ある男が何者かに頭を殴られ死亡した
伊丹『凶器は?』
芹沢『血痕が付着してるので、この石みたいっす』
伊丹『こんなもので殴られちゃひとたまりもないな・・・害者の身元は?』
芹沢『身分を示す所持品は何もありませんね』
三浦『目撃者は?』
芹沢『いまのとこいません。ここは連日のように若い連中の溜まり場になっていたようで、付近の住民も夜間は近づかないそうです』
米沢『遺体に争った形跡はありませんので、後ろからいきなり殴られたようです』
次の日 特命係
陣川『おはようございます!杉下警部、亀山さん』
右京『おはようございます。おやおや今日はどうしましたか?』
陣川『最近、多摩川付近で痴漢や暴力事件が多発していると聞きまして何度かパトロールをかねて行っていたんです』
亀山『それでまた犯人に間違えられたの?』
陣川『そんなことはありません。ただ同じ地域で昨日殺人事件があったという報道を見まして、自分も特命係の一員として捜査に参加したいんです』
右京『おやおや、殺人事件とは穏やかではないですねー』
亀山『また余計なことを・・・もう経理に仕事に戻った方がいいんじゃない?』
陣川『いえ、この事件を解決するまで有休を使いますから』
亀山『筋金入りですね・・・右京さん』
右京『そうまで言われては僕らが捜査しないわけにはいきませんねー』
鑑識にて
米沢『そろそろ来る頃だと思いました。例の河川敷の事件ですね』
右京『なにか不審な点でも出たのですか?』
米沢『検死の結果、致命傷になった傷とは別に大きな傷跡がありました』
亀山『それが事件に関係あるんすか?』
米沢『なんとも言えません。ただ致命傷を与えた凶器とは傷跡が一致しないので、殺害前にも殴られていたことになります』
右京『一度目で意識を失い、別の人間による二度目で絶命したということですか』
陣川『何故別の人間だと?』
亀山『普通、犯行中に凶器を変えたりしないでしょー』
陣川『なるほど・・・』
捜査一課にて
芹沢『害者には前がありました!名前は落合義弘(31)、1年前に詐欺容疑で逮捕起訴され、一年の実刑で先日出所したばかりです』
伊丹『犯人グループの仲間割れってこともあるな』
右京『その詐欺というのはどういったものですか』
三浦『警部殿ー我々の邪魔をしないでください』
伊丹『なんでおめーがここに来てんだよ!』
芹沢『振り込め詐欺みたいっす』
伊丹『何しゃべってんだよ、ばか!』
芹沢『殴ることないじゃないっすかー』
亀山『今回の事件と関係あるんすかね?』
右京『もう少し調べてみましょう』
内村刑事部長『杉下!亀山!それと陣川!誰がここに入ることをお前らに許した?さっさと出てけ!特命の空気を持ち込むんじゃない!』
外に出ていく二人
亀山『まるでおれら病原菌みたいっすね・・・』
右京『向こうも手掛かりがなく焦っている証拠でしょうねー』
陣川『今後どうするんですか?』
右京『まず捜査の基本は聞き込みからですよ』
現場の河川敷に来た特命の3人
亀山『すでに捜一や所轄が聞き込みしてるんじゃないっすか?』
右京『ええ、しかし事件の聞き込みというのは得てして聞き漏らしが多いものですよ』
陣川『どういうことです?』
右京『刑事を相手にし、事件のことを聞かれれば無意識のうちに事件とは関係ないことを話してはいけないと考えてしまうものです。そうなると本当に大切な情報がもたらされないことも十分ありますからねー』
陣川『なるほどー』
近所の住民の梨田『またですか?昨日も刑事さんに事件のこと聞かれましたよ・・・』
亀山『今日お邪魔したのは、事件の日のことではありませんから。最近のこの周辺で変わったことを聞かせてください』
梨田『そんなこと言われても・・・あーそうそう最近夜寝やすくなったわ』
陣川『なぜです?』
梨田『以前は夜になると若者が花火をやったり、大声で叫んだりしてよく眠れないことがあったのよ。でも最近パッタリと静かになったの』
亀山『事件の日を境に騒音が消えた・・・まあ普通事件が起こった場所には近寄らないですよね』
右京『しかし、明確な事件現場の報道はされていませんよ。もしその場所を意図的に避けているとしたら・・・事件と何か関係があるかもしれませんねー』
陣川『他の住民にも聞き込みしてきます!』
特命係にて
陣川『近所の住民の何人かが同じようなことを言っていました』
亀山『しかし、そいつらが何処の誰かわからないっすね』
右京『この時期に花火を買えるところはそれほど多くはないのですぐ見つかると思いますよ』
しばらくして
亀山『それらしい若者グループがいましたよ』
右京『さっそく参りましょう、陣川くんはここに残ってください』
陣川『なぜです?自分も行きます』
右京『ここで捜査一課の情報を我々に伝えてください。そうすえば君の望むように事件解決は確実に早まりますよ』
陣川『なるほど。わかりました』
その若者グループに会いに彼らの溜まり場の店に来た二人
亀山『古田誠二くんいるかな?』
高田『・・・おい古田!やばいぞ!逃げろ!』
亀山『誰に言ってんだよ!おい!右京さーん』
古田は裏口から逃げようとした
右京『古田さん、逃げるということは罪を認めたことになりますよ』
古田『うるせーどけ!』
次の瞬間、杉下右京の見事な投げが決まった。
亀山『話は署のほうでゆっくり聞くから』
特捜本部のある多摩川署にて
三浦『警部殿ー勝手な真似はやめてください!』
伊丹『おれらの捜査を無視する気ですか!』
亀山『おまえらが俺達を無視したんじゃねーか』
右京『我々は捜査一課への出入りを禁じられました。となれば事件に証拠がない段階ではこれしか出来ませんよ』
取調べを開始する一課
伊丹『お前が殺したのか?』
古田『俺じゃない!たぶん岡田だと思う』
伊丹『岡田??だれだそいつ』
古田『俺らのメンバーだったけどこの前抜けたんだ』
三浦『なぜ?』
古田『あの日、俺らが遊んでたらあの死んだ男が「うるせーぞ!こら」と因縁つけてきたんだ。それで、仕返しのつもりでそいつに何回か石をぶつけたんだ。そしたら・・・岡田の投げた大きめの石が当たったらしく倒れて動かなくなった。まさか死ぬなんて・・・』
右京『ちょっと失礼!』
三浦『警部殿ー』
右京『30秒だけ、一度投げただけで倒れたのですね?その後はどうしました?』
古田『ああ一度だけだ。その後は怖くなってすぐ逃げた』
右京『そうですか・・・』
特命係にて
陣川『犯人は古田で決まりですね』
右京『いえ、彼ではないと思いますよ。もし誤って殺してしまったんなら二度目の殴打を隠す必要はありませんから』
亀山『じゃあ、やはり真犯人は別にいるということっすね』
角田課長『よっヒマか?あ・・・陣川・・・あんたまだいたの?まあいいか、そうそう、死んだ落合の1年前の詐欺事件を調べなおしてみたらとんでもないやつだったぞ。金をもってそうなやつに片っ端から電話をかけ言葉巧みに金を引き出してたようだな』
亀山『しかし・・・そんなにうまくいくもんなんすかねー』
右京『最近のは組織として周到に計画されたものが多いようですからねー』
角田『いや、落合は一人でやってたようだぞ』
右京『妙ですね・・・被害者のリストはありますか?』
角田『ああ、一年前に逮捕されたときのがある』
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右京『ヒルマンエンタープライズ部長、野村建設役員、伊東商事役員・・・なるほど、そういうことでしたか』
亀山『え?』
陣川『さっぱりわかりません・・・』
右京『事件は思わぬ方向へ向いたようですねー』
続く~