特命係にて、ホワイトボードに書き出す特命の二人

右京『11年前に起こった出来事を整理してみましょう。与謝野さんの事件があったのが桜木町、3億円強奪事件があったのが関内ですね』

亀山『ええ、午前11時15分、現金3億円を積んだ現金輸送車が3人組の犯人に襲われ、警備員の小泉純一が犯人の一人に撃たれ即死でした。それで与謝野たまえの事件が発覚するのが午後6時すぎ、マージャンから戻った与謝野雅夫が第一発見者となり同6時15分神奈川県警に通報が入ってますね』

右京『牛尾さんの話を総合すると当時の県警は3億円事件に追われ、殺人事件の捜査が十分に行われなかったということになります』

亀山『そしてどちらも未解決のまま現在に至ると』

右京『では、こういうのはどうでしょう。3億円事件の犯人が与謝野雅夫、以下二2人』

亀山『こっちの事件も与謝野だったって言うんですか?』

右京『与謝野が無職でありながらホテル暮らしを3か月も出来るお金を持っているので大金を得るチャンスがどこかにあったと考えるのが妥当ですよ』

亀山『じゃあ、残りの犯人ってのはアリバイ証言をした山本と鳩山と町村。でも合計4人になりますね』

右京『3億円もの強盗ですからね~実行犯以外に乗り換えた車を運転する人物が必要です。おそらくこの人物が強盗を計画した主犯でしょうね』

亀山『じゃあ、与謝野たまえは何故死ぬ必要があったんですか』

右京『そこです。犯人にとってこの事件こそ予定外だったとしたら辻褄が合います』

 そこに角田課長が登場

角田『どういうことだよ?』

右京『与謝野たまえさんが亡くなっていた時の状況を覚えていますか?』

亀山『全身に殴られたような打撲痕があったんですよね、それで頭部の外傷性ショック死だっけかな』

右京『そうです。まるで事故にでもあったような状態です。つまり…』

亀山『まさか…3億円を強奪し逃走中の車で事故を起こしたってことですか?』

右京『そう考えれば遺体をスーツケースに入れ、あたかも殺人事件のように装い、自らのアリバイを仲間と共有したことにも納得がいきます』

角田『そうか、相変わらずよく思いつくね~』

亀山『仮にそうだとしても、今回の事件はどう関係してくるんです?』

右京『それはホテル暮らしの与謝野雅夫の様子から想像がつきます』

亀山『?』

 捜査本部にて

内村『それで、11年前の殺人事件と今回の死体遺棄にはどういうつながりがあるんだ』

中園『それは…なんでも3億円事件まで関わってくるとか』

内村『3億円だと?まさか11年前の神奈川の事件のか!』

中園『ええ、特命係の情報なので信憑性は疑問ですが』

内村『すぐに神奈川県警に連絡しろ!合同捜査で当時の殺人事件と3億円事件の犯人もこっちで上げるんだ!』

中園『しかし、3億円事件は既に時効ですが…』

内村『かまわん、神奈川で挙げられなかった犯人を警視庁が特定すれば奴らに恥をかかせられるからな』

中園『ただちに』


 ワシントンホテルに向かった特命係の二人

麻生『刑事さん~まだ何かあるんですか?』

右京『申し訳ありません、いくつか質問よろしいですか?』

麻生『このあと仕事が詰まってるんで少しだけでいいなら』

亀山『与謝野さんの行動で他に目立ったことはありませんでしたか?』

麻生『この前話したことくらいですね』

右京『ではもう一つだけ、与謝野さんが払った現金はまだ残されていますか?』

麻生『3か月前ですよ?あるわけないですよ。もう銀行ですから』

右京『そうですか、ではお忙しいところ失礼しました』

亀山『失礼します!』

 ホテルを出る二人

右京『ようやく事件の真相が見えてきました』

亀山『ええ、あとは証拠ですね』

牛尾『当時の事件を調べなおしてみました、管轄外なのでどこまで出来るかと思いましたが…』

船越『与謝野は11年前の事件後すぐに車を処分していました、さらにすぐさま新車を購入したことまで突き止められました』

右京『小沢明子さんの自宅からは何か出ましたか?』

牛尾『一つ興味深いものがありました、先日亡くなったマージャン仲間の山本太一からの封筒が残されていました』

右京『手紙の中身はありませんでしたか』

牛尾『ええ、おそらく中身を持ってホテルに向かったのではないかと思います』

右京『なるほど、どうやら僕らには切り札が残されたようです』

 しばらくして

 ワシントンホテルにて

麻生『またあなたたちですか、いい加減にしてくださいよ』

亀山『これが最後ですからご協力お願いします』

右京『ええ、文字通り最後の訪問ですよ』

麻生『どういう意味ですか』

亀山『今回の死体遺棄事件は与謝野雅夫の犯行で間違いありませんよ、ただ11年前の2つの事件。その主犯はあなたじゃないんですか?』

麻生『何をばかなことを、11年前の事件が何だっていうんですか』

右京『3億円強奪事件に成功し、その喜びのあまり運転がおろそかになってしまったようですね~そして皮肉なことに与謝野雅夫の奥さんを撥ねてしまった』

麻生『…』

亀山『あんた、8年前に結婚して麻生家の婿養子になっているでしょ。旧姓は町村。与謝野雅夫のアリバイを証言をしたのはあんただってことはわかってんだよ』

麻生『…確かにアリバイを証言したことはある。でも何で私が犯人なんですか』

右京『あなたは今回亡くなった小沢さんが何故ホテルに来ていたのかご存じなかったのですか?』

麻生『私が知るわけない』

亀山『当時アリバイを証言した山本太一。彼がガンで亡くなる直前に小沢さんに手紙を書いたんだよ。あんたや鳩山、与謝野と一緒に事件を起こしたこと、事故とは言え小沢さんのお姉さんである与謝野たまえさんを死なせてしまったことなど全部な』

麻生『ばかな・・・』

右京『ええ、確かに手紙本体は与謝野雅夫からあなたの手に渡ったと思いますよ』

亀山『でもそれを書いた用紙の裏にしっかり残っていたんだよ』

右京『さきほど山本さんの自宅からお借りしてきました。鉛筆でこするとはっきりと読めます。まだお認めになりませんか』

麻生『っく…証拠はあるんですか?そんな手紙で捕まってたまるか』

胸ぐらをつかむ亀山『てめー!』

止める右京『亀山君。ではこちらはどうでしょう』

 旧一万円札を両手に持つ右京

麻生『なんだそれは?』

右京『あなたはもう現金は手元にないとおっしゃった。確かに大部分はすでに銀行に行ってしまい区別はつきません。しかし数枚はこうして残されていたんですよ』

亀山『ここの係の人間や銀行の行員が旧一万円札と自分の現金を換えて保管していたんだ、いまどきピン札の旧一万円札なんて探しても見つからないからな』

麻生『だからどうしたってんだ』

右京『この一万円の記番号と当時奪われた札束の一枚が一致しました。さらにそこにあなたの指紋がありました。それも鑑識で調べたところ最近のものではなく、10年以上前に付いたものだということもわかりました』

麻生『…』

亀山『ひき逃げ事件だってな、調べなおせばいくらでも証拠なんて出てくんだよ!警察をなめるなよ!』

麻生『…与謝野が悪いんだ…あいつがトランクなんかに詰めて置いておくから…』

右京『逃亡生活を続けていた与謝野雅夫は自首を考えたのですね?そこであなたに相談したところホテルに軟禁状態にされたわけですか』

麻生『今になって自首なんて許せなかったんだ、だから捕まれば死刑だと脅し逃げ続けるように説得したんだ、人ともなるべく関わるなとも言ってね』

右京『そこに山本さんからの手紙から小沢さんがここを訪ねてきたわけですね。そして運悪く小沢さんは心臓発作か、脳卒中などの不可抗力で亡くなってしまった』

亀山『それで動転した与謝野は当時と同じ方法で遺体を隠すことしか考えられなかったわけだ、さすがに耐えられなくなって逃げ出した、まあおそらくあんたが作った新たな潜伏先でおとなしくしてるんだろうけどな』

麻生『まさかこんなことになるとは思ってもみなかった』

右京『真実はいずれ白日の下に晒されます、それが理解できていればこんなことにはなりませんよ』


 その後、潜伏先で与謝野雅夫を逮捕、すっかり衰弱しきっていた

 特命にて

亀山『どうやら麻生は与謝野も殺そうとしてたみたいっすね』

右京『一度悪魔に心を売ってしまうと抜け出すのは難しいのですかね~』

角田『まあ鳩山ってやつも殺人教唆で事情聞かれてるみたいだし、このままの地位ではいられないだろうな』

 刑事部長の部屋にて

内村『神奈川県警の連中がかなり怒っていたぞ』

中園『それはなによりです』

内村『あいつらもたまには役に立つな!』


 警視庁の外にて

牛尾『杉下警部、今回もお見事でした』

右京『いえ、僕だけの力ではありません、皆さんの情報や米沢さんの協力があってこそ解決できたのですよ』

船越『パッと祝杯でもあげに行きますか!』

亀山『いいっすね!銀座にでも行きます?』

右京『もちろん、 行きませんよ』

牛尾『おい、船越くん。また事件のようだよ』

船越『へーい』

亀山『じゃあ俺達も行きますか』

右京『ええ、ところで君はピン札の旧一万円札が今いくらで取引されているか知っていますか?』

亀山『さあ、五万くらいでですか?』

右京『額面以上にはほとんど価値はないそうですよ』

亀山『なんだ、集めようかと思ったのに…』

 終わり~

 警視庁のロビーにて、一人の30歳前後の女性が受付係に声をかけていた

女性(石原)『あのーホテルの事件を担当している刑事さんにお会いしたいんですが』

 そこに偶然通りかかった特命係の二人

亀山『あー俺達でよければお話お聞きしますよ』

石原『私、ジャリーパスタに勤めている石原さと子といいます。昨日お店に刑事さんがいらっしゃったそうなんですけど、私昨日休みだったんです』

右京『何か思い当たる点がおありですか』

石原『ええ…実は私の近所に住んでる女性と親しくなりまして、その人にお店の残った材料でパスタを作って届けたことがあるんです』

亀山『それはいつごろ?』

石原『2週間くらい前だったと思います。それにあれ以来彼女と連絡がつかなくなってしまって心配してたんです』

右京『なるほど、その方のお名前は何とおっしゃるのですか?』

石原『小沢明子さんです』

二人は小沢という女性の住所を聞き、アパートの一室に到着した

亀山『確かに何日も戻ってないようですね』

右京『そのようですね~』

管理人『小沢さんは長く留守にするときは必ず声をかけてくれてたんですがね~あっ終わったら声掛けてください』

亀山『右京さん!これ!』

 二人は写真楯に写った女性は今回の被害者だと確信した

右京『どうやら、間違いなさそうですね。亀山君、これを見てください』

亀山『なんか古そうな新聞記事ですね、あっ11年前の事件の記事?』

右京『11年前何が起こったのか、すべての解くカギはやはりここにあるようです』

 特捜本部にて

伊丹『遺体の身元が割れました、名前は小沢明子(52)、今のところ与謝野との関連は不明です』

内村『途中経過的な報告はいらん!早く結果を出せ』

部屋を出る芹沢『どうも特命係の情報ってのが気に食わないみたいですね』

同じく伊丹『くそっ…』

 牛尾、船越と合流した特命係の二人

牛尾『あれから横浜の事件を調べてみたんですが、どうも不審な点が多すぎます』

右京『というと?』

船越『11年前のスーツケースの遺体(与謝野たまえ)は全身打撲でほぼ即死状態でした、当時の捜査本部は殴られたことによるショック死としていますが』

右京『交通事故死、またはひき逃げの隠ぺいとも考えられます』

牛尾『ええ、しかも夫である与謝野雅夫のアリバイもマージャン仲間と会っていたという曖昧なものでした』

亀山『じゃあ、11年前に奥さんを殺したのは夫の与謝野雅夫で、今回は死体を遺棄した…さっぱりわかんね~』

右京『一つ気になることがあります。11年前のあの日の事件は与謝野さん事件だけではありません。当時かなり話題になった3億円強奪事件もちょうど同じ日なんですよ』

牛尾『そう言われてみると同じ日ですね。しかもどちらも未解決…何か関係があるのでしょうか』

右京『まず与謝野のアリバイを証言したというマージャン仲間にお話を伺ってみましょうか』

船越『鳩山、町村、山本の3人ですが、山本は先日病死していました。町村も所在がつかめません。鳩山は都内で不動産屋を経営しています』

 鳩山不動産にて

右京『警視庁特命係の杉下と申します』

鳩山『なんでしょうか、手短にお願いしますよ』

牛尾『あなた、11年前与謝野雅夫のアリバイを証言していますね』

鳩山『それが何か?』

右京『調べたところその事件を境にギャンブルによる借金で苦しんでいたあなたはすぐに事業を興し今ではこれほど立派な会社を作り上げていますね~』

鳩山『何が言いたいんですか?』

牛尾『つまり、偽の証言をして金を脅し取った可能性が高いってことですよ』

鳩山『何をばかなことを、第一、与謝野にはそんな金はありませんでしたよ』

右京『そうでしょうかね~手に入れたばかりの大金があったと思いますがね~』

鳩山『失敬だな!君たち、名誉棄損で訴えるぞ!』

右京『お気を悪くされたのなら申し訳ありません、いろいろな可能性を探るのが僕の悪い癖でして』

鳩山『とにかく、もう話すことはない、帰ってくれ!』

 外に出る右京と牛尾

亀山『あっ右京さん、どうでした?』

右京『君のほうこそどうでしたか?』

亀山『新事実です、ホテルで遺体で見つかった小沢明子と11年前の被害者与謝野たまえはどちらも旧姓が小池だったんです!』

右京『つまり二人は姉妹でしたか』

亀山『消えた3億円の行方も気になりますね』

右京『ええ、小沢さんが何故今になって与謝野のもとを訪れたのかも気になります』

牛尾『では、我々は引き続き3億円事件を調べてみます』

右京『お願いします、我々はもう一度ホテルへ参りましょうか』

 亀山・右京、船越・牛尾はそれぞれ捜査を続行した

続く~


※なんだかんだと長くなってしまいました、次で終わります。

 警視庁にて


内村『それで事件の進展はどうなってるんだ』

中園『それが・・・害者も福田という男もどちらも身元がわれません』

内村『住所もでたらめか、しかし指紋は検出できたんだろ』

中園『ええ、しかし前科者リストに一致するものはありませんでした』

内村『害者も50歳くらいとしかわからないのか・・・一体どうやって捜査する気だ!』

 その夜、鑑識にて

米沢『どうやら福田というのは偽名だったようですな』

右京『そのようですね~』

亀山『こうなったら被害者のほうから身元割り出すしかないっすね』

右京『ええ、ですからこちらにお邪魔しているんですよ』

米沢『遺体は腐敗が進んでいるので死因を特定するのもかなり難しいですな』

右京『ええ遺体から、もしくは遺体の衣服の入手経路から身元を割り出すのは難しいでしょう、しかし衣服に付着していた黒いシミから何かわかりませんか』

米沢『私も気になって調べてみたんです。残念ながらうちにある機械では分かりませんでした。しかし既にシミの分析を科捜研に依頼しております』

亀山『さすが仕事早いっすね』

右京『では待ちましょうか、亀山君。明日もう一度ホテルに行ってみましょうか』

 翌日

支配人の麻生『昨日も別の刑事さんにお話しましたが』

亀山『部署が違うもんでね、確認ついでにもう一度お願いします』

麻生『あのお客様は前にも言った通り3か月前に来て前金で宿泊されていました。スタッフが掃除に入ることも拒否されましたし、ルームサービスもほとんど御利用なさらなかったのでほとんど顔を会われることはありませんでした』

亀山『他に何かないっすかね』

麻生『何度か部屋を変えてくれと言われましたね。部屋に空きがある時は移動していましたが、部屋に入ってすぐに部屋中を調べていました』

右京『極力人と接することを拒み、部屋を変えるなど神経質な一面を持ち合わせているようですね~』

麻生『今思えば気味の悪いお方でした』

亀山『しかし、大変ですね…事件のあった部屋はもう使えないんですね』

麻生『ええ…早いうちに改装しないとお客様が離れてしまいますよ』

 新宿西暑にて

電話に出る牛尾『はい、あー刑事官。お久しぶりです。はい、えーワシントンホテルの事件は私の担当です。はい、えーわかりました。さっそく調べてみます』

船越『どうしたんです?』

牛尾『新情報だ、杉下警部に連絡してくれ!』

 新宿西署にきた特命の二人

右京『どうかしましたか?』

牛尾『さきほど知り合いの神奈川県警の刑事官から連絡がありまして。11年前にも今回と同様の事件があったのをご存じですか?』

右京『確かに11年前にもスーツケースに入った遺体の事件があったのは覚えています』

牛尾『その事件はいまだに未解決でして、その時の指紋と福田という男の指紋が一致したんです』

亀山『しかし、警視庁のデータベースには指紋データがなかったはずですよね』

右京『容疑者ならばデータとして登録されますが、関係者指紋ならば検索では見つかりませんよ』

牛尾『ええ』

右京『11年前の事件をもう一度調べなおしてみる必要がありそうですね~』

 特捜本部にて

芹沢『身元が割れました!名前は与謝野雅夫(56)現在、住所不定の無職です』

伊丹『じゃあ何でホテル暮らしなんてできるんだ?』

芹沢『さあ?大金でも手に入ったんじゃないっすか』

 鑑識にて

米沢『例の黒いシミの正体がわかりました。イカスミでした』

亀山『イカ墨?じゃあ事件前にパスタを食べたってことしか分からないっすね』

米沢『それが…事件かどうかも疑わしい状況です。実は死因が解らないんです。外傷もなく、毒物も検出されない。こうなると心臓発作や脳卒中といった病死と考えるほうが妥当なような気がしますな』

右京『なるほど。そうなると殺人ではなく、死体遺棄となりますね。しかし疑問がひとつ。そこまでして死体を隠す必要がありますかね~』

亀山『確かにあんな異臭が出るまで放置するってのは考えにくいっすね。どうしても愛する人の死を受け入れられなかったとかですかね』

右京『君らしい発想ですね~しかし最後は自分が行方をくらましているのでそれはないと僕は思います』

米沢『盛り上がっているところを申し訳ないですが、そのイカ墨は都内で10店舗ほどあるジャリーパスタという店独自のものだと判明しました』

亀山『じゃあその店を調べればひょっとして…』

伊丹『特命係の亀山~てめー何捜査のまねごとしてんだこら!』

亀山『なんだとこら、れっきとした捜査じゃねーか、少なくともお前らより早く真相に近付いてるじゃねーかよ』

伊丹『ちっ、とにかくそのパスタ店は俺らが調べる、てめーはすっこんでろ』

亀山『ふざけんなよ』

右京『亀山君、いいじゃないですか。彼らに任せましょう』

 伊丹らが部屋を出ていく

亀山『またあいつらに持ってかれた』

右京『間違った方向にいかない限り誰が捜査しても同じですよ。いえ、同じでなければ困ります』

亀山『でも俺たちの仕事じゃないっすか』

右京『我々は特命係です。必要な時に役に立てればいいではないですか』

亀山『…そうっすけど』

 しかし、すべての店を調べるが該当するような50歳前後の女性の目撃情報はなかった。

 特捜本部にて

内村『全力を挙げて、与謝野雅夫の行方を追うんだ』

捜査員1『しかし死体遺棄じゃやっぱやる気でないな』

捜査員2『ああ、確かにな』

内村『おい、今何と言った!今回の件は事件報道が話題性のあるうちに解決することに意味があるんだからな!警視庁の威信をかけて捜査するんだ!わかったか!』

全捜査員『はい!』

 特命にて

亀山『さて、振り出しに戻っちゃいましたね、どうします?』

右京『必ず何かあるはずです、もう一度調べてみましょうか』

続く~

 新宿ワシントンホテルにて

美和子『このホテルの一階の店のランチが絶品なのよ』

亀山『そんなにいいんなら混んでんだろ~』

たまきさん『ご心配なく、亀山さん』

亀山『たまきさん?も一緒なんすか。じゃあ右京さんも?』

右京『いけませんか?』

亀山『いや、そんなことないっすけど・・・ところでご心配なくってどういうことです?』

たまき『この間雑誌の懸賞でここのお食事券が当たったんですよ。4人までって書いてあるのでちょうどいいかなーと思ってね』

亀山『ああ、なるほど。実はいくら取られるかドキドキしてたんすよ』

 そのころホテルの24階では

宿泊客『なんだ・・・この匂いは・・・』

別の客『まさかガスか?』

ホテル従業員『お客様!落ち着いてください。とりあえずお部屋にお戻りください!』

 ロビーにて

支配人『異臭騒ぎだと?』

従業員『はい・・・24階のお客様から指摘がありまして、確かに強烈な異臭がします』

支配人『それで消防には連絡したのか?』

従業員『まだです』

支配人『すぐに通報したまえ。そして23階から25階のお客様を非難させるんだ』

従業員『はい!』

亀山『なんだかロビーの方が騒がしいですね』

右京『そのようですね~ちょっと見てきましょうか』

亀山『なんでも気になるのが悪い癖ですからね』

右京『はい~?』

 二人は支配人に話しかける

亀山『なんかあったんですか?』

支配人『いえ、大したことではありません・・・』

右京『ご心配なく、我々は警察官です。無用なパニックを引き起こしたりしませんよ』

支配人『24階で異臭騒ぎがありまして、今調べているところです。申し遅れました。私、支配人の麻生と申します』

右京『警視庁特命係の杉下です』

亀山『同じく亀山です』

右京『とりあえず消防が結論を出すまでは我々にできることはありませんね』

 20分後

消防隊員『23階から25階まで調べてみましたがエレベーターや通路には不審物はありません』

隊長『硫化水素の可能性はどうだ』

隊員『計器の数値に異常はありませんので違いますね』

右京『失礼、では客室の可能性しかありませんね。ガスでも硫化水素でもないとなる原因は限られてきますね』

別の隊員『隊長、いま2450室の室内を調べてみましたがドア付近に不審なトランクがあります』

隊長『それで、中身は?』

隊員『うわ~・・・し・・・死体です。トランクの中で女性が死んでいます!』


 一部が腐乱した女性の遺体を発見。

 ただちに新宿西署、警視庁の署員が集結

 2450室にて

牛尾『杉下さん、お久しぶりです。また嫌な事件になりそうですね』

右京『ええ、ところで女性の身元は割れましたか?』

牛尾『それが、身分を示すものは何も携帯していません』

亀山『この部屋に宿泊してるのはこの女性なんすか?』

牛尾の部下である船越『いえ、福田三郎と名乗る男性が3ヶ月前から滞在していたようです』

亀山『それで、そいつは?』

船越『おとといから行方不明です』

右京『それほどの長期滞在となれば宿泊費も相当な金額になりますね~』

支配人『それがそのお客様は前金で3か月分の料金をお支払いただいています』

伊丹『特命係の亀山~何でこんなとこにいんだよ。こら!』

亀山『一々特命、特命うるせーよ』

芹沢『まったく先輩は疫病神ですね』

三浦『行く先々で事件に遭遇してんじゃねーのか?』

亀山『うるせー、そんなことより福田の居所をさっさと突き止めろよ』

伊丹『だれだ?そいつは?』

三浦『所轄!捜査情報を我々以外に漏らすな!』

右京『一見したところ遺体に目立った外傷がありませんね~』

米沢『ええ、死因は外傷ではないようです。それと死後10日は経過していますね』

右京『というとは少なくとも1週間は遺体とともに福田という男はここで生活していたわけですか』

伊丹『あの~邪魔なんでどっか行ってもらえません?』

亀山『なんだと?』

右京『亀山君!失礼、我々はお暇しましょうか』

 ホテルを出る特命の二人

船越『杉下さん!亀山さん!今回も協力タッグと行きましょう』

牛尾『まず何を調べますか?』

右京『福田と名乗る男・・・宿泊名簿から指紋ぐらいは検出されるはずです。そこから何かわかるかもしれませんね~』

船越『すぐ調べます』

亀山『そういえば美和子とたまきさんは?』

右京『他の店で飲みなおすそうですよ』

 続く~

 特捜本部から出てくる捜査一課の面々

亀山『おい、伊丹!上野の居場所はわかったのか?』

伊丹『おめーには関係な・・・』

芹沢『まだなんすよ~先輩、なんか手がかりないんですか?』

伊丹『何頼ってんだ、こら!』

亀山『じゃあ上野につながる人物を調べてくれ』

三浦『こいつが関わってるってのか?』

亀山『まだわかんねーよ。とにかく頼む』

 しばらくして、特命にて

亀山『やはり上野と北島には接点がありましたよ!』

右京『やはりそうですか』

亀山『以前北島が警備を担当してたスーパーで上野が万引きの常習犯として要警戒人物になっていたようです』

右京『それで顔を覚えていたわけですか・・・亀山君、運転お願いできますか?』


 スーパーイチョウにて

谷『北島さんなら昨日から休んでますよ』

亀山『休暇ですか』

谷『無断欠勤ですよ、連絡もなくこっちも参ってるんですよ』

右京『北島さんについて何か変わったことはありましたか?』

谷『さあ、ただ警備会社の人に聞いたんだけど・・・あの人娘さん亡くしてから人が変わったようになったって』

亀山『事故か何かですか』

谷『さあ、詳しいことはわかりません』

右京『こうなると急がないと危険ですね』

伊丹『謹慎中の亀山~』

亀山『ちょうどよかった、北島の娘のこと調べてくれ』

伊丹『俺はおめーのパシリじゃねーんだよ』

亀山『そんな事言ってる場合じゃねーんだよ』

芹沢『いつも通り手柄は頂きますよ』

伊丹『バカ!プライドを持て、プライドを』

三浦『すぐ調べて捜査一課の力見せてやれ』

 車中にて

亀山『しかし、北島はどこに消えたんすかね』

右京『いま、警備会社に彼の勤務した場所を調べてもらっています。僕の勘が正しければこの中に答えが隠されているはずなのですがね~』

 右京の携帯がなる

右京『はい、そうですか。どうもありがとう』

亀山『どうかしたんすか?』

右京『亀山君、横浜の保税倉庫に向かってください』

亀山『了解!』

 保税倉庫にて

亀山『どこにいるんすかね・・・』

右京『先ほど確認したところ現在、出入り可能なのはC倉庫だけだそうです』

 特命の二人は倉庫に北島と縛られた上野を発見した

右京『やはりあなたでしたか、北島さん』

北島『こんなに早くわかるとは思いませんでしたよ。何でこの場所が?』

右京『最初にお会いしたとき、微かにですがあなたから海の匂いがしました。さらにあなたの勤務先履歴にある海の近い場所を調べるとここに導かれました』

北島『さすがですね。最初に会ったときから嫌な予感はしていたんで、早めにケリをつけようと思ったんですけどね』

亀山『あんた、万引きの瞬間休憩してたと言っていたのに、防犯カメラに映った万引き犯が上野だと何で知っていたんです?』

右京『さらには茶髪の男と言っていたにもかかわらず、黒髪の男を見つけ出したので引っかかっていました』

北島『当時警戒していたあの顔は忘れませんよ、髪の色を変えるってのもあいつの特徴ですからね』

右京『石井さんを殺害したのもあなたですね?』

北島『ええ、何で殺したかももうご存知なんでしょうね』

右京『すべては三年前のある事件が引起したのですね』

亀山『あんたの娘さんは亡くなる直前、万引き事件に巻き込まれた、それも石井さんが別の店舗で店長をしていたときにな』

北島『娘の圭子は突然店を出たところで石井に呼び止められて鞄を調べられたそうです。そして中から商品が出てきた・・・』


   過去回想シーン

圭子『私盗んだりしてません!』

石井『でも、こうして商品出てきたんだから・・・とりあえず事務所行こうか』

圭子『そんな・・・絶対やってません!』

石井『でもね~あの少年が商品いれるとこ見たって言ってんだよ』

圭子『あっ・・・』

 

 その時、全てを圭子は悟った

圭子『あの少年が万引き犯です!以前この店で万引きしてるの見て店員さんに通報しましたから!』

石井『まあ事務所で話聞くから』

圭子『信じてください!あの少年が私の鞄に商品を入れたに決まってます!』

石井『あんまりしつこいと警察呼ぶよ』

圭子『・・・』


 現在

北島『こうして圭子は万引き犯にされましたよ、しかも運悪く就職が内定していた会社にも知られ内定は取り消し、失意のどん底にいた圭子はトラックに惹かれて死にました』

亀山『しかし・・・何も、殺すことはなかっただろ!』

北島『圭子は自殺なのか事故なのかもわからないんですよ・・・圭子の気持ちを思ったら自分でも止められなかったんですよ』

亀山『でも、石井さんは悪くないじゃないか』

北島『初めはそう思ってましたよ。でも今の店に私が勤務についても石井は私を全く覚えてなかったんですよ・・・それどころか圭子の事件すら覚えてないと言ったんですよ!』

右京『しかし、人を殺していい理由などありませんよ』

北島『そんなことはわかってる。ただ娘を殺した石井といまだに万引きを繰り返す上野は許せない』

亀山『上野は関係ないはずだろ』

北島『上野とあんたがもめてるとこを見て思いついたんだ。こういう人間がいるから正直者がバカを見る・・・こんな奴は死んだ方がましなんだ』

上野『頼む・・・助けてくれ・・・』

右京『殺害現場に彼を呼び出したのもあなたでしたか』

北島『最初は犯人としてつかまればいいと思ったんだが、どうにも許せなくてね』

亀山『こんなことをしても亡くなった圭子さんは喜ばないだろ!』

北島『うるさい!お前に何がわかる!』

右京『わかりませんね~しかし、それはあなたも同じです。現実が見えていなかったのではないですか』

北島『なに!?』

右京『石井さんは決して圭子さんのことを忘れたりしていなかったと思いますよ』

亀山『圭子さんの命日はいつだ』

北島『・・・3月13日だ』

右京『やはりそうですか。石井さんは毎月13日は休暇を取っているのはご存知でしたか?』

北島『・・・そんなまさか』

右京『彼女の亡くなった場所に花を手向けていたんですよ』

北島『そんな・・・じゃあ何で知らないなんて・・・』

亀山『それが会社の方針だったからだよ。万引きと圭子さんの死は別物だと考えていた。当然石井さんにもそれは徹底されたんだよ』

右京『ですから正式な謝罪も許されなかったわけですよ。あなたは圭子さんの死をあなたの次に悲しんでいた石井さんを殺めたんですよ』

北島『わたしは何をしてしまったんだ・・・』

 特命にて

亀山『なんとも悲しい事件でしたね・・・』

右京『復讐というエネルギーは途方もなく大きく、時に真実を曇らせてしまうようですね~』

角田『よっ!ヒマか?刑事部長がお呼びだそうだ』

 刑事部長室にて

内村『事件は解決したとはいえ、犯人を取り逃がしたのはまずかったな』

中園『厳しい処分を覚悟するんだな』

内村『特命係の処分を発表する』

 そこに電話が入る

内村『はい、いや、しかし!わかりました・・・』

中園『どうかしましたか?』

内村『もういい・・・』

亀山『はい?』

内村『帰っていいといってるんだ!さっさと失せろ!』

右京『失礼します。行きましょうか、亀山君』

 部屋を出て行く二人

中園『一体どうしたんでしょうか?』

内村『また小野田官房長だ・・・処分取り消しだと・・・くそっ!』

 外に出る特命の二人

亀山『何か食いますか』

右京『そうですね~君にお任せします』

亀山『じゃあ、そばでも』

右京『そばは昨日食べたではないですか』

亀山『そっか、じゃあ・・・』

 終わり~