1月20日 皇居のお堀にて男性の遺体発見

芹沢『いまのところ事件なのか事故なのかわかりません』

伊丹『こんな警視庁の近くで殺人なんてことになったらまずいぞ・・・』

三浦『ああ、それで害者の死因は?』

米沢『どうやら溺死ではないようです。詳しいことは解剖の結果待ちですが、おそらく頭部の外傷が致命傷でしょう』

右京『被害者の男性はかなりお若いようですねー』

亀山『そうっすね。学生でしょうか?』

伊丹『亀吉!なに当たり前に捜査に参加してんだよ、こら』

亀山『たまたま近くを通ったからだよ!文句あんのかよ』

三浦『警部殿ー少しは我々を信用してくださいよ』

右京『もちろんです。では戻りましょうか、亀山君』

亀山『いいんですか?右京さん』

右京『捜査一課にお任せしましょう』


 警視庁に歩いて戻る途中の二人

 自転車に二人乗りをする子供とすれ違った

亀山『おい!お前らあぶねーぞ』

子供『うっせーな!じじい』

亀山『な・・・まだじじいじゃねーよ。ねー右京さん』

右京『それはともかく、君たちは何故ルールがあるのかご存知ですか?』

子供『お説教はたくさんだよ!おっさん』

右京『・・・』

 走り去る自転車をただ見るだけの二人。そこへ30歳くらいの女性登場

斉藤『こら!あんたたちもう二人乗りはやめなさいって何度言ったらわかんの!』

子供『うっせーなー』

斉藤『この近くで自転車の事故が遭ったばかりでしょ!やめなさい!』

子供『はいはい・・・降りりゃいいんだろ?くそばばあー』

斉藤『私はまだばばあじゃないわよ!』

亀山『いやー今時立派な叱り方ですねー』

斉藤『誰かが注意しないといけないと思いますから』

右京『お恥ずかしい話、我々には彼らを止められなかったんですよ。申し遅れました。杉下と申します』

斉藤『斉藤です。あの子たち以前から危険な乗り方していてその度に注意しているんですが・・・』


 特命にて

亀山『そういえば、俺が小さい頃は近所の親父によく注意されてましたよ。道路で遊ぶなとか、さっさと家に帰れとか』

右京『そうですねー地域住民のつながりが道徳教育には欠かせませんからねー』

米沢『失礼します。先ほどの事件の詳細を報告にあがりました』

右京『わざわざ有難うございます』

米沢『害者は菊田清四郎、都内のプレジデント学園に通う高校生(18)です。死因はやはり岩に頭を打っての外傷性ショック死です』

亀山『結局事件なんすか?』

米沢『なんとも言えません。現場に争った形跡が無いので事故とも取れるのですが・・・』

右京『そうなると疑問が一つ。報告書によると死亡推定時刻は午前6時前後。こんな時間に現場で何をしていたのでしょう?』

亀山『たしかに・・・』

右京『第一発見者はどなたでしょうか?』

米沢『それが匿名の電話で、人が亡くなっていると一報が入ったようです』

亀山『もし事件なら、その電話が相当怪しくなってきますね』

右京『まずはプレジデント学園に行ってみましょうか』

亀山『はい』

 プレジデント学園にて

校長『どうも、校長の松竹梅康夫です』

右京『警視庁特命係の杉下と申します』

松竹梅『ご用件は菊田の亡くなった件ですか?』

亀山『ええ。事件、事故の両面から調べてまして』

松竹梅『先ほど別の刑事さんにもお話したのですが・・・菊田は区議会議員の一人息子なんです』

右京『そうでしたか。名前を聞いたときにもしやと思っていましたが』

松竹梅『菊田の態度は目に余るものがありました。死人を悪く言いたくありませんが・・・菊田が議員の息子でなければとっくに退学にしていました』

亀山『誰かと揉めていたという話はあります?』

白鹿『この学園のみんなが菊田君を怖がっていました。私、担任の白鹿です』

亀山『どういうことです?』

白鹿『誰も彼には逆らえなかったんです。先生たちも。私を含めてですが・・・』

右京『では、最近のトラブルはどういったものでしょうか?』

松竹梅『近所の幼稚園でトラブルを引き起こしたと報告が入っています』

亀山『入っています?あんたら部外者じゃないでしょうが!』

右京『亀山君!そろそろ失礼しましょう』

白鹿『ご迷惑をお掛けして申し訳ありません・・・』

 近所の美童幼稚園

園長(望月)『プレジデント学園とはここ何年かトラブルが続いてます・・・』

右京『具体的にどうのようなことでしょうか?』

望月『集団で来て、空き瓶を放り投げたり、運動会やバザーを妨害したり、やりたい放題でした・・・』

亀山『何の対策もとらなかったんすか?』

望月『警備員を置いたりはしていましたが・・・はっきり言って何も出来ません。でも一人だけ彼に逆らえた人物はいました』

右京『おや?亀山君。見てください』

斉藤『杉下さん?』

亀山『あなたもここの保護者だったんすかー』

斉藤『ええ、失礼ですが、あなたたちは一体?』

右京『申し送れました。警視庁特命係の杉下です』

亀山『同じく亀山です』

斉藤『刑事さんだったんですか。この前のゴミの事件の捜査ですか?』

亀山『え?いえ、殺人事件になりそうな事件です』

斉藤『殺人?』

 続く~


 現場にて内田刑事と合流した二人

内田『高島はまだ黙秘を続けています。しかしこれだけ目撃者がいる以上高島の犯行で間違いないんじゃないですか?』

右京『店長の大塚さんはどうおっしゃっているんです?』

内田『それが刺されたショックで余り覚えていないらしいです』

亀山『どこが引っかかるんです?右京さん』

右京『偶然現金が多い日に、たまたま警察の配備が手薄となった。しかし複数の目撃情報から犯人逮捕。どうも誰かが描いたシナリオを読んでいるようで気になります』

亀山『でも、高島も自らのアリバイを主張できないんですよねーやはり怪しいんじゃないっすか?』

右京『結論は目撃者から話を聞いたあとでも遅くないですよ』

 渋谷南交番に向かう3人

露木『ご苦労様です。班長の露木です。戸部巡査は奥さんの3回忌があるとかで昨日から休暇を取っています』

右京『そうでしたか。事件の日の勤務日報を見せていただけますか?』

露木『こちらです。例の爆破予告があったので、皆爆弾捜索に借り出されていましたよ』

右京『渋谷に爆弾を仕掛けたという電話が入ったのが午後11時頃、しかし戸部巡査は午後10時頃と強盗事件発生の午前0時頃に現場付近でパトロールをしていたようですねー』

露木『そうです。管轄地域の重点捜索という命令がありましたから』

右京『緊急配備もままならない状況で、同じ場所を二度もパトロール(捜索)をするとは考えにくいのですがねー』

露木『まるで戸部を疑ってるみたいじゃないですか、彼はベテランですから、何か意図があったのだと思いますよ』

右京『申し訳ありません。細かいことが気になってしまって・・・僕の悪い癖』

亀山『すいませんねーこの人は気になると追究せずにはいられないんですよ』

 移動する3人

内田『次の目撃者は小林敏子さんです。ジョギング中に猛スピードで走り去る高島のバイクを目撃しています』

亀山『高島だと特定できたのはどうしてです?』

内田『高島のバイクは近所でも評判になるくらい夜中でも騒音を撒き散らしていたのですぐに分かったそうです』

 小林宅に到着

右京『あなたはいつもこの時間にジョギングしているのですか?』

小林『ええ、気分転換になるんでほぼ毎日やってます』

右京『なるほど、奇遇ですねー僕も昨日はその時間近くにいたのですが、痴漢騒ぎがあって大変でしたよねー』

小林『そういえば外で悲鳴が聞こえたような気もしますが・・・痴漢だったんですか』

亀山『それでバイクを見たのは確かなんですね?』

小林『間違いありません、あのバイクです』

亀山『そうですか、ご協力感謝します』

 家を出る3人

内田『次が焼き鳥屋台の店主、佐野隆志さんですね』

右京『お忙しいところ申し訳ありません。二、三確認したいことがありまして』

佐野『私はパチンコ店から出てくる男を見ただけです。他には何も知りませんよ』

右京『あなたの証言から作成された似顔絵が決め手となって犯人逮捕に至ったわけですが、随分と詳しく覚えていましたね~』

佐野『たまたまですよ』

亀山『しかし左頬のほくろまで見事に特徴を捕らえていますねー』

右京『常連のお客さんに伺ったところいつもは通りの向こうでお店を開いてらっしゃるそうですねー昨日は何故こちら側に移動したのですか?』

佐野『匂いのことで苦情が来たので移動したんですよ』

右京『そうでしたか、お邪魔しました。あっ、最後に一つだけ。その指輪はこの仕事場とは相応しくないように思うのですが・・・これは何かの記念品かもしくは形見といったとこでしょうか』

佐野『ええ・・・亡くなった妻と買ったものです』

右京『そうですか。では亀山君、そろそろ失礼しましょう』

亀山『はい・・・』

 警視庁に戻る2人

右京『やはり高島さんの犯行ではないようです。嘘の証言によって事件の真相が見えなくなるところでした』

亀山『じゃあ誰かが嘘を言っていて、そいつが真犯人ということですか?』

右京『まだ仮設の段階ですからなんとも言えませんが、君に調べてもらいたいことがあります』

 しばらくして

亀山『右京さん、目撃者の戸部巡査、小林、佐野さんは現在も過去も接点はありませんでした』

右京『・・・では2年前に起きた事件か事故を調べ直してみましょう』

 またしばらくして

米沢『ご依頼の件が判明しました。2年前の1月20日、渋谷でガス爆発事故が起こっていました』

亀山『それなら覚えてますよ、確か救急搬送が遅れて犠牲者が増えたって当時のニュースで』

米沢『その被害者の中に戸部巡査の奥さん、小林さんの息子健一くん、佐野さんの娘今日子さんがいました』

右京『やはりそうでしたか』

亀山『しかしなんで2年前に関係してるとわかったんです?』

右京『佐野さんの指輪は明らかに新しいものでした。調べたところ10年前に他界している奥さんと一緒に買ったというのは考えられません。そこで宝石店に確認したところあの指輪は2年前のデザインと判明しました、小林さんのお宅には真新しい位牌があったのを気付きましたか?』

亀山『さあ・・・』

右京『そこにも2年前の日付が刻んでありました。さらには戸部さんの奥さんの3回忌です』

亀山『3回忌なら3年前なんじゃないんすか?』

右京『いえ、亡くなって一年目が一周忌、二年目が三回忌ですよ』

米沢『ということは全員が犯人でしょうか?』

右京『目撃者がそろって偽証しているのは間違いありません・・・しかしこの記事を見る限り2年前の事故に事件性は無く高島さんとは接点がありません』

亀山『高島をもっと調べた方がよさそうっすね』

 角田課長が登場

角田『おい、重大事実発覚だぞ、昨日薬の売人の木佐という男を逮捕したら、高島が事件の日のあの時間に木佐と接触してたことがわかったんだ』

右京『そういうことでしたか、見に覚えの無い強盗殺人未遂よりも薬の取引が発覚することを恐れたのでしょうかね~』

亀山『じゃあ真犯人はいったい・・・』

右京『亀山君、高島さんの前科暦に面白いものがありますよ』

亀山『道路交通法違反ですか』

右京『どうやら2年前の事故と彼は関係があったようですねー』

 事件関係者を現場のパチンコ店に集めた右京と亀山

右京『みなさんお集まりですね、では亀山君』

亀山『今回の事件は2年前の事故に大きく起因していたんです。この事故で戸部さん、小林さん、佐野さんはそろって身内の方を亡くされていますね』

佐野『それが何の関係があるんですか?』

右京『しかし、事故そのものでは犠牲者は出ていなかったのではないですか?』

亀山『暴走族が道路を占拠していたことにによって救急搬送が通常の何倍もかかっていたんですよ』

右京『その暴走族のリーダーが高島さんだった』

戸部『それと今回の事件とは関係ありません!』

右京『いいえ、大有りです。すべては戸部さんが仕事柄得た情報でしょうからねー』 

亀山『全ては彼への復讐だったんじゃないんですか?』

小林『・・・』

戸部『何故我々の証言を疑っているんです?』

右京『小林さん、事件の日に痴漢騒ぎなどありませんでした。真実を得るためとは言え誘導尋問になってしまい申しわけありませんでした、次に佐野さん、匂いに対する苦情は何年も前からあったという証言が取れました。しかも佐野さんの立つ位置からでは左頬のほくろを見るのは不可能なんですよ』

佐野『我々はあいつに責任を取ってもらいたかっただけなんです。あの後も反省もせずのうのうと暮らしているのが許せなかった・・・』

戸部『あいつだけは許せなかったんです』

右京『しかし、そこで疑問が一つ。今回の事件の被害者であるはずの大塚さんが2年前の事故にまったく無関係です。その頃大塚さんは大阪に暮らしていましたから』

戸部『そんな・・・彼も被害者遺族だと言って我々に計画を持ちかけてきたんですよ・・・』

佐野『ええ、高島を刑務所送りにするために彼の支持通りに動いたんです・・・』

右京『つまり、あなたがたは大塚さんの自作自演の強盗殺人未遂事件に信憑性を与える目撃者として利用されたのですよ』

小林、戸部、佐野『・・・わたしたちは怒りで我を忘れていたようですね・・・』

 大塚の自宅アパートに向かった特命係の二人

亀山『お出掛けですか?大塚さん』

大塚『ええ・・・ちょっと用がありまして』

右京『おおかた海外への高飛びですかね~』

大塚『何を言ってるんです・・・』

亀山『あんたが今回の事件の張本人なんだろ?』

大塚『飛行機の時間があるんで失礼します!』

右京『いま思えば現場に凶器が残された時点で疑うべきでした。住み込みの高島さんの部屋で包丁を持ち出したんですね?さらにおそらくその時麻薬取引の留守電を聞いて今回の計画を思いついた。目撃者を味方につければ高島さんが逮捕され、消えた1500万円は有耶無耶になると考えた。違いますか?』

大塚『証拠はあるんですか?』

亀山『あんたのその荷物から1500万円が出てくればこれ以上の証拠はないですよ』

大塚『あと一歩だったのに・・・残念だなー』

亀山『あの爆破予告もあんたか』

大塚『ええ、ネットで買ったんですけど出来が悪かったみたいですね』

右京『実際には存在しない犯人を緊急配備で範囲を絞られないためですね?』

大塚『いい作戦だと思ったんだけどな』

右京『完全犯罪などあるはずないですよ。あの3人とはどこで?』

大塚『高島が当時問題を起こしたのは知っていましたから。たまたま事故現場で花を供える人を見て、戸部さんに遺族のフリをして話を聞いたんです』

右京『人の不幸の上に成り立つ幸せなどありませんよ。被害者遺族の感情をもてあそんだあなたの行為は到底許されるものではありません』


 特命にて

亀山『大塚はギャンブルで相当借金があったようです』

右京『これほどの計画を練られる頭脳を他に生かせなかったのですかねー』

角田『まあ、お金も無事戻って、薬の売人も密売ルートも一つ潰せた、爆破予告も大事にならずにすんだ。よかったんじゃないかな』

亀山『しかしあの3人はどんな罪になるんすかね?』 

右京『それほどの罪にはならないと思いますよ』

米沢『失礼します。今夜時間取れるのですが、事件で出来なくなった麻雀の続きをいかかでしょう?』

亀山『そうだ、役満出したんだっけ!』

角田『まあ仕切り直しってことで一からやるか?』

亀山『そりゃ無いですよー』

右京『ギャンブルはほどほどにしてくださいね』

亀山『じゃあ右京さんはやらないんですか?』

右京『誰もそんなことは言っていません。勝つと分かっている勝負をしていいものかと思いましてね』

米沢『一度は言ってみたい台詞ですなー』

 終わり~

 6月10日、午後10時。亀山宅に集まる右京と角田課長

美和子『米沢さんが来るまで私が相手するわよ』

亀山『おまえ麻雀できるのかよ?』

美和子『ルールなら前の同僚に教わったことあるから大丈夫よ』

右京『では早速始めましょうか』

角田『俺は麻雀ならかなり自信あるぞ』


 しばらくして

美和子『ロン!』

角田『えっ・・・またか・・・最下位になっちまった・・・本当に初心者なのか?』

右京『ビギナーズラックというのはやはりあるのですかね~』

美和子『でもまだ2位なのよね~』

右京『亀山君。それロンです』

亀山『あ・・・』

右京『君は実にわかりやすいですね~あがりが近づくと途端に警戒が緩んでいますよ』

米沢『どうも遅くなりました』

亀山『ロン!右京さん!ロンです!』

右京『おやおや・・・役満ですか・・・』

米沢『これはこれは・・・実に意外ですな~右京さんが負けるとは』

右京『正確には10回目にして亀山君の強運に負けたということですよ』

 
 亀山の携帯が鳴る

亀山『あっ伊丹から電話だ・・・』

伊丹『特命の亀山~おまえの家の近くで強盗殺人未遂事件だ。部長命令だ。早く変人警部と一緒に現場に迎え!』

亀山『何で俺らなんだ?』

伊丹『知るかよ』

右京『そうですか。では参りましょうか』

 車で現場に向かう二人

亀山『なんでもパチンコ店の売上げがごっそり持ってかれて、店長も刺されたそうです』

右京『それにしても・・・何故僕らが呼び出されたのか気になりますねー』

 現場にて

内田『渋谷南署の内田です。被害者は店長の大塚誠二(52)売上金を金庫にしまうところを突然襲われ1500万円の入った鞄を持っていかれたそうです』

右京『また一日の売上金としては随分と高額ですねー』

内田『前日の現金回収車が故障したため今日は二日分の現金があったそうです』

亀山『で店長の大塚さんの様態は?』

内田『軽症です。犯人の特徴などの証言もすでに取れています』

亀山『目撃者はいたの?』

内田『渋谷南交番の戸部巡査が警ら中に現場から去る不審なバイクを目撃していました。他にもパチンコ店の前にある焼き鳥屋台の店主も同じようなバイクを目撃しています』

右京『それで犯人の逃走経路は判明したのですか?』

内田『ただちに緊急配備をしたのですか・・・今は人が足りないのでどこまで徹底出来たのか定かでないです』

右京『はい?』

内田『ご存知無いんですか?ちょうど犯行時刻と同じ頃に爆破予告の電話が警視庁にあったんです。それでほとんどの警官や刑事はそちらにまわっているんですよ』

亀山『それじゃ・・・今警察の機能は麻痺してるってことか』

右京『爆破予告・・・どこまで信憑性があるのかわかりませんが危機が迫っているのは確かなようですねー』


 翌日 特命係にて

角田『よ!ヒマか?昨日はこれから勝ち続けようと思ったらあんな事件が起こっちまってなーそれも爆弾予告まであったなんて今朝の新聞で知ったよ』

亀山『まったく物騒な世の中ですねー右京さん』

右京『それで爆破予告の方はどうなったのですか?』

角田『あれっきり連絡が来ないから悪戯だったんじゃないかって一課の連中が言ったたな』

亀山『しかし・・・なんでそんな悪戯信じたんすかねーまるっきり警視庁がバカみたいじゃないっすか』

伊丹『特命係の亀山~誰がバカだって?もうこっちの事件はは片付いたから昨日の強盗殺人未遂の資料をよこせ』

右京『もしかしたら本物の爆弾を回収したのではないですか?』

三浦『さすがに警部殿は察しがいい。副総監の自宅にプラスチック爆弾が宅配便で届けられたんですよ』

芹沢『でも今朝になって爆発物はかなりの粗悪品と判明し、素人の犯行が高く、その後の接触も無いので大規模な捜査はうちきりになったんですよ』

右京『そうでしたか。だとすると疑問が一つ。その爆破予告の犯人の狙いがまったく見えてきませんねー愉快犯ならば更なる接触があるはずですし、副総監個人への恨みによる犯行ならば更なる挑発的な予告があってもいいと思いますがねー』

伊丹『とにかく、爆弾事件は終わりなんです。さっさと資料をよこせ亀吉!』

亀山『はいはい、とっとともってけ!』

 そのとき電話がはいる

内田『昨日はどうもー渋谷南署の内田です。更なる目撃者が出まして犯人の特定に至りましたのでご報告いたします(中略)』

亀山『いまごろ伊丹が出張ってもこっちも早期解決のようですね』

右京『それで、犯行は認めているのですか?』

亀山『内田さんの話によると・・・容疑者は現場のパチンコ店に1年前まで勤めていた高島武彦(27)という奴らしいです、でも犯行は否認していてその後は黙秘だそうです』

右京『この事件・・・まだ解決したとは思えません。亀山くん、もう一度調べてみましょう』

亀山『一課に資料渡しちゃいましたよ・・・』

右京『あの程度の情報ならもう覚えましたから問題ありませんよ。それに最も犯人と思しき人物が目の前にいる以上捜査一課は再捜査はしないでしょうからねー』

米沢『お待たせしました。昨日の爆破予告事件の資料です。本来なら厳重に保管なんですがこちらに保管しておいた方が何かと役に立つと思いまして』

右京『わざわざありがとうございます、では行きましょう亀山君』

亀山『はい』

続く~


 しばらくして


米沢『赤ん坊のDNA鑑定をしたところ安倍朋子の子で間違いありませんでした。しかし被害者の森とは血縁関係はありませんでした』

亀山『え?他人の家に子供連れの高校生がいたってことですか・・・』

右京『亀山君、安倍さんのお宅に行ってみましょう』

亀山『はい』


 安倍朋子の家にて

母(真紀子)『私たちはあの子とは縁をきりました。別の刑事さんにもさっきお話しましたよ』

右京『子供が生まれたのはご存知だったのですか?』

真紀子『ええ』

父(純一郎)『高校生で妊娠して、しかも父親が誰だか分からない・・・そんなことを言われて許せる親がいると思いますか?』

亀山『しかし、朋子さんはあなたたちしか頼れなかったんじゃないんですか』

純一郎『とにかくあの子がどうなろうと私たちには関係ありません』

右京『そうですか、では失礼します』

亀山『・・・』

右京『あっ!もう一点だけよろしいですか?』

真紀子『はい?』

右京『朋子さんの高校の友達はご存知ですか?』

真紀子『何人かならわかります』

 車中にて

亀山『ちょっと児童相談所に寄っていいっすか?』

右京『ええ』

 児童相談所にて

所員『初めまして、岸と申します。亀山さんですよね?』

亀山『はい。あれ?担当は吉田さんでしたよね?』

岸『吉田は今日私用で不在なので私が代わりに承ります』

右京『・・・僕はここで待っています』

 朋子が通っていた高校にて

警察手帳を見せる亀山『君が細川百合子さん?』

百合子『ええ・・・』

右京『朋子さんが高校を退学になってからの経緯をご存知ですか?』

百合子『朋子は可愛そうな子なんです・・・知り合ったばかりの男との間に子供が出来て、それを言ったら男に逃げられて、親にも家を追い出されて』

亀山『そのあとはどうやって生活してたのかな?』

百合子『おじいさんのとこに行ってたみたいです。でも最近おじいちゃんが体調を崩したからまた家を出ないといけないって言ってました』

右京『どうもありがとう』

百合子『刑事さん!朋子がどうかしたんですか?ちょっと気になっていたから・・・』

右京『ちょっと事件に関係している程度ですよ。気になることとはどんなことです?』

百合子『最近、朋子はプロフにはまってて最近すごい悩んでたみたいなんです』

亀山『プロフ?』

 特命にて

右京『プロフィールサイト、通称プロフ。主に10代の子供たちが携帯電話のサイトに自分のプロフィールを載せて交流を楽しむものですね』

亀山『詳しいっすね』

右京『たまたま雑誌で読んだことがあるだけですよ』

角田『ヒマか?』

亀山『課長はプロフって知ってます?』

角田『ああ、今問題になってるやつな。本名や連絡先まで載せてしまう子供が事件に巻き込まれることが最近多くなってな』

亀山『なんだか怖い世の中っすねー』

伊丹『特命係の亀山~こそこそ安倍朋子の周辺を調べてんじゃねーよ』

亀山『うっせー』

右京『その後何か分かりましたか?』

芹沢『害者の森は相当評判が悪いです。恐喝や薬物売買など立件されていない件がごろごろしていますね』

伊丹『ペラペラしゃべんなっっつの!』

右京『他には何か』

芹沢『最近は大金を得る取引があると周囲に言っていたそうです』

亀山『取引・・・拳銃か麻薬か。いや、人身売買・・・なんてことはないっすかね』

右京『亀山君!』

亀山『あっ、すんません・・・不謹慎でした・・・』

右京『いえ、君にしては面白い発想です。そこに今回の事件のヒントが隠されているかもしれません』

亀山『え?』

伊丹『さっぱりわからん・・・』

 取調室にて

右京『安倍さん、ここにあなたの携帯電話があります。さらにこちらは今回の被害者森さんの携帯電話。二人とも同じプロフを利用してますねーどちらも匿名ですがメッセージのやり取りが一致しました』

安倍『・・・』

亀山『君は自分の子供のことについて森さんに相談してるね。そこで里親探しを依頼したんだね?』

安倍『・・・みずほです。私の子供の名前・・・そうです。私は自分の子供を一度は捨てたんです』

右京『しかし事件の日は森さんの家に断りに行った。違いますか?』

安倍『あの人がまさか多額のお金と引き換えに子供を売っていたなんて知らなかったんです・・・確かにあの日は断りに行きました。でももう死んでたんです!このままでは私はともかくみずほにまで危険が及ぶと思ってその場から逃げました』

右京『やはりそうですか。だから一見子供連れと分からぬようにバックで運んだのですね』

伊丹『じゃあ犯人はいったい誰なんだ・・・』

右京『一人、気になる人物がいます』


 しばらくして

亀山『右京さん、ビンゴですよ。奴はここ一年で3度も某国に出国してます。しかも多額の借金もありました』

右京『行きましょう』


 容疑者の自宅へ向かう二人

右京『今日は休みだとお伺いしたので自宅を所員の方に伺って参りました』

岸『わざわざ自宅まで・・・何のようです?』

亀山『森さんを殺したのはあんたなんでしょ』

岸『なんで私が・・・森なんて人知りませんよ』

右京『そうでしょうか、先日亀山君が相談所を訪ねたときあなたは初めてにもかかわらず亀山君を特定して話し始めました。あの時点では僕が亀山である可能性もあったはずです。では何故特定できたのか。それはそれ以前に亀山君に会った事があるからですよ』

岸『それはあなたが最初に来たときですよ』

亀山『いいや、あの時はあなたは休みだったと吉田さんが教えてくれましたよ』

右京『あなたが亀山君の顔を確認したのは亀山君がみずほちゃんを発見したときですよ。そのとき以外確認できるチャンスはありません』

岸『こじつけだ!』

右京『おそらく朋子さんが森さんの部屋に来たときにあなたはまだ室内にいた。そして朋子さんの後をつけ赤ん坊を奪い取ろうとした。しかし朋子さんはバックを置いたまま戻ってこず、あなたが奪う前に亀山君が発見してしまったのでしょうねー』

岸『俺が殺したって証拠はあるのか?』

右京『森さんの部屋からは身元の分からない指紋が一つありました。さらに出血の量からして犯人は返り血を浴びた可能性も十分にあります。調べさせてもらいますか?』

岸『断る!令状はないんだろ』

亀山『早く出頭する方があなたのためだと思いますよ?』

岸『・・・』

右京『殺害の動機は人身売買が不成立に終わり揉めたという事でしょう。その後もまだ子供を狙ったということは・・・取引が無事に終わらないと今度はあなたの身が危険にさらされる』

亀山『国境を越えた相手はどんな手段を使ってくるか分からないっすよー』

岸『・・・助けてくれ、早く警察で保護してくれ!』

 その後

右京『もう一件寄ってもらいたいところがあります』

 
 朋子の両親宅

純一郎『朋子のことは放っておいてください』

亀山『あんたねー朋子さんが今どんな気持ちか考えたことあんのか!』

右京『あなたがたに朋子さんを叱る資格はありませんよ!朋子さんは母親として悩み、一時は挫け、最後までわが子を守ろうとしたのですよ。あなたたちの対応よりはるかに大人だと僕は思いますよ』

真紀子『・・・』

 警視庁にて

亀山『よかったな、疑いが晴れて』

朋子『ありがとうございました』

右京『あちらでご両親がお待ちですよ』

朋子『お父さん!お母さん!ごめんなさい・・・』

純一郎『私も悪かった・・・』

真紀子『私たちも精一杯協力するから育てなさい』

 抱き合う家族4人を見て

亀山『やっぱ家族っていいもんですね』

右京『そうですねー』

終わり~

 ある日の夜、食事をして帰る途中の薫と美和子

亀山『たまには二人で食事ってのもいいな』

美和子『たまにならね』

亀山『それ・・・どういう意味??』

美和子『深い意味はないわよ^』

亀山『あれ?あの黒いバックは何だろ?』

美和子『誰かの忘れ物じゃないの?』

亀山『まさか中には札束が入ってたりして、もしくは爆弾か』

美和子『冗談言ってる場合じゃないわよ・・・中から泣き声が聞こえるわ・・・』

亀山『赤ちゃんだったのか・・・』

 次の日

右京『おはようございます』

赤ん坊を抱いた亀山『おはようございます』

右京『これはどういった趣向ですか?』

亀山『昨日偶然見つけまして、児童相談所に電話したら明日の朝まで預かってくれってことだったんでこうなってます』

右京『そうでしたか。取り扱いには十分注意してください』

亀山『右京さんは赤ん坊の面倒見たことあるんすか?』

右京『ええ、かつておばの家で少しだけ接したことがある程度ですよ』

 一方その頃品川のとあるアパートにて

伊丹『頭を殴られてほぼ即死か・・・』

芹沢『ええ、殺されたのは山崎界系の暴力団組員、森武彦(35)です。犯行時刻は昨夜の9時頃で、その時間に現場から走り去る若い女性を管理人が見ていました』

三浦『怨恨か暴力団の抗争か、いずれにしてもその女を見つけるのが先だな』

 鑑識にて

右京『米沢さん、お借りしていた小説をお返しに来ました』

米沢『わざわざどうも。どうでしたか?』

右京『主人公がとても若いのでどうも僕にはちょっと物足りない感じでしたねー』

米沢『次回は傑作をお貸ししますので乞うご期待を』

右京『楽しみにしています。おや?これは?』

米沢『ああ、今朝の殺人事件の現場写真です。現場から去る若い女が目撃されているとか』

右京『ちょっと失礼。この写真お借りしてもよろしいですか?』

米沢『もちろんです』

 特命にて

右京『亀山君、君はどこでこの子を見つけたのですか?』

亀山『品川のレストランの帰りですよ』

右京『この写真を見てください。左上のところ』

亀山『?なんすかねこれ?』

右京『この子の右足の靴下はいつからないのでしょう?』

亀山『あ!同じ柄の靴下!でもなんで死体写真と一緒に写ってるんです?』

右京『ただの偶然でなければ、可能性は唯一つです』

亀山『この子の母親が事件に関係しているってことですか・・・』

角田『ヒマか?』

亀山『ヒマじゃないっすよ!すぐ捜査本部行ってきます』

角田『なんだ?あいつ』

戻ってきた亀山『あの~これはどこの事件です?』
 
右京『僕もいきますよ』

 捜査本部にて

内村『ご苦労。あとはこっちでやる。お前らは特命にもどれ!』

亀山『ちょっと!』

右京『亀山君!・・・では失礼します』

亀山『俺らの情報なのになんなすかねーこの扱い』

右京『いいじゃないですか。僕らも品川に行ってみましょう』

 品川、赤ん坊の置かれていた場所にて

右京『ここですか。何時頃です?』

亀山『10時ちょっと前です』

右京『米沢さんの話によると死亡推定時刻は9時頃、現場での目撃情報が9時15分、現場からここまで約30分』

亀山『時間的にはぴったりですね』

電話が鳴る右京『【杉下です。そうですか。】米沢さんからです。黒いバックから指紋が検出され、補導歴リストから安倍朋子という高校生と判明したそうです』

亀山『高校生ですか・・・』
 
 取調室にて

伊丹『安倍さん、現場から走り去るあんたが目撃されてるんだよ』

安倍『私は殺してません』

芹沢『現場に行ったのは認めるんですね?』

安倍『・・・』

伊丹『なんで森のところに行ったんだ?』

安倍『・・・』

 特命にて

角田『殺してないって言った後は終始黙秘してんだってよ』

右京『何か隠したいことがあるのでしょうかねー黒いバックに赤ん坊なんて普通は考えられません』

亀山『どういうことです?』

右京『赤ん坊の存在を周囲に知られたくなかったということにはなりませんか?』

亀山『となると身の危険を感じて赤ん坊をあの場所に置いたってことですか』

右京『ええ、もう少し詳しく調べて見る必要があるかもしれません』

続く~