運転手生活4年目に入って | かけはし

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日本とヨーロッパの交流コーディネイターのさんぼです。
草の根のちいさな交流が広がれば、きっとお互いにわかりあえる、受け入れられる。

3年目と思ってたんですが、2020年の12月に免許を取得したので、もう四年目になるんですよね。信じられない。

途中で下顎の腫瘍発覚で、二度の手術を行ったので、途中でハンドルを握らなかった期間が三ヶ月ぐらいはあったと思うけど、良く働いたもんだ。

起こした事故は大小合わせて5回ぐらいかな。修理代は合計で200万円ぐらいはかかったと思う。

ガードレールに引っ掛けて後ろのドアを壊したり、バックして屋根にぶち当たって後ろのガラスを割ったり、停留所のポールを曲げたり、対向車とミラー同士がぶつかって、相手のミラーを落としたり。

自分が悪かったのは3回で、後の2回は不可抗力。

稼ぐより修理代の方がかかってるんじゃないかと思い、もう辞めようかなあ、と夫にも言いましたが、いや、運転しろ、と命じられましたんでね、まだやっています。

ほとんど80%は路線バスですが、他にもベルリンやクロアチア、イタリアなどのロングトランスファーも良く担当します。多くの場合夫とペアで。ホテルはツインで良いので、シングルルームを二部屋取るよりも経費が節約できます。


実際のところ、まだまだ下手っぴだなあ、と思うんですが、マシになったと思うのは、できないことがわかるようになった事かな。「この狭い道を通り抜けられるか」「対向車が来ているけど、安全に離合できるか」「この曲がり角は果たして曲がれるか」など、運転していると毎日いろいろな選択と決定を強いられるんですが、感覚で無理なことがわかるようになって来た。前は、無謀にも前に進み、結局物理的に前後左右への移動不可能になり、何度も恐ろしい思いをしました。何度も怖い思いをしたからやっと覚えたとも言える。

この巨大な車両の大きさを体に叩き込まないと操作はとても難しいし、それは人から教えてもらうことは不可能で自分自身で体験しながら覚えていくしかない。

あと、待つことができるようになったのは進歩と思う.交差点などで、前は「多分大丈夫だろう」程度で発進し、トラックにブレーキをかけさせてクラクション鳴らされたりとかよくありましたが、今は、後ろに長い後続車の列があろうが、慎重に「絶対大丈夫」になるまで待ちます。信号機でも、青になったとはいえわたしが右折するための場所が十分になければ、後ろに誰がいようが、クラクション鳴らされようが動きません。バスは長いので、例えば右折の場合など、交差道路の左折レーンまではみ出さないと物理的に曲がれない場合が多いです。

考えてみれば、昔は後続車に迷惑をかけたくない、と言う思いがいつもありましたね。ちんたら走って邪魔に思われてるんじゃないか、とかね。今はあまりそんなふうには考えないね。そもそも今や通常の道路状態だったらほとんどの場合は制限速度で走っています。つまり、市街地は指示がない限り時速50km、街を抜けたら80km(車は100kmですね)、高速道路では100km。だから、後続車のご機嫌をいつも伺わなくても良くなった。

だいたいバスは大型車両の中でも結構動きが鈍臭い方で、特に曲がり角なんかはトラックの方がヘッドが短くて途中で曲がるので、てきぱきと曲がれるんです。バスは言ってみれば長い一本の棒を操作して移動させているようなものなので、やたら大袈裟に大回りして右折を全うせざるを得ない。アウトバーン走行なんかでは、バンバントラックを追い越しますけどね。


前は明日運転しなければならないとなると、前日から緊張し、眠れなかったものだけど、最近は自家用車に乗り込む時とあまり変わらない気分でバスの鍵を開けますね。


最近は同じ路線をずっと担当するよりも、人が足りない部分の穴埋めに行くことが多く、あんまり他社の運転手とは会わなくなったけれど、わたしが行ったら、バスですれ違う時なんて、にっこりと手を振って大喜びで挨拶してくれる人多いです。そう、女運転手はどちらかと言うと無愛想なタイプが多く挨拶も何もしない人多いけど、わたしは経験の浅い下手っぴと言うこともあるし生来の性格から、愛想は良く、無害感を醸し出しているタイプなので、同僚とは摩擦なく快適にお仕事できるんです。昨日もすれ違う運転手全員から歓迎のお手振りをいただきました。


しかし、一日遠足の運転手業務など、結構辛い事もあるね。先日はビール醸造所見学ツアーを運転し、醸造所見学のあとは当然ビール付きのお食事となったけど、まあわたしも一緒に見学してご飯はいただきましたが、そのあと延々と日付が変わるまで、宴が終わるのを待っていなければならなかったのは辛かったね。だからわたしは自分でツアーを作成するときはできる限り夕食はホテルかホテル近辺の歩いて行けるところを予約します。夕ご飯のためだけにバスで移動するような旅程は作らない。仕事とは言えこれは面倒で辛いからね。


色々思い出しながら下書きに入れて、書き足していったらすごく長くなりました。


路線バスデビュー時の写真と最近の写真。


さんぼ