ギリシャへ② Anconaの港へ | かけはし

かけはし

日本とヨーロッパの交流コーディネイターのさんぼです。
草の根のちいさな交流が広がれば、きっとお互いにわかりあえる、受け入れられる。

夫は他人を褒めないタイプで、文句ばかり言う、部下から好かれない経営者です。

そもそもわたしが住んでいるシュヴァーベン地方の人は、ケチで有名で、多分褒め言葉もケチるんでしょうね。「何も言わなければ褒めているのと同じこと」なんていう格言的なものもあり、本当に心の貧しい地域だなあ、と思うんですが、彼は郷土愛が強いあまり、この傾向が強く、人を褒めないんですよ。

その彼が、今回はわたしを褒めましたね。初めてです。アクセルを一定に保ち、速度もきっちり法定速度で、峠でのカーブなどでの補助ブレーキも正確に使用していたそうです。

ああ、嬉しい。まああれだけ苦労して文句言われたら、爆発して途中下車して帰りますけどね。


オーストリアは22時から6時までは大型車は時速90kmまで。スイス、イタリアはバスは時速100km。


オーストリアのブレゲンツで一度給油し(オーストリアはやや安いから)、その後も約2時間半に一回ぐらいの休憩を取りながら進みました。だって、フェリーの出発が8時間遅れるので、普通に走ったら早くつきすぎてそれはそれで困るからです。

普通は夜中なら4時間程度は続けて走ることが多いです。こっちもそちらの方が楽。ちょこちょこ停まるより、一気に続けて長く走るほうが、集中できる。

30分程度の休憩なら、休憩中にお客がバスに残っていても何も言いませんが、一回1時間の休憩をスイスのベリンツォーナでとった時は、それは早朝の5時過ぎだったので、寝てる生徒だらけでしたが、夫は全員バスから降ろしました。わたしはこれができないんだよな。でもそれは正しいことなんです。

我々も休憩を取らないといけないけれど、バスにお客さんが残っていたら、安全規定上バスを離れられません。そんな制約がある場合は休憩とみなされないからです。とにかく全員叩き起こしてバスから出して鍵かけます。全員残らず降ろすのに、約10分ぐらいはかかるので、その後45分ばかり、規定の休憩をとったことになるんですね。

これは日本人グループの時は説明に苦労します。休憩時にバスに残っていたい人って結構いるんですよ。あなた方がバスに残っていたら、こっちの休憩にならない、と言うことが理解できないんですね。添乗員さんにしてからが「わたしも残りますから」とか言って、理解してくれない人もいるぐらいなので、お客さんはわからないかもね。バスの安全管理を他人に任せるわけがありません。日本人客に慣れているバス会社は、もしかしたら、もう諦めて、何も言わないのかもしれない。

ま、とにかく、通常の1、5倍ぐらい多くの休憩を取りながら、やっとアンコーナに到着したのが、15時ぐらい。チケットセンターでチェックインです。


今回は生徒が71人、先生が6人と我ら運転手チームが2人。先生と我らは、船室が予約されており、運転手の部屋は、1番ランクの良い窓付きの船室。ああ良かった。窓なかったら、わたしは追加料金を払っても窓付きキャビンに変更してもらうつもりだったので。先生方は窓なしキャビンのシングル。生徒はデッキで雑魚寝。そのために折りたたみマットレスとか寝袋とか持参です。生徒の中で、床でごろ寝はどうしてもいや、と言う子もいて、9人のお嬢様方は、エアクラフトシートと呼ばれる、リクライニングシート席のチケットです。

先生方と運転手は、夕食、朝食、昼食のバウチャーももらいました。21時出航で、ギリシャ到着は次の日の20時。約丸一日の船旅なんです。


アンコーナの港に到着した我が愛車。港町アンコーナの夜景。


アンコーナのフェリーチケットオフィスは街から、つまり港からは離れたところにあります。そこでチェックインして、バスで港に移動、港でチケットとパスポート、手荷物のチェックを終わらせて、バスを港のフェリー待ち場に入れたら、出航までは、その場を離れても良いです。

バスポートチケットチェックを終えた学生は、手荷物をまずバスに置いて、港の近くのアンコーナ旧市街で自由行動しても良いことにしました。

出航は21時30分ですが、乗船は19時なので、必ず18時にはバスに戻るように命令して、解散。


18時に、バスから手荷物を取り、18時過ぎには乗船が始まったので、生徒と先生は徒歩で乗船して、わたしと夫は係員の指示があるまでバスで待機し、40分ぐらい待ってからやっと呼ばれて乗船です。


たまたまシフトの関係で、乗船時は夫が運転していましたが、わたしがやらなくてよくて本当に良かった。このフェリー、多くの場合、大型車はバックで入れるんです。ものすごく狭いところをバックでなんて、まあ出来ないことは無いですが、緊張してすごく時間かかると思う。


大型車だらけのデッキ。絶対に一人じゃやりたくない。こんなところに平然と入っていく勇気は無いね。


やっと駐車し、一泊分の荷物を持って、部屋に落ち着き待ちに待った温かいご飯。その時点で我々はすでに30時間近く活動しており、交代で寝たとは言っても、所詮バスの中でのうたた寝ですからね、体は疲れ果ててるけど、頭は、ずーっと集中していたのでバッチリ覚醒している、典型的なロングドライブ後の変な体調でした。

アルコールの助けを借りて熟睡するべく、ご飯のお供はビール。


またまた下手な写真だなあ。なんでこんなに反射してるんだろう?アンコーナーパトラス間のフェリーです。案外大きいな、と思った。

船のご飯。ビュッフェで、ギリシャ料理もあったと思うけど、これは、豚の煮物にご飯を付け合わせて、フェタチーズのサラダを前菜に。この写真、付け合わせのご飯しか写っていなかった。これにビール。

部屋にはいり、あたまをぼーっとさせるためにネットサーフィン。夫はラップトップで漫然と映画鑑賞。かつて運転していなかった頃、夫がロングトランスファーから戻って、疲れてるだろうに、どうしてさっさと寝に行かないのか不思議でしょうがなかったけれど、今はわかる。まずこうやって頭の緊張が取れるのを待ってたんだね。


さんぼ