1978年春 ファイナルへのラストスパート(8) ~いざ金沢へ出発!~ | Bohemian78-ambのブログ

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34年前の3月19日。私は上野発の夜行急行「越前」にて金沢に向け出発した。
いよいよキャンディーズの「ありがとうカーニバル」の追っかけ開始だ。
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 この時の事も33年前に出そうとしたランちゃんへの未完のファンレターに詳細に書かれている。下書き状態だったため細かい修正を入れながら、なるべく当時のままの文章で掲載します。
内容的にどうも鉄道オタクの紀行文風になっている。このままではやはりランちゃんには出せなかった。(汗) 
読んでいて退屈かもしれませんがお付き合いください。


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『 ・ ・ ・ ・ <前略> ・ ・
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~美しい城下町 金沢での美しいコンサート~

上野発20時51分 福井行き 夜行急行「越前」
この夜行列車に乗るのは今度で2度目。1度めは受験に失敗した前の年の春。傷心の体で北陸回りで山陰に旅行した時でした。

#まだこの時代はこんな旧型客車が普通に走っていた。ドアは手動で風情がある。80年代後半に姿を消す。
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 上野を定刻に出た列車は都会のネオンの中を徐々に速度を上げ、大宮を過ぎたあたりからは外の家の明かりもだんだんとまばらに。コトコトという列車の音に身をゆだねながら、自分のこれからやろうとしている事について考えました。

3人のアイドルのためにここまで熱を上げる自分は大丈夫だろうか。大学に合格し浮かれて気が変になったのか? でも理由や動機が何であれ、数日前のつま恋で3人の素晴らしいステージを体験してしまった以上もう誰も自分を止めることはできないです。

まさか今年の春もこの同じ列車に乗るとは思いませんでした。何か因縁めいたものを感じます。1年前は傷心の体での旅だったけど今回は気分が全然違います。浪人から開放された上に、あの愛しのキャンディーズに逢いにいく。本当に夢の様な心持でした。

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明日の朝は金沢。時刻はまだ22時前。眠るのにはちと早いのでしばらく本でも読んで過ごす事にしました。高崎を過ぎて信越本線に入ると外の景色は急に寂しくなり、山間部に入るにつれ列車の速度も徐々に落ちてきました。窓外に目をやると夜汽車特有の旅情からかキャンディーズの思い出が浮かんできます。

僕とキャンディーズの出会いは「ハートのエースが出てこない」の頃でした ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
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・ ・ ・ <中略:第2回の記事内容と重複するので省略します>・ ・  ・  ・
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 列車がゴトンと揺れて止まる。 深夜の横川駅はひっそりと静まりかえり駅名板だけが煌々と明るく光っています。ここから碓氷峠越えの補助機関車を連結するため少々の時間停車します。[1] 僕はホームに出て連結作業を眺めていました。頬が切れる様に冷たい。暗い夜空をバックに山の稜線が見えます。この辺までくると遠くに来たなという実感。

発車のベルが鳴り慌てて列車に戻るとやはり中は暖かい。もうすでに高イビキをかいて眠っている乗客も。2台の汽笛が夜空に響き渡りゴトンという鈍い音と共に再び列車は動き始めました。まるで銀河鉄道に乗って愛しのキャンディーズに逢いに行く様な気分です。

先ほどまで向かいに座っていたカップルが起き忘れていた週刊誌を何気なく拾ってめくると、グラビアに「普通の女の子へのスパート」という見出しでキャンディーズのつま恋合宿の写真が載っていました!なんという偶然。[2]

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  髪をゆらして朝のジョギングしている3人。中でもランちゃんの表情がちょっとユーモラスで思わず笑顔になってしまう。ん!太めのスーちゃんだけが短パンで走ってる。彼女は相当足に自信があると見た。

そんな事を考えているうちにやがて夜中の0時。
いい加減にそろそろ眠らないと。明日は朝から実践倫理記念館前に当日券を得る為に並ばなくてはならない。今から英気をやしなっておかなくては。しかし焦るとなかなか寝付けないものだ。窮屈な固いボックスシート。前の座席に足を投げ出したり体をコの字型に曲げて横になったり悪戦苦闘してみるがどうも体のどこかに無理がかかって寝づらい。キャンディーズは今頃金沢の立派なホテルでふわふわのベットで仲良く眠ってるんだろうな。 今すぐにも寝台車両に移りたい衝動にかられましたが、これから先の予算の事を考えるとやはり節約です。B寝台に乗るとさらに3500円もとられる。がまんがまん、節約節約。

時刻は午前2時52分。とうとう列車は妙高の山岳地帯を抜け日本海に面した直江津に到着。ここからは北陸本線に入り金沢まで一直線の道のりです。直江津で列車の進行方向が逆になり、今まで僕のいた最前列の車両は最後列になりました。いつも最後列のオープンデッキに立つのが好きでしばらくボーっと過ぎゆく景色を眺めていました。日本海の方から吹いてくる冷たい風で髪がみだれます。暗闇の中の家や田畑、森林が2条のレールと共に闇に吸い込まれていきます。列車は僕の夢を載せて夜の北陸路を進みます。

2,3時間眠ったでしょうか。目を覚ますともう窓の外は東のほうからうっすらと白んで来てあたりの様子がはっきりとしてきました。水田。瓦屋根の家並。上空は澄み切っています。やがてまぶしい朝の陽ざしが差し込みガランとした車内を見わたすと数人のお客さんは既に起きて外を眺めていました。いい天気だ!
さあいよいよ金沢だ!


「皆様 お疲れ様でした。列車はあと5分程で金沢に到着いたします。。。お忘れ物のない様もう一度お確かめください。間もなく金沢です。」

金沢6時到着。早速駅前広場に出て実践倫理記念館の位置を確かめるべく地図を探しました。まだ人影もまばら。朝日を受けて建物が長い影を落としています。清澄な空気に包まれてとてもすがすがしい朝。地図で見ると実践倫理記念館は市街から相当離れたところにあるようで行き方がわからない。地元の人も馴染みのない場所なのか尋ねてもらちがあきません。バスの運転手に聞くと平和町行きのバスに乗って終点で降りて15分ばかり歩いた丘の上にあるとのこと。始発らしい平和町行きのバスを見つけていざ出発。徐々に明るくなっていく街の中をバスは軽やかに抜けやがて土塀に囲まれた屋敷や古い建物の横を通る様になります。さすが小京都と呼ばれた城下町だけのことはあります。

終点の平和町でバスを降り、足早に住宅街を抜け、丘の上に向かう長い坂道にかかりました。おそらく当日券売り場は徹夜組の連中で長蛇の列が出来ているに相違ない。急がなくては。心地よい冷気の中で小鳥がさえずりちょっとしたハイキング気分。朝日を浴びて松林がアスファルトの上に影を落とし道の両側は苔むした石垣が続きます。

しかし、しばらく登ると異様な光景に仰天しました。墓地だ! ずーっと道に沿って墓地が続いている! キャンディーズのライブを見に行こうというのに縁起でもない。今は明るいからよいが、夜コンサート終了後にこの道で帰るのは勘弁だ。[3]
そもそも本当にこんな場所でコンサートがあるのだろうかと不安になってきました。

その時、下の方からエンジンの唸りをあげて1台のラックが勢いよく登ってきました。すれ違いざまに運転席の中にキャンディーズのイラストのステッカーが一瞬見えました。おそらく機材運搬の車でしょう。この先にコンサート会場があるのは間違いないと安心しました。

「実践倫理記念館まで100m」の標識に励まされ登っていくとやがて丘の頂上にそれらしき大きな建物の一角が現れ出す。いよいよ緊張が走ります。おそらくすごい行列に違いない。ここまで来て当日券売り切れではシャレにならない。

しかしどうも人のざわめきらしきものが聞こえてこない。おかしいぞ??
急いで丘を登り切ってさあ実践倫理記念館の正面に立つと あ。。。呆然。。。 

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な、なんと入口前の広場には誰もいない! あれ1人いた!(写真上) 玄関前の階段のところに誰かが座っている。たった1人。とんだ肩透かしです。しかもキャンディーズの「ありがとうカーニバル」があるというのに看板やのぼりの1つも立っていない。どこを見わたしてもキャンディーズのキャの時もありません。ちなみに時刻は午前7:00。疑問を感じながらもとにかく階段のところに座っているファンらしき人のところへ行ってみることにしました。
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つづく
---------- ここまで -------------------------
[1]この碓氷峠は長野新幹線の開通と同時に廃線になってしまった。志賀高原にスキーに行く時も何度も越えた思い出がある。横川駅の峠の釜めしは有名。しかしランちゃんにこんな話を書いてもねえ。。(笑) 出さなくてよかった。

[2]週刊女性の1978年3/28号だと思う。このまま持ち帰って保有していたはずだが見つからない。表紙にキャンディーズの見出しが無かったので後にうっかり捨ててしまった可能性がある。先日ヤフーオークションに出品されていたが入札を忘れてしまった。写真は音楽専科別冊「キャンディーズラストアルバム」に掲載されていた同じスナップと思われるもの。

[3]後で知ったのだが金沢駅から会場まで無料の送迎バスが運行された。もちろんこんな早朝には運行されていない。

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金沢公演当日の朝はこんな感じだったんです。
もしファイナルのチケットが手に入らなくても、金沢公演に行く手はあったんです。
しかも開演直前もまだチケットが余っていました。

さて、この場所で開演までの長ーーーい時間を待つ事になります。
私にとっては「つま恋」と同じくらい思い出の場所です。(笑)
続きは次の記事で。