現場周辺を聞き込みする特命係の二人

伊丹『特命の亀山~犯人は風間で決まりなのに、何を調べてんだ』

亀山『お前らこそ、何調べてんだよ』

芹沢『それが風間がやったという物証が何もないんすよ』

右京『まさか強引な取調べは行っていませんよね~』

伊丹『余計なお世話です!おい、行くぞ。あとは証拠さえあれば風間も認めざる得ないだろ』

芹沢『はい』

亀山『捜一は風間で押し通す気ですね・・・』

右京『・・・』

 引き続き聞き込み

亀山『ここ最近で何か変わったことはありませんでした?』

住民『大した事じゃないですけど・・・以前は野良猫が沢山いたんです。それが最近はほとんど見なくなってしまって』

右京『それはいつごろからですか?』

住民『3ヶ月くらい前からかしら』

亀山『他には?』

住民2『まさえさんは最近体調が優れないってよく言ってましたね』

右京『そうですか。まさえさんと特に親しい人はどなたかご存知ですか?』

住民2『まさえさんが勤めている食品工場の松阪(55)と言う男の人とよく飲みに行くと聞いたことがあります』

 まさえの勤めていた吉永食品工場を訪れた二人

右京『警視庁特命係の杉下と申します』

亀山『同じく亀山です』

松阪『私が開発部の松阪です。何か事件のことでお話があるとか』

右京『え~二、三質問がありまして、まさえさんが事件に巻き込まれるような理由に心当たりはありますか?』

松阪『弟さんと揉めていたと聞いたことありますが詳しくは知りません』

亀山『では、事件後に現場から持ち去られているものがあるのですがそれについては?』

松坂『私に聞かれても困ります・・・でもあの家には何度かお邪魔したことありますが、盗まれるものなどなかったと思いますよ』

右京『そうですか、失礼しました。あっ!あともう一つだけ、事件の日はどちらにいらっしゃいました?』

松阪『私を疑っているんですか?』

亀山『単なる確認ですよ』

 手帳を見る松阪『あの日は社長との早朝ゴルフがあったんで5時頃には千葉県のゴルフ場に行ってますね』

亀山『ご協力感謝します。ところで表に大量に積んであるのは缶詰ですか?』

松阪『ええ、我が社の社運をかけた新商品ですよ』

 
 警視庁に戻る二人

米沢『お待ちしていました。ご依頼の件の結果が出ました。被害者のまさえさんのものと思われる毛髪からは微量ですが農薬の一種であるメチレンテトラピンが検出されました』

亀山『なんすか?それ?』

米沢『ですから農薬の一種です。日本では有害指定農薬ですのでおそらく外国で体内に取り込んだか、外国製品を摂取したということになります』

右京『なるほど。少しずつ事件が見えてきました』

亀山『?次は何を調べます?』

右京『吉永社長に会いに行きます。何をやってるんです?』

亀山『え?今ですか?帰ってきたばっかりじゃないっすか』

右京『おやおや、刑事がそんなことを言っていては事件解決は永遠にありませんよ』

亀山『はい、はい、行きますよ~』

 吉永社長の家に向かった二人

右京『先ほどお電話致しました杉下です。さっそくですが従業員の野原さんが失踪した日に早朝ゴルフに松阪さんと行っていたのは確かでしょうか?』

吉永『ええ。帰りの車内で殺人事件のことは聞きました』

右京『まだ遺体は見つかってないので殺人事件と断定は出来ませんよ』

吉永『しかしあれだけの血痕を残していたら・・・』

亀山『あれだけ?なんであんたが血痕の量を知ってるんです?』

吉永『いえ、言葉のあやですよ。テレビで見たんですよ』

右京『そうでしたか。もう一点だけ、工場で外国産の食品は輸入していますか?』

吉永『ええ・・・野菜は主に某国からの輸入品です』

 車に戻る二人

亀山『どうやら犯人は吉永と松阪で決まりみたいっすね』

右京『ええ、しかし・・・遺体が見つからなければ我々は何も出来ません』

亀山『そうっすね。どうしますこれから?』

右京『考えがあります』

しばらくして

 吉永工場の社長室にて

 いかにも富豪そうな女性登場

吉永『今日はどういった用件でこちらに?』

神戸『私、神戸美和子と申します。この度私の会社でお宅の土地を買い取らせていただきたいと思いまして参りました』

吉永『うちの工場予定地ですか?』

神戸『ええ、ぜひ私に譲ってください』

吉永『ダメです。あそこは売れません』

専務の上尾『社長、またとないチャンスですよ!どうせ工場の予定は頓挫してるんですから!』

吉永『うるさい!とにかく売れません』


 その日の夜

 工場予定地で土を掘り返す吉永と松阪の姿があった

右京『やはり、そこでしたか。亀山君!』

亀山『見つかりました。野原さんの遺体と子供二人の遺体です!凶器も出てきました!』

吉永『罠だったのか・・・しかしあの神戸という女も刑事なのか?』

右京『いえ、僕の上司(小野田)の知り合いのお嬢さんです』

松阪『いつから疑ってたんです?』

右京『あなたが事件の日のことを調べるのに手帳を見ていたことがまず引っかかりました。普通友人が失踪した日の行動、とくにゴルフに行っていたのなら覚えているはずですからねー』

亀山『なんで、野原さんを殺したんだ』

吉永『もうご存知なんでしょ?我々は野原さんに脅されていたんですよ』

右京『新商品の缶詰に入っている野菜に某国の残留農薬が含まれていた。そして開発担当の松阪さんが野原さんにサンプルを渡していた』

亀山『それを口にしたまさえさんは体調を崩し、それを餌として与えられた野良猫も姿を消した』

松阪『・・・』

右京『そしてまさえさんは缶詰の存在に気付いたのですね?』

松阪『ええ、最初はただの報告だったんですが、次からはお金を要求されました』

亀山『その時点で製造をストップすれば済む話じゃないですか!』

吉永『それは出来ませんでした。我が社の社運をかけた商品です・・・これが全てダメになればうちは倒産します。いえうちだけじゃありません。地方の工場や取引先も巻き込みかねない』

右京『そこで殺害計画を練り、自宅からサンプルの缶詰を持ち去ったんですね』

亀山『さらに遺体を司法解剖されて残留農薬が検出されないように遺体をここに隠した』

吉永『はい・・・子供たちも騒いだのでやむなく殺しました』

右京『あなたのしたことは到底許されることではありません。幼い子供を含む3人の命を奪ってまで守らなければならないものなどありませんよ!』

 
 亀山が殴りかかろうと吉永の胸ぐらをつかむ

亀山『こんな暗いところに押し込めておくなんて・・・お前らだけは許せねー!』

吉永『すいませんでした!!』

止める右京『亀山君!彼らには殴る価値もありません。行きましょう』

 特命にて

亀山『ようやく3人の遺体がひろしさんに返されたそうですね』

右京『そうですか』

亀山『しかし、吉永社長があの話に乗ってこなかったらどうするつもりだったんです?現に頑なに拒んでいたそうだし』

右京『欲に目のくらんだ彼らがこの話に飛びつかないはずがないと思ってましたから。後のことは考えていませんでした』

小野田『邪魔するよ!』

右京『先日は神戸さんにご協力いただきありがとうございます』

小野田『あれ以来、彼女は刑事になりたいと言っているそうだよ』

右京『おやおや、面白そうじゃないですか』

 小野田が去り、角田課長登場

角田『よ!ヒマか?一課が刑事部長にこっぴどくしかられたらしいぞ』

亀山『俺らの忠告を無視した罰ですよねー右京さん』

右京『どうですかねー』

杉下右京は今日も紅茶を嗜んでいた


終わり。

今年の年末に「相棒」映画第二弾が公開決定です!!非常に楽しみですね~^^


あの事件が相棒だったら・・・


ワイドショーを見る特命係の二人

大熊アナ『昨夜未明、東京都江東区○○港付近に住むパート店員野原まさえさん(65)宅で大量の血痕を残したまま、まさえさんと孫の菜々子ちゃん(5)、優ちゃん(3)の3人が行方不明になっています。部屋からは携帯電話は無くなっていましたが現金などには手がつけられておりませんでした。警視庁は3人の捜索とともに犯人につながる情報を追っています』

亀山『今度は死体なき殺人事件ですかね・・・』

右京『そうですねー致死量相当の血痕となると・・・生存の確率は極めて低いでしょうねー』

3日後

角田課長『よっヒマか?おーこの事件か。一課も相当てこずってるらしいなーなにしろ事件から三日たってもいまだに有力な手がかりがないらしいぞ』

亀山『たしか現場の血痕は3人のものと特定されたんすよね?』

角田『ああ、部屋中から血痕が見つかったらしい』

右京『犯人は部屋の中で何をしていたのでしょうねー』

亀山『それは家ん中を物色してたんじゃ・・・』

右京『ええ、しかし居間にあった財布に手をつけないのは考えにくいです。それ以外に犯人にとって都合の悪いもの、もしくは殺害してでも手に入れたいものを部屋中探したというのはどうでしょう』

亀山『だとしたら・・・それが今回の動機ですか』

右京『その可能性はありますよ』

刑事部長の部屋にて

内村『3日たっても手がかり一つないのか!こんなんだからマスコミが勝手な報道をするんだ!』

伊丹『申し訳ありません・・・いま害者の交友関係と金銭のトラブルがあったかどうかを調べております』

中園『警察の捜査能力が疑われているんだ!とにかく手がかりをつかめ!』

伊丹『はい!』

現場に赴く特命の二人

所轄署員『現場はこの家です、隣は野原さんの息子さん(ひろし)のお宅です』

亀山『第一発見者は?』

所轄『ひろしさんです。証言によると奈々子ちゃんと優ちゃんは事件前日に祖母のうちに行ったそうです。そしてあくる日の5時頃にひろしさんが家に入ったところ玄関と寝室に大量の血痕があったのを発見し同5時半に通報しています』

右京『現金以外にこのお宅に大事なものがあったという話はありますか』

所轄『さあ・・・しかし野原さんは長年生活に困窮していたという話を聞いております』


特命にて

亀山『一部メディアでは息子のひろしの犯行じゃないかって話題になってますね』

右京『ほんの少しの情報で安易な結論に飛びつく人もいますからねー』

亀山『3人を連れ去ったのか、遺体を移動したのか・・・いずれにしてもなんでこんな手のかかることをしたんでしょう』

右京『通常なら考えられるのは事件発覚を遅らせること、しかし大量の血痕がある以上それはありません・・・』

亀山『となると?』

右京『僕にもまだ分かりません』

捜査本部にて

桜田管理官『今分かっているのは、現場の一室から血痕の染み付いたカーペットがカッターで切り取られていること、被疑者が返り血を浴びたまま部屋中を物色していること、現金には手をつけていないこと。その3点だ。他に何かあるか?』

三浦『はい、住民の話によると事件直後と思われる時間に「はやくしろ!」という男の声を聞いたそうです』

芹沢『あと現場から去る不審な白の乗用車も目撃されています』

桜田『引き続き被疑者確保に全力を挙げてくれ』

全捜査員『はい!』

特命にて

亀山『男の声に白い乗用車ね・・・』

右京『声を聞いたということは話をする相手がいた、つまり複数犯の犯行ですかねー』

伊丹『おい!特命係の亀山さんよーこそこそ調べまわってんじゃねーよ』

亀山『おめーらがだらしねーから俺らの仕事が増えるんじゃねーか、ねえ右京さん』

伊丹『なんだとこら!』

芹沢『先輩!落ち着いて!完全にこっちの負けですって』

伊丹『認めてんじゃねーよ』

右京『ところで、捜査に進展はあったのですか?』

三浦『いえ・・・それで官房長じきじきに特命係と協力して早期解決をしろとの命令があったんですよ』

亀山『あの小野田さんが?』

右京『そうでしたか、一つ調べてもらいたいことがあります』

しばらくして

亀山『右京さん!』

右京『はい?』

亀山『犯人が逮捕されたって聞きましたか?』

右京『いえ・・・さっそく参りましょう』

取調中、部屋の外

亀山『被害者の義理の弟だって?』

芹沢『ええ、関係者の中から白い乗用車の人物を片っ端から調べたんです。そしたら義理の弟の風間たけおに行き着いたんです』

右京『それだけで犯人と特定したわけじゃないですよね』

芹沢『もちろんです。玄関に合った靴跡があいつの車の中から出てきた靴と一致したんです』

取調室の中

伊丹『おまえがやったんだろ?』

風間『ちがう!おれじゃない・・・確かにあの家に行ったのは認める。でもすでにあの状況だったんだ。』

三浦『じゃあなんで通報しなかった!やましいことがあるからだろ!』

風間『違う・・・でもまさえさんとは金のことで揉めたから・・・疑われると思ったんだ!そう思ったら怖くなってすぐに逃げたんだ』

伊丹『うそをつくな!』

特命にて

亀山『どう思います?右京さん』

右京『おそらく彼の言っていることに間違いはないと思いますよ』

亀山『じゃあ、やはり犯人は別にいると?』

右京『もう一度現場に行ってみましょうか』


続く~
独自に捜査を進める特命の二人。



亀山『まずは、何を調べます?』

右京『稲垣さんの事件当日の行動を確認してみましょう』

亀山『供述調書によると・・・11月11日は午後6時頃に家を出て、6時半に香取さんをコンビニで目撃、この時点で強盗を思い立ち、帰宅直後の香取さんを部屋から呼び犯行に及んだとありますね』

右京『では事件後の行動はどうでしょう』

亀山『犯行後は怪我を負いながらもすぐにその場を逃走、部屋から原付バイクの鍵を持ち去りバイクで逃走。その後は我々が家に行くまで家から出なかったと言ってますね』

右京『しかし、香取さんの目撃情報はいくつかありますが、稲垣さんのは未だにないようですねー』

亀山『そうっすね。やはり気になりますね』

右京『稲垣さんの自宅に行ってみましょう』




稲垣宅にて


右京『旦那さんは強盗や空き巣を繰り返していたのをご存知でしたか?』

稲垣の妻翔子『いえ・・・知りませんでした』

亀山『事件の日は間違いなく6時に家を出て、8時頃に自宅に戻ったんですね?』

翔子『ええ・・・』

右京『今日はお子さんはどちらに?』

翔子『え?何故です??』

右京『玄関に入ってすぐ子供用のスリッパに目が行きました。しかし子供用の靴が玄関にはない・・・さらには壁のポスターは今この時間に放映しているアニメですね。しかしテレビを見ている様子はない・・・失礼!細かいことが気になってしまって』

翔子『・・・あの子はいま祖父の家に行っているんです・・・』

右京『そうでしたか。では失礼します』

亀山『え?もういいんですか?右京さーん』

翔子『・・・』

家を出る二人

右京『この家に入る前から気になっていたことが確信に変わりましたよ。どうやら稲垣さんも事件に巻き込まれたようですよ』

亀山『え?』

右京『とにかくすぐにこの場から離れてください』

亀山『はい・・・』



車中にて


亀山『どうなってるんです?』

右京『稲垣さんの家の外に不審な車が停まっていましたのは気付きましたか?』

亀山『確かにありましたね、でもただの違法駐車じゃないんすか?』

右京『いえ、この地区は駐車監視の重点地区です。わざわざあの場に停めるとは考えにくいです、そして奥さんの妙な態度、子供の不在、さらに先ほど確認したところ稲垣夫妻の祖父母はご存命ではありませんでした。そこから考えられるのは・・・』

亀山『誘拐ですか・・・』

右京『ええ、おそらく子供を誘拐され稲垣さんは身代わりに出頭するように脅されたのでしょう。証拠の品も揃え、証言も辻褄が合うように作られたストーリーでしょうねー』

亀山『しかし、それで子供が帰ってくる保障はないですよねー』

右京『おそらく送検されたところで開放するとでも言われたのでしょう。裁判で証言をひっくり返しても、事件自体を有耶無耶に終わらせることが出来れば犯人には好都合だったのでしょうね』

亀山『となると、送検前に真犯人を見つけないと子供の命も危険ですね』




警視庁にて


右京『稲垣さんの送検は待ってください』

内村『何だお前ら、証拠もあって自供もある。あと何が不足だというんだ』

右京『そこには真実が足りません』

内村『ばかばかしい、だいたいお前らは事件とは何の関係もないだろ!』

亀山『子供の命がかかってるんすよ!』

中園『それこそ証拠はあるのか!』

亀山『いや・・・それは・・・』

右京『では、稲垣さんが犯人でない証拠を見つけます。あと一日待ってください』




特命にて


亀山『しかしよく一日くれましたね』

右京『昨今の警察不信がありますからねー冤罪だけは避けたかったのでしょう』

近所を目立たないように聞き込みする二人

亀山『11日の7時半頃、稲垣さんを目撃しませんでしたか?』

住人1『見てないわねーでも7時半頃といえば、あの事故があったのもそのくらいじゃなかった?』

住人2『そうそう、確か子供が車に撥ねられたのよね』

右京『それはどちらでですか?』

住人1『ちょうど稲垣さんの近くよ。野次馬がいっぱい来て大変な騒ぎだったから』

右京『確認してみましょう』



取調室にて


右京『稲垣さん、あなたは犯行時刻の7時半頃に自宅にいましたね』

伊丹『ちょっとー警部、何を言うんですか』

右京『ちょうどその頃、稲垣さんの自宅前で事故があり救急出動要請がありました。その発信が稲垣さんですね。音声記録も残っています』

三浦『じゃあ、犯行は不可能か…』

亀山『もう、しゃべった方がいいと思いますよ』

稲垣『・・・裁判まで黙っているつもりだったんですがこんなに早くお分かりになるとは・・・』

右京『事件の経緯をお話ください』

稲垣『はい、息子の拓哉が誘拐されたんです。言われた通りにしないと拓哉の命はないと脅されました』

伊丹『どういうことだ?』

亀山『今回の犯人は別にいて、稲垣さんは犯人の指示通りに動かざるを得ない状況だったんだよ』

三浦『それで、子供は?』

右京『まだ分かりません・・・稲垣さん、犯人に心当たりはありませんか?』

稲垣『全く見当もつきません。刑事さん、拓哉を助けてください!』



特命にて


亀山『この誘拐犯が殺人事件の犯人と考えて間違いなさそうっすね』

右京『ええ、もう一度偽の証拠を調べてみましょう』

米沢『お待たせしました。例の現場の三つの指紋ですが、ひとつは大家の稲垣のもの、もうひとつは被害者の依頼した清掃会社の従業員のものと確認が取れました』

亀山『じゃあ、残りのひとつが犯人のものてことっすかね』

米沢『おそらくそうです。あともう一点、現場に残された血痕からヘパリンが検出されました』

亀山『ヘパリン?』

右京『血液を固まらせないために使う薬剤の一種ですよ』

亀山『じゃあ、稲垣さんの血液を手に入れ保存していた人物が真犯人・・・ですか』

右京『一人思い当たる人物がいます』



現場アパートにて


亀山『香取さんの下の部屋に住んでいる中居智也さんですよね?』

中居『ええ・・・事件のことならもう話すことないんですけど』

右京『あなたは重大な事実を隠していますよねーあなたが犯人だと我々は確信しています』

中居『何をバカなことを!なんで俺が香取さんを殺さなければならないんだ』

亀山『このところこの地域で多発している強盗や空き巣は稲垣さんではなくあんたの犯行なんだろ?3ヶ月前のこのアパートでの強盗もあんたの犯行だったはずだ』

右京『ここからは想像ですが、そのとき覆面を取って車に乗り込むところを香取さんに目撃された。いえ、正確には目撃されたと思い込んでしまった』

中居『・・・』

亀山『それから香取さんが通報するんじゃないかと怯えながら時間が経過し、事件の一週間前に香取さんが交番に入っていくのを偶然目撃した。そこで殺害計画をたて、大家の稲垣さんの子供を誘拐し、犯行に及んだ』

右京『どこか違いますか?』

中居『違うも何も・・・まったく身に覚えがない話ばっかりですよ』

右京『事件の数日前にあなたの参加する献血ボランティアに誘われ献血したと稲垣さんが証言しています。そこで稲垣さんの血液を確保し事件に利用したんですよ』

亀山『強盗についても複数の現場で見つかったゲソ痕があんたの靴と一致するだろうから逮捕は時間の問題だな』

中居『確かに強盗は認める・・・しかし殺人の証拠はあるのか!』

右京『残念ながら、香取さんの部屋からあなたの指紋は検出されませんでした』

中居『話にならんね』

右京『ですが、香取さんの指紋があなたの手袋から検出されるはずです。おそらく事件が落ち着いた頃に処分する方が無難と考えたはずですからまだどこかに置いてありますよね?』

亀山『靴と手袋、預かりますよ』

中居『・・・いつから俺だってわかったんです?』

右京『あなたの最初の証言がずっと気になっていました。現場の状況から香取さんは背後からロープで首を絞められほとんど抵抗できずに亡くなっています。にもかかわらずあなたは香取さんの部屋から悲鳴のような音が聞こえたと証言していましたからねー』

中居『・・・』

亀山『それで、拓哉君はどうした!』

中居『知らないんだ。俺の相棒がどこかに監禁してるはずだが、昨日から連絡が取れない』

亀山『誰なんだそいつは?』

中居『草野剛という男だ』

右京『急ぎましょう!』



車中にて


電話をする右京『伊丹刑事ですか?大至急調べてもらいたいことがあります』

伊丹『あいにく俺は特命係じゃありませんよー』

右京『お願いします!!一刻も早く!』

伊丹『・・・で、何を』


しばらくして

右京『わかりました。亀山君!○○倉庫に向かって下さい!』

亀山『了解!』



倉庫に到着した二人


亀山『おい草野!中居は逮捕した。お前もおとなしく子供を解放しろ!』

草野『うるせー!』

右京『いまなら、まだ強盗と殺人教唆です。子供に危害を加えれば傷害もしくは殺人罪も追加で一生刑務所暮らしは続くでしょうねー』

草野『・・・あいつ(中居)が悪いんだ・・・あいつがよりによってあの女(香取)に目撃されるからこんなことになるんだ・・・』

右京『いえ、香取さんは何も目撃していないと思いますよ』

草野『しかし、交番に行ったって・・・』

亀山『近所の交番で聞いたところ、それは最近ストーカーにあっているかもという相談だったんだよ』

右京『つまり、あなた方が目撃されたと誤解して何日も監視していたのを彼女は気にしていたんですよ』

草野『くっ・・・』

(スキを見て子供が逃げ出す)

亀山『(子供に対して)よく頑張ったな。えらいぞ』

右京『強盗や空き巣はもちろん許される犯罪ではありません。しかし、殺人と同じく誘拐は最も下劣な犯罪ですよ』

亀山『お前らは何重にも間違いを重ねすぎなんだよ』




特命係にて

亀山『結局、勘違いから殺されてしまった香取さんは浮かばれませんねー』

右京『ええ、もっと早く中居や草野を逮捕していれば、今回の事件は起きなかったでしょうからね・・・無念です』

角田『しかし、現場にあった三つ目の指紋はいったい誰のものだったんだ?』

右京『それは・・・』

米沢『右京さん、ビンゴです。3つ目の指紋は稲垣さんの奥さんのものでした』

右京『やはりそうですか。電話で現場に呼び出された稲垣さんの後をつけて部屋に入ったときに付いたものだと思います』

亀山『なんでその場で通報しなかったんですかね?』

右京『夫が脅されてした犯行かもしれない・・・そう考えたのでしょうかねー』

米沢『おそらくそんなところでしょう』

角田『まったくややこしい事件だねー、それを事件解決するお前らもややこしいけどな』

亀山『真実はいつも一つ!ですよね?右京さん』

右京『おやおや、どこかで聞いた様な言葉ですねー確かに君のおっしゃるとおりですね』


杉下右京は今日も紅茶を片手に事件解決の喜びと(強盗事件の)遅すぎた捜査の反省で複雑だった

終わり
東京都多摩市、とあるアパートで強盗殺人事件発生。

芹沢『あっ先輩、また殺しみたいです』

伊丹『まったく毎日毎日こう人が殺されちゃたまらんな・・・』

三浦『害者の身元はわかったのか?』

芹沢『ええ、害者はこの部屋の住人で香取葉子さん(26)です。大家の話によると約半年前に就職のために上京し、ここに住んでいるようです。部屋から財布やキャッシュカードなどが無くなっているので強盗殺人と思われますね』

伊丹『死因は?』

亀山『見りゃ分かるだろー絞殺だな』

伊丹『うっせーただの確認だ!って・・・なんで特命が来てんだよ』

亀山『捜一だけに任せてたら迷宮入りになっちまうだろー』

伊丹『なんだと、こらー!』

右京『どうやらひも状のもので首を絞められほぼ即死ですかねーしかし玄関や外の廊下にはわずかですが血痕もありますねーもうお調べになったんですか?』

三浦『警部殿ー我々が調べますから、おとなしくしていて下さい』

米沢『どうも、右京さん。ご指摘の通り血痕は今調べています。おそらく被害者に出血の痕跡がありませんので犯人のものと思われます』

伊丹『今回は決定的な証拠があるな』

右京『・・・』

多摩署捜査本部にて

捜査員『死亡推定時刻は11月11日の午後7時半ごろ、同時刻に階下の住人が香取さんの悲鳴のような声を聞いています』

木村管理官『事件当日の害者の足取りは?』

捜査員『午後5時に勤めている会社を出るのを同僚が確認しています。さらに午後6時半ごろ現場近くのコンビニの防犯カメラにATMから現金を引き出す香取さんが写っていました』

木村『その一時間後に玄関で殺害されているのか・・・本件は強盗殺人事件だ。今後更なる事件が起こる可能性もある。一刻も早く被疑者逮捕にあたってくれ』

特命にて

亀山『例の強盗殺人のアパートは3ヶ月前にも強盗事件があったばかりらしいですね』

角田『ああ、あの付近では空き巣もよくあると聞いたことがあるな』

右京『今回の事件は不可解な点が3点ほどありますねー』

亀山『というと?』

右京『第一に、現場の状況です。犯人のものと思われる血痕・・・なぜこんなものが現場にあるのかわかりません。第二に、香取さんの遺体の位置です。普通強盗に襲われたら素直に現金を手渡すか、部屋の奥に逃げると思いますがねーしかし彼女は玄関から動かず亡くなっている。第三に、何故彼女はドアの鍵を開けたままにしていたのか。君が今言ったように強盗や空き巣が多い地域で余りにも無防備すぎるような気がしますがねー』

亀山『一点目は香取さんが抵抗して犯人が負傷した、二点目は・・・怖くて動けなかった、3点目は・・・帰宅直後を狙われたってことじゃないっすか?』

右京『香取さんの爪からは皮膚組織は発見されませんでした。となると犯人はナイフなどで刺されたか、殴られて出血したことになります。現場には凶器となるものは残されていないので犯人が持ち去ったことになります。その過程で血痕をそのままにしておくとは考えにくいですよ。さらに怖くて動けなかったのなら現金を渡して強盗事件で終わるはずです。そして帰宅直後を狙うのならば犯人は彼女を尾行していた可能性が高いと思います。ならば途中でひったくるなり脅してバックを奪う方がはるかに簡単だと思いませんか?』

亀山『言われてみると・・・妙な事件ですね・・・』

米沢『右京さん、やはり血痕は被害者のものではありませんでした。これはまだ本部には伝えていませんが現場から採取された指紋で身元が分からないものが3つほどありました』

亀山『なんでここに先に来たの?』

米沢『私も警察の人間です、事件解決が最優先ですから杉下警部に最初に報告する必要があると思いまして』

右京『ありがとうございます。期待を裏切らないようにしないといけませんねー』

次の日  

亀山『マスコミが騒いでるけどなんかあったんすか?』

右京『どうやら香取さんのキャッシュカードが都内の銀行ATMで使用されたようですよ』

角田『防犯カメラにもバッチリ写っていたらしいから犯人逮捕は時間の問題だろうなー』

捜査本部にて

伊丹『防犯カメラに写っていた男ですが・・・身元は分かりません』

木村『他の目撃情報と一致はしたのか?』

三浦『いえ、現場付近の目撃情報は有力なものはありません。ただ害者の原付バイクが無くなっているので犯人はこれで逃走したものと思われます』

警視庁にて

内村刑事部長『これだけマスコミに騒がれて、手がかりひとつ見つかりませんでしただと!お前らはいったい何を捜査してんだ!』

伊丹ら『すいません・・・しかしマスコミが騒ぐほど捜査はやりづらくなっています』

中園警視正『言い訳はしなくていい!早く防犯カメラの男の特定を急げ!』

伊丹ら『はい!』

特命にて

右京『これで4点目です』

亀山『何故犯人は危険を承知でATMに来たかですね?』

右京『ええ、事件後すぐならともかく、この状況で何故かとても気になります』

鑑識にて

米沢『お待たせしました。これが防犯カメラの映像です』

右京『顔は確認できませんねー』

米沢『ええ、身長が170センチくらいでということ以外これといった手がかりはありません』

右京『おや・・・この右手部分を拡大してください』

米沢『はい、いま映像をクリアにします』

亀山『ちょっと変わった指輪ですね』

右京『僕らは以前この指輪の持ち主と会っていますよ』

亀山『え?じゃそいつが犯人ですか?』

右京『本人に確認しましょう』

現場となったアパートの大家(稲垣正志)の家にて

右京『特命係の杉下と申します』

稲垣『今日はどういった御用ですか?』

亀山『ちょっと右手見せてもらいます』

稲垣『な、なんですいきなり・・・』

亀山『同じ指輪ですね』

右京『右肘を怪我されたのですか?』

稲垣『ちょっと転んで切ってしまってね』

伊丹『これはこれは特命係の亀吉さんよー』

亀山『やっとお前らも気付いたか』

伊丹『稲垣正志、強盗殺人の重要参考人として署まで来てもらおうか』

稲垣『はい・・・』

三浦『もはや警部殿の出る幕じゃないですよ』

右京『・・・』


特捜本部にて

伊丹『稲垣はここ数年現場付近で空き巣や強盗を繰り返しやっていたそうです。最近は自分のアパートの住民に目をつけ犯行に及んでいたようです』

木村『何故殺人までやったんだ』

三浦『それは、抵抗されそうになったので仕方なくやったと言っています』

木村『現場にあった血痕は?』

伊丹『現在鑑識で調べていますが、稲垣も右肘を怪我していることからまず間違いなく奴の犯行だと思われます』











特命にて

亀山『なんかすっきりしない事件ですねー』

右京『ええ、何も解決していないように思えてなりません』

角田『しかし、現場に稲垣の指紋も血痕も残っていて、被害者と顔見知り、現金を下ろそうとした事実もあるんだろー』

右京『状況証拠が完璧すぎるのがむしろ気になります』

亀山『しかし稲垣本人が自供しているんすよねー』

右京『それも含めてもう一度調べ直すべきだと僕は思いますよ』

米沢『失礼します。ちょっと気になることがありまして』

右京『はい?』

米沢『容疑者の自宅から凶器に使われたロープが見つかりましたが、そのロープには指紋が付いていませんでした』

亀山『手袋していたんでしょ?』

右京『ならば現場に指紋が残るわけありませんよ。本部はどう考えているんですかねー』

米沢『報告はしたのですが…大きな問題にはしないようです』

右京『どうやら、真犯人が別にいるようですねー』

亀山『それも稲垣がかばう相手ってことっすね』


続く~

亀山『どういうことですか』

右京『君が振り込め詐欺の犯人だとして、誰を狙うのが確率が高いと思いますか?』

亀山『そりゃ・・・このリストにあるようなお金を持っている人ですかね』

陣川『不謹慎ですがお金のある老人を狙うのが一番早いかと』

右京『陣川君のほうが正解です。通常、この手の詐欺は老人がターゲットになりがちです。しかしこのリストには老人は極僅かで、大半が企業の役員や、社員です』

亀山『なるほど・・・しかしどういうことです?』

右京『個人でこれほどの数の詐欺を働けるとは僕には思えません。どこか他の組織とつながっているか・・・もしくはこの詐欺事件自体に裏があるのかもしれませんよ』

陣川『落合をうらで操っていた人間がいたということですか』

角田課長『おいおい・・・もしそうだったら1年前の捜査が問題になるってことか?そりゃまずいだろー』

右京『あくまでも可能性があるというだけですよ』

亀山『でも右京さんが目をつけたってことは・・・何かあるのは間違いないっすよ』

角田課長『勘弁してくれよー』

たまきさんの店『花の里』にて

美和子『河川敷の事件の捜査やってるんだって?』

亀山『ああ、もしかしたらとんでもない事件に発展するかもしれないんだよ』

美和子『なになに?教えてよ』

亀山『おっと・・・これ以上は捜査上の秘密だ』

右京『まあいいじゃないですか。美和子さんの知恵もお借りしましょう』

美和子『なるほどねー殺人事件の裏に過去の詐欺事件、そのまた裏には第三の事件。おもしろそうね』

たまきさん『でも大企業で出世するような人が詐欺なんて引っかかるのかしら』

亀山『そうなんすよねー1回に振り込む額が1000万なんてケースもあるのが不思議なんすよ』

美和子『何かまずいお金があって詐欺にかこつけて捨てたんじゃないの?』

亀山『そんならただ捨てりゃいいじゃんか』

右京『・・・なるほど。そういうことでしたか』

亀山『え?』

特命にて


亀山『1年前の詐欺事件にあった人物に会ってきました。しかし・・・全員、詐欺事件については話してくれませんでした』

右京『まあ、そう簡単に口を割るとは思えませんからねー』

亀山『ただ、一人だけ気になる人物がいました。伊東商事に勤めていた原竜彦さんが半年前に自殺していたんです。しかし奥さんの話によると自殺をする理由もなく遺書も見つかっていないんです』

右京『それで自殺で処理されたのですか?』

亀山『ええ・・・事件性がなかったということで自殺となったようです。それで原さんの同僚から聞いた話によると・・・自殺の前夜に原さんは伊東社長と揉めていたようなんです』

右京『そうですか・・・では次はこれを調べてください』

次の日

亀山『右京さんの言うとおりでしたよ。今世間を賑やかしている国土交通省との贈収賄疑惑のある企業とこのリストにある人の勤め先はほぼ一致してますね』


右京『やはりそうでしたか・・・確かこの疑惑を最初に国会で取り上げたのは民政党の長嶋議員でしたね』

陣川『確かそうですね』

右京『議員に合って話を聞いてみましょう』

衆議院議員会館にて

右京『先ほどお電話した警視庁特命係の杉下です』

亀山『同じく亀山です』

長嶋『どうぞ、今日は贈収賄疑惑のことを聞きたいとか』

右京『ええ、単刀直入にお伺いします。情報源は伊東商事の原さんではないですか?』

長嶋『なぜそれを・・・誰にも話していないはずですが』

亀山『実はある事件を調べているうちに被害者が贈収賄事件に関わっていた可能性が出てきまして・・・』

長嶋『なるほど・・・では正直にお答えします。確かに情報は原さんからもたらされました。そのときは証拠もあって告訴しようかという矢先に原さんがあんなことになってしまって・・・』

右京『証拠も奪われてしまったわけですね』

長嶋『ええ、しかし国土交通省の伊原事務次官とこれらの企業とのつながりは間違いなくありました』

車に乗り込む二人

右京『国土交通省に向かってください』

亀山『了解!』

国土交通省にて

伊原事務次官『今日はどういった御用件ですか?余り時間はありませんので』

右京『では、お伺いします。11月1日、午後10時ごろどちらにいらっしゃいましたか?』

伊原『その時間でしたら、たまたま早く仕事が片付いたんで家にいました』

亀山『それを証明してくれる人はいますか?』

伊原『私は一人暮しなんで・・・いませんが。これじゃまるで犯人扱いじゃないですか』

右京『単なる確認ですからお気を悪くしないでください』

伊原『まあ何の事件か知りませんが協力はしますよ。ちょっと煙草吸ってもいいですかな?』

右京『どうぞどうぞ。おや、素晴らしいシガーですね~』

伊原『ああ、貰いもんですよ。もうよろしいですか?』


右京『お邪魔しました。失礼します。あっ、あと一つだけ。伊東商事という会社をご存知ですか?』

伊原『ええ・・・以前うちの省の請負会社でした』

右京『そうでしたか。実は今回の事件と伊東商事は関係があると考えています』



伊原『・・・それが私となんの関係が?』

亀山『それを今調べているんですよ』

帰るため車に乗り込む二人

亀山『やはり事件の根はここにあるみたいっすね』

右京『ええ・・・彼の出方を待ちましょう』

しばらくして

小野田『杉下、いったいおまえらは何を調べてるの。伊原事務次官から直々に抗議があったのよ』

右京『やはりありましたか。しかし捜査を中断しろとおっしゃるなら無理な相談ですよ』

小野田『別にやるなとは言わないよ。ただ・・・おまえの事だ。無茶が過ぎれば庇いきれないと言いたかったのよ』

右京『僕がいつ庇ってくれと言いましたか。味方になってくれとは申しませんよ』

内村『官房長、よろしいんですか?特命に勝手な事をやらして・・・』

小野田『反対したところで何も変わらないからね。それに伊原もいつかは沈みゆく船。それなら警察のイメージアップになるように警察が伊原を追い込む。僕はいい構図だと思うけど』

内村『しかし・・・』

右京『ではお話が以上なら失礼します』

亀山『どうでした?』

右京『どうやら捜査の邪魔はなくなったようですよ』



特命にて

角田課長『ヒマか?まあヒマなわけないか。さっき岡田ってのが連行されてきたみたいだぞ』

右京『そうですか、行きましょう亀山くん』

亀山『はい』

取調室にて

岡田『俺は殺してなんかない。確かに俺が投げた石が当たったのは確かだけど・・・あの時はまだ死んでなかったし』

伊丹『そのあともっとでかい石で殴ったんだろ?』

岡田『そんなことしてねーよ、みんなですぐ逃げたんだ』

右京『岡田さん、そのとき何か見ませんでしたか?』

伊丹『ちょっとー警部さん!』

亀山『大事なとこだから邪魔しないで』

伊丹『な・・なんだ?この亀!』

岡田『さあ・・・別に・・・』

亀山『例えば不審な車を見たとか、現場に近づく人がいたとかないのか?』

岡田『そういえば、俺らが花火を買って河原に戻った時に邪魔な車があったんすよ』

亀山『車種は?』

岡田『さあ・・白いセダンとしか覚えてないね。でもむかついたからトランクのところを思いっきり蹴ってやった』

伊丹『おたくら何の話してんの??』

右京『そうですか、取調べ続行して結構です』

亀山『いまのは立派な器物損壊罪だからな』

岡田『・・・ちっ』

右京『もう一度現場に行ってみましょう』

亀山『了解!』

右京『必ずここにあるはずです』

亀山『もしかして・・・あの人じゃないっすか?』

右京『そのようですねー』


 再び国土交通省に出向いた二人

伊原『またあなたたちですか・・・予定がつまってるんですよ』

右京『すぐ済みますよ、では亀山君』

亀山『伊原さん、あなた11月1日は家にいたといってましたが、多摩川の河川敷に行ってたんですよね?』

伊原『何を馬鹿なことを』

亀山『その日、河川敷に停まっていたあなたの車をある若者が蹴ったんです。足の形がくっきり残るぐらいに』

右京『あなたの車を調べたところ同じ足の跡がありますね、おそらくその若者の足型と一致すると思います』

伊原『・・・それは偶然だろ』

右京『では、あなたの愛用のライターはどうされました?最初に会ったときに気になったんですよ。最高級のシガーであるのにライターは市販品でしたねー』

伊原『別にいいじゃないですか』

右京『いえ、あなたの部下の方に伺ったところシガーと同じく高級なライターを持っていましたよねーそれはどうされましたか?』

伊原『それは以前無くしたんですよ・・・』

亀山『問題は無くした場所ですよ。あったんですよ。事件現場のすぐ近くに』

右京『鑑識でも見つけられないはずです。現場周辺に寝泊りしているホームレスの高田吉彦さんが事件の日の夜に拾っていたんですよ』

         ライターを見せる

伊原『・・・』

右京『ライターからは高田さんのほかにあなたの指紋が検出されました。さらに微量ながら落合さんのものと思われる血液反応も出ています』

亀山『事件の日の午後、ここでライターを使っているのを部下の方が目撃しています。もし無くすとしたら事件のときだけなんですよ』

伊原『これは、私をはめるための罠だ!』

右京『いえ、数年前から落合さんと組み振り込め詐欺に見せかけて多額の現金を得ていたあなたの実体を知るものは原さんが亡くなった今では誰もいません』

伊原『・・・遊びほうける若者に、ホームレス、まさかそんな連中たちに足元をすくわれるとはな・・・』

右京『あなたが普段全く意識しない彼らも、極身近に存在しているということですよ』

亀山『あんた、落合さんに脅されてたんだろ?』

伊原『ええ・・・殺すつもりなんてなかった。ただ目の前で倒れている落合を見て今しかチャンスがないと思ったんだ・・・』

右京『原さんもあなたが?』

伊原『あれは伊東が勝手にやったことだ』

 官房長室にて

小野田『お前らのおかげで警察のイメージアップになったよ』

右京『明日はわが身、この言葉を忘れないで頂きたいです』

小野田『お前らしい一言だね』

 特命にて

角田課長『おいおい、国土交通省はものすごい騒動になってるな。これもお前らの仕業だろー』

亀山『まあ、そんなとこっすよ』

陣川『しかし、また不祥事ですか・・・どうなっているんですか!この国は!』

右京『長い間積み重なった錆が、今膿となって出てきているのでしょうねー』

亀山『まだまだ出てきそうすね』

右京『自浄作用を待つしかありませんねー』

亀山『それにしても、今回は陣川警部補のお手柄ですね』

陣川『いえ、とんでもない。自分は何もできませんでしたから・・・』

右京『君が捜査を始めなければ今回の事件解決はありませんでしたから、大変なお手柄ですよ』

陣川『ありがとうございます!』

亀山『でも、あんまり調子に乗らないで下さいね』

杉下右京は今日も紅茶を飲みながら微笑んでいた

終わり