車高4m近いバスだったから、慎重に運転しました。

あとこれは大型車ミニ知識ですが、大型車のブレーキはエアブレーキです。重量があって大きい力が必要なので、普通車の油圧ブレーキじゃ足りないので、空気の力でブレーキを作動させているんです。下り坂でフットブレーキを頻繁に使いすぎるとフットブレーキはタンク内の空気を外に出す力で作動するので、空気が足りなくなってブレーキが効きにくくなる現象が起こります。バスは二重三重の安全対策が取られているので、フットブレーキの他に手で操作するリターダーと言う補助ブレーキがありまして、下り坂やカーブでは、まずリターダーで減速するようにしています。それによって、ブレーキパッドの摩耗も減るし、エアタンクの空気が少なくなって制動力が落ちることも防げるので。

だからわたしもブレーキが必要な場合は、足よりも早く手が動くように習慣づけられているんですが、今回の車両、1ヶ月前にリターダーを新しくしたはずなのに、急に作動しなくなっちゃったんですよ。

まあなくてもエアブレーキがあるので問題はないんですが、まず先にリターダーが体に入っているので結構嫌だった。

ちなみにもう一つブレーキがあって、それはエンジンブレーキです。リターダーがある場合は、そっちの方が性能がいいのでリターダーを使いますが、今回は頼みの綱のリターダーが不調だったので、エンジンブレーキも多用しました。オートマチックでも、わたしのバスはマニュアルモードに切り替えできますから、低い回転数のギアに移動することで、ブレーキになる。オートマチックの自家用車でもマニュアルモードにできる車は多いと思います。例えばわたしの愛車のメルセデスVクラスにはついています。

あ、メルセデスなんて書いたらまるでセレブみたいですね。いや、国産車ですし、業務車ですから。

オートマチックの普通車の場合もマニュアルモードがある場合は、山道なんかは便利だなと思いますよ。結構あっても使っていない人が多いけど。



さんぼ

さて、この火事に見舞われたアパートは、かつてはカンファレンスホテルでした。セミナーなどで長期滞在を想定していたので、部屋は広く、それだからこそ、その後アパートに鞍替えした際には、各部屋にミニキッチンを取り付けるほどのスペースの余裕があったんです。

このアパートはPendlerと称される週日は職場に近いところに住んで、週末は自宅に帰る人をターゲットにしていましたが(その頃に一部屋目の契約をした)、その後、近所にあるありとあらゆる運送関係の会社が外国人出稼ぎドライバーのために多くの部屋を借り上げて、ここは「外国人アパート」のようになりました。住民の多くがクロアチア、セルビア、ポーランド、ルーマニア、ハンガリーなどの旧東欧諸国からのドライバーで、人によっては妻子を連れてきています。

実際我が社もそうで、外国からやってきてくれたドライバーが住んでいます。一人はお馴染みギリシャ人、もう一つはリトアニア人が住民登録をしている。残りの一つは流動的で、定住者はいません。心情的には「わたしのアパート」なんですが、目下は掃除魔が住んでいます。


外国人の方がマナーが悪いとは断言しませんが、実際のところ、外国人が多い集合住宅はわかります。特にゴミ置き場の辺りを見ると明確にわかる。


我がアパートも、最初はマトモでしたが、今やゴミ置き場などは典型的な「外国人の多いアパート」になりました。きっと汚部屋も多いと思いますよ。


これは前にも乗せましたが、リトアニア人の部屋のバルコニーから見た下の部屋のバルコニー。

まあこれは特別でしょうけどね。


とにかくアパート全体がなんとなく雰囲気が暗くなってきています。管理が悪い部分もあるでしょうが、住民のモラルも低下しているのだと思う。

ただし、我が社の社員は、幸運なことに住居を大事にするタイプばかりで、それぞれ改装や掃除に勤しんでおり、大事に使ってくれています。


そしてこの火事。


わたしは、すぐ住居を用意して、運転手たちは次の日からは、ホテルの暖かい部屋で一日の疲れを癒し、階下のレストランで美味しいものを食べて、ビールかワインなど飲み、ベッドで休めている訳ですが、住宅管理会社によると、なんとほとんどの住人が火事の次の日には戻っており、電気も水もないのでキャニスターの水持参で自分の部屋で寝ていたそうなんです。

管理会社が「安全確認ができるまでは立ち入りは私物を取るためだけ」と再三警告しても無駄。数日後には遂に警察からの勧告となりました。


これはわたしの想像ですが、アパートの前に停まっている大量の運送会社の車両を見ると、全てみんなが知っている大会社ばかりなんですよ。だけど、運転手の仮の住居を用意しているようには思えない。大会社が社員の一大事を放っておくのも考えにくいので、これは運送大会社と運転手の間には「運転手派遣エージェント」がいるんだろうね。「外国から安くて有能な運転手を御社に派遣します」とかね。あ、これは想像ですよ。でも当たらずも遠からずと思うけどな。


会社からの支援がない場合、言葉も不自由で、即座に仮の住居を見つけるのは至難の業ですよ。期間もわからないし、お金がどこから出るかもわからないし。


そう言えば、ここには同業他社のドライバーもいっぱい住んでいるなあ。彼らにはいくらなんでも仮の住居が与えられていると信じてるけど。我らが運んでいるのは人間ですからね。


三つのアパートを借りているので、我らは三人の大家さんがいますが、密に連絡しているのは一人だけ。あとの二人は、興味がないのか、大丈夫と思っているのか全く連絡ありません。まあ部屋は三つとも火事があった駐車場とは反対側に位置しており、しかも3階で、階段からも離れているので、部屋の中は全く無事なんですが。


今後保険の処理とかで、結構余分な仕事が増えるだろうなあ。2月はちょっと里帰りするんだけどなあ。


現時点では原因を究明すべく、捜査が続いているらしいですが、安全検査の結果が問題なければ、電気が復旧したらアパートに戻れるはず。電線が火の元の地下駐車場の下に埋まっていることが問題でしょうが、関係者全てが早く元に戻したいと切望しているでしょうから、きっと迅速に工事は進められると思うんです。


さんぼ