ギリシャへ⑥デルフィからアテネへ | かけはし

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日本とヨーロッパの交流コーディネイターのさんぼです。
草の根のちいさな交流が広がれば、きっとお互いにわかりあえる、受け入れられる。

ホテルの前で荷物を積み込むと、パトラスーアテネ間の交通を1時間ばかりブロックすることになるため、学生には気の毒ですが、重いスーツケースを引いて800mばかり離れたところに駐車しているバスのところまで持ってきてもらいました。これ、日本人グループでやったら大問題になるでしょうね。

多分小さなトランスポーターを別に頼んで、荷物だけバスに輸送する計画を立てないとまずいでしょうね。

やはり全部のスーツケースを積み込むのに1時間近くかかりました。ダブルデッカーは車の後部に広い荷物室があるので、その広い空間をうまく計算しながら積み込まないといけないのです。

今回はそもそも学生に「小さなスーツケース」「出来れば旅行バックで」とスーツケースのサイズを明記した案内を送っておいたのに、実際に集合場所に集まった荷物は超特大のスーツケースが多く、しかもこれが形の定まったハードシェルならまだしも、最近流行りの変形で曲線を多用したスーツケースだったり、布製のぷっくり真ん中が膨れたやつだったり、積みにくい荷物ばかりだったんですよ。ほんと、カクカクした真っ直ぐのスーツケースばかり市場に出回って欲しいですわ。これをどこかに積み込む人の気持ちになって欲しい。

学生の中の幾人かは、自発的に手伝ってくれましたが、本当に大変だった。


デルフィを出発してすぐ、Distomo いう村に到着します。他国の団体バスは通りすぎる村かもしれません。しかしドイツの、それも学生ツアーならばこの村について何も学ばずに、通過することはまず無いでしょう。

この村は、過去にドイツ軍が悪行の限りを尽くした悲劇の村なんです。

ドイツ軍に反抗したパルチザンがこの村に逃げ込んだという情報を得たドイツ軍は、この村の人たちに外出禁止令を出して家に閉じ込め、その後各戸を訪問して中にいた住民を虐殺したのです。相手が赤ちゃんや子供でも容赦しませんでした。

またその後の賠償問題でも、多くの課題を残したために、この村はとても有名になったんです。


ドイツに住んで、ドイツ人とヨーロッパ各地を回ると、どの国にもドイツ人が過去に行った悪行(しかしその当時は悪行と思っていなかった人が大半だったあたりが恐ろしい)の爪痕があります。イタリアにもフランスにもオーストリアにも、とにかく全部の国にです。複雑な気持ちになりますよね。そんなところにピカピカのドイツナンバーの超大型バスで傍若無人に入っていくのは本当に嫌だ。

先生たちも、学生にこの村では行動に気をつけるように、何度も何度も繰り返していました。その時の犠牲者の子孫も住んでいるし、ドイツに対しての好意を生む土壌が無い土地なんです。

我らは、村の中心を抜け、戦争記念博物館と犠牲者の慰霊碑に行きました。バスを離れられなかったのでわたしはバスにいましたが、気のせいかもしれないけど、通行人からの視線が突き刺さるような気分になりました。

しかし学生たちには平和とは何か、平和を保つためには何をすれば良いかを考える機会になった訪問と思います。


バスはアテネに到着する前に有名な修道院にも立ち寄りました。

Hosios Lukas 修道院です。ここはもしかしたらアテネからデルフィへの1日ツアーにも入っているかもしれないな。でも修道院の前にバスを停めるのは至難の技で、一台停まっていたらもう方向転換が不可能なほど狭いから、どんどん観光バスが来ることは無いかもな。どうだろう?訪れる価値のある素晴らしい修道院でしたが。


十世紀にギリシャ正教の聖人ルーカスによって設立された修道院です。ビザンチン建築の傑作と言われています。

ビザンチン建築の特徴はものすごく大雑把に言うと、ドーム、大理石、金ピカのモザイクでしょうか。


こんな感じ。

これは世界遺産にもなっており、昨日のデルフィの遺跡群に続き、2日連続での世界遺産鑑賞となりました。ありがたい。なんてラッキーなんでしょう。艱難辛苦の末にギリシャにたどり着いた甲斐があるというものです。

本当は夫はこの修道院を見てもよかったかもな。彼のセカンドネームはルーカスで、この修道院の設立者と同じ名前だから。夫は観光にわたし以上に興味ない人で、バスに残っていました。まああまりにも狭いところなので、運転手は残っていた方が良かったという理由もあるけど。


そこからアテネへ向かう前にもう一箇所立ち寄り。Eleusisの遺跡です。ここはわたしもバスに残って、ゴミをまとめたり掃除したりしましたので、遺跡は見ていません。

この土地で夕ご飯も食べてホテルに向かうことになったので、バスの近くの料理屋で、ギリシャで初めて自分で注文したお料理がこちら。


夫はギロス。香料で味付けした薄切り肉を香ばしく焼いたもの。わたしは焼き鳥です。これ、本当に日本の焼き鳥屋さんの香りがしましたよ。炭火で焼いているからです。あとはフライドポテト(レモン風味)とピタパンとトマトと玉ねぎとレタスのサラダがたっぷり。

この後ホテルまで運転あるのでワイン無し。ワイン無しのギリシャ料理ほど味気ないものはないね。しかし、ここのお料理はとても良かった。これにグリークサラダとツァツィキソースを付けて二人分で25ユーロちょっとかな。ドイツよりずいぶん安いと思う。

そしてアテネのホテルにチェックイン。ここに4泊します。


さんぼ