相田みつを 「こんな顔で」 | Bohemian78-ambのブログ

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少し前の話題になるが日経新聞の2月の「私の履歴書」は女優の佐久間良子さんだった。
大先輩にあたる美人女優さんの戦中、戦後から現代に至るエピソードを毎回興味深く読まさせていただいた。
中でも連載24回目、息子さん(俳優の平岳大さん)の思い出の記事は忘れられない。

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以下抜粋
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折り目がボロボロになった紙切れに、鉛筆で書かれた幼い文字が並んでいる。
この顔は/悲しみに耐えた顔である/くるしみに耐えた顔である/人の世の様々な批判に/じっと耐えた顔である/そして/ひとことも弁解しない顔である(中略)
息子よ/こんな顔で生きて欲しい/娘よ/こんな顔の若者と/めぐりあって欲しい・・・
これは詩人相田みつをさんの作品「こんな顔で」の一節である。息子の岳大が小学生の時、教科書に載っていたのを読んで感動し、書き取ったものだ。米国留学中もずっと財布に入れて大切に持ち歩いていたらしい。(後略)
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少し補足すると息子さんの名前は平岳大。
離婚した平幹二郎さんとの間に生まれた双子の長男長女のうちの一人。
高校時代に米国に留学。現地の大学を見事卒業された後は投資顧問会社等ビジネスの世界でキャリアを積みながらも27歳で突如役者に転身された。
今もNHKの連続テレビ小説「梅ちゃん先生」に真田伸吉役で出演しているのでご存知の方も多いと思う。
息子さんはこの詩を異国での一人暮らしの心のよりどころとして大切にされ、質素な生活を送りながら勉学に励んでいたそうだ。


相田みつをさんの詩の全編を知りたくてネットを探した。
これがその全編である。

#記事の主様お借りします。
http://www.geocities.jp/kakejiotto/bravo/0005.html

「こんな顔で」―山田寺の仏頭によせて 相田みつを

宮沢賢治の詩にある
「雨ニモマケズ 風ニモマケズ」
というのは
こんな顔の人をいうのだろうか――

この顔は
かなしみに堪えた顔である
くるしみに堪えた顔である
人の世の様々な批判に
じっと堪えた顔である
そして
ひとことも弁解をしない顔である
なんにも言いわけをしない顔である
そしてまた
どんなにくるしくても
どんなにつらくても
決して弱音を吐かない顔である
絶対にぐちを言わない顔である

そのかわり
やらねばならぬことは
ただ黙ってやってゆく、という
固い決意の顔である
一番大事なものに
一番大事ないのちをかけてゆく――
そういうキゼンとした顔である

この眼の深さを見るがいい
深い眼のそこにある
さらに深い憂いを見るがいい
弁解や言いわけばかりしている人間には
この深い憂いはできない

息子よ
こんな顔で生きて欲しい
娘よ
こんな顔の若者と
めぐり逢って欲しい

この詩を読むと、ある方と重なる部分があって涙してしまうのは私だけだろうか。

しっかり生きなきゃとあらためて思う。