10月23日、警視庁にて、ある老夫婦が受付を訪ねていた


女性『すいませんが刑事さんに相談に乗ってもらいたいのですが』

受付『少々お待ちください』

 そこに特命係の二人が通りかかる

亀山『?どうかしました?』

男性『あなた、刑事さんですか?』

亀山『ええ、こんなナリですけど刑事やってますよ』

女性『ぜひ、話を聞いてください』

右京『どうやらただ事ではないようですね』

 
 特命にて
                 
女性『改めて初めまして、私荒木トシ子と申します』

男性『荒木義彦です』

右京『警視庁特命係の杉下です』

亀山『同じく亀山です』

トシ子『実は東京に住んでいる娘の圭子と連絡が取れなくなってしまって…部屋にも行ってみたんですけど…何日も戻った様子がなくて』

亀山『旅行とかじゃないんですか?』

義彦『しかし娘は我々に連絡なしに何日も留守にすることなんてなかったんです』

右京『最寄りの交番にはいらしたのですか?』

トシ子『ええ、でも事件性がなければ動けないって』

亀山『まあ、捜索願でも出さない限りそうですね』

義彦『今日はそのために来ました、それにもっと真剣に捜査してもらいたいと思いましてこちらに伺ったんです』

右京『では圭子さんの自宅に参りましょう』

トシ子『え?仕事はいいんですか?』

亀山・右京『我々は暇ですから』


 世田谷の圭子の自宅マンションにて
              
亀山『ここですか、郵便受けにはたまった新聞や郵便物。確かに帰ってきてないみたいですね』

右京『ええ、では室内を調べてみましょう』

トシ子『たまに私たちが来ても部屋はいつも整理されてるんですよ』

右京『そのようですね~台所から寝室までとても整理されていますね』

亀山『やっぱり旅行に出たんじゃないんすかね』

右京『圭子さんは日記をつけていませんか?』

トシ子『さあ…でもパソコンを使ってなんかやってると聞いたことはあります』

 パソコンを起動させる右京

右京『やはりブログをやっているようですね』

亀山『最新の日記が10月10日ですね、それまではだいたい2から3日ごとに更新されてますね』

右京『最後の日記にも旅行に行くとは書いていませんね、つまり何らかの予期せぬ事態に巻き込まれた可能性もありますね』

亀山『でも、急な旅行ならどうです?』

右京『このブログは携帯電話からも更新可能です。室内に携帯電話は見つからないので持ち歩いていると考えるのが妥当です。そうなると旅先で落ち着いて更新するはずです。つまりそれができない状況であると考えたほうがよさそうです』

トシ子『そんな…じゃあ圭子はどうしたって言うんです?』

亀山『…』

右京『もう少し室内を調べてみましょう』

 しばらくして

亀山『引出しから、タンスの中、ベッドの下まで調べましたけど特にこれといって手がかりはありませんね

右京『こちらもです』

亀山『ただ寝室の机の一番下の引き出しには宝くじの束が結構ありましたよ』

トシ子『そういえば圭子は一時宝くじにのめりこんでいたと聞いてます』

右京『…亀山君!その宝くじで何か不審な点はありませんか?』

亀山『え?連番は3束でばら売りが7束あるくらいでこれといって・・・』

右京『当選発表が今月の10日以降のものを探してください』

亀山『えーとばら売りのが1束、連番のが1束ですね』

右京『何枚ありますか?僕の予想が確かならば19枚のはずです』

亀山『あっ!確かに19枚ですよ!連番の1枚が足りない…当選していたってことですか?』

右京『いま、宝くじのホームページで確認してみました。前後の番号からして足りない1枚は[52組、102872]。見事に2等の2億円が当たっていますよ』

亀山『まさかそれが原因で事件に巻き込まれたんじゃ!』

トシ子『そんな…』

右京『2億円当選の女性が謎の失踪・・・どうやら警察の本格的な出番のようです』

 次回に続く~

 翌日、湾岸交番にて、特命の二人はもう一度矢部に話を聞きにきた。

右京『度々申し訳ございません、もう一つだけよろしいですか?』

矢部『ええ…でも何でしょうか…』

亀山『あれから警ら日報を見たんですけどおかしなとこが出てきたんですよ』

矢部『?』

右京『現在の日報はパソコンのオンライン画面に保存されますね、そして編集をするのも実に簡単です』

亀山『この日報、編集しましたね?』

矢部『何を証拠にそんなことを…第一編集したとしても問題ないはずですよ』

右京『もちろん些細な事柄ならば何ら問題はありません。しかし事実を歪曲して記載していたとなると問題です』

亀山『あんた本部の情報処理係って知ってるかな?日報を決められた日付でバックアップ保存してるんですよ。もちろんこの日報もね』

右京『ですがバックアップ保存さえていたあなたの日報には首筋に怪我をしたような記載が一切なかったんですよ』

亀山『そして、保存された時間が岡村逮捕の夜。つまりそのあとに警ら日報を誰かが書き換えたことになる』

矢部『…』

右京『書き換えたのは岡村殺害後ですね?爪に残された皮膚は僅かな時間では痕跡を消すことはできません。そこで逮捕時に負傷したことにした。違いますか?』

矢部『…なんで俺だと?』

右京『あなたの右の首筋に岡村の右手で傷をつけるにはどちらも同じ方向を向き、しかも岡村が座っているような体勢でしかつかないんですよ。それは自殺に見せかけ殺害している光景を容易に想像させます』

矢部『こんな傷さえなければ…』

亀山『なんで岡村を殺したんだ!』

矢部『それは…』

 その時、突然銃声が響く。次の瞬間、矢部は倒れていた。

右京『亀山君、無事ですか?!』

亀山『俺は大丈夫です!どっから撃ってるんだ!』

右京『亀山君!あのビルです、おそらく狙撃銃です』

亀山『くっそ…』

右京『もう追っても無駄です!』

亀山『これも加藤の仕業なんすか?すべてを闇に葬るために…』

右京『…わかりません、しかし矢部さんが亡くなった以上次は加藤警備局長に当たるしかありません』


 警視庁にて


室井『なんてことだ…ここまでやるのか』

右京『今回の捜査の指示も加藤警備局長だったのですね?』

室井『ええ、しかし私には彼がここまでやる人物には思えない…』

亀山『現に二人も死んでるんですよ!』

 そこに捜査一課の面々が現れる

伊丹『特命係の亀山~随分と勝手な真似するじゃねーか』

芹沢『なんで僕たちが蚊帳の外なんすか』

亀山『これはお前らが考えてるような事件じゃないんだよ』

三浦『殺しは俺達の領域だ、誰が容疑者だろうが逮捕するだけだからな』

右京『対応を誤れば懲戒解雇もあり得ますよ』

伊丹『…あまり俺達をばかにしないでもらえません?そんなこと言われて引き下がるわけにはいかないですよ』

芹沢『ええ??いいんすか?』

三浦『馬鹿!折角格好いいセリフ言ったのに今更止められるか!』

 そこに青島から電話が入る

青島『右京さんの指示通り岡村の妻と子供がいる青森にきてます、どうやら岡村の子供は重い腎臓病ですぐにでも移植が必要なようです、そしてそれにはかなりの額を要するようです。もしかして岡村の犯行の動機はここに…』

右京『どうもありがとう。すぐに戻ってください』


 特命にて

右京『今回の事件を整理してみましょう』

亀山『まず大麻の取引ですね。そこに匿名のタレこみがあって、俺達が踏み込むと岡村が大量の大麻とともに姿を消していた』

右京『この取引は光浦組が無関係だとすれば、状況から考えられるのは警察関係者xとSNSで集まった一般人です』

亀山『xと岡村はどういう関係なんすかね?』

右京『その前にxが大麻をどこから調達したか。もっとも考えられるのは押収品の横流しです。それを岡村を通じて捌いていたすれば辻褄が合います』

亀山『なるほど、そして岡村が裏切ったために殺され、その犯人の矢部をも殺して事件を隠蔽しにかかった…』

角田『よ!ヒマか?って今はそんな状況じゃないか』

亀山『しかし押収品の大麻なんて持ち出せるんですか?』

角田『そりゃやってできないことなないだろ~顔パスで出入りできる人間だけだけどな』

右京『では直接本人に聞いてみましょうか』

角田『聞くって、本丸のところにいって大丈夫なのかよ』

右京『まあ、なんとかなりますよ』

 警備局長室にて、右京と亀山は部屋に入る

加藤の部下、武田『なんだね君たちは、突然失礼じゃないか』

加藤『いいんだ、官房長から連絡は受けてる。私に話とは何だね?』

右京『お忙しいようなので単刀直入に申し上げます。今回の大麻取引から2件の殺人事件まですべてにあなたがかかわっていると僕らは思っています』

加藤『ははは…何を言い出すのかと思ったらくだらんことを』

亀山『あなたが事件の捜査を妙な方向に向かわせたんじゃないんすか』

武田『お前ら、何を言っているのか分かっているのか?』

右京『もちろんです。それなりの覚悟と自信がなければこの部屋に来たりしませんよ』

加藤『面白い。じゃあ君たちの推理を聞こうじゃないか』

右京『事の始まりはあなたと岡村とで行った押収大麻の流用です。いざとなったらいつでも切れる岡村が窓口となってあなたは大麻を売り続けた。しかしあの取り引きの日だけは違ったんですね』

亀山『あの日岡村は別れた奥さんからの連絡で息子の真治君が重病で手術には多額の現金が必要だと知ったんだ。だから取引を警察にリークし、混乱に乗じて持ち逃げをした。まあ大麻を捌くなんてすぐには無理だから金に換えることなんてできなかったけどな』

右京『そこで岡村はあなたを脅した。不祥事をばらされたくなかったら金を用意してくれと。違いますか?』

加藤『…』

亀山『まあそうなる前に矢部に捕まって殺されたってわけだ。そしてその矢部も消された』

加藤『証拠はあるのかね?』

右京『残念ながら矢部殺しも、岡村殺しが誰の指示かも証拠はありません。しかし岡村の持っていた大麻が押収品であること。そして岡村があなたを脅していた証拠ならありますよ』

 そこに青島が現れた

青島『失礼しまーす。お待たせしました。岡村の元奥さんから預かってきました』

 一万円札を見せる青島

右京『この札は昨日岡村から送られてきたそうです。この札からあなたの指紋が検出されました。あなたから岡村に現金が渡った証拠です。そして押収された大麻は通常、特殊な液をかけられ廃棄処分されます。それはあなたでもご存じですね』

加藤『…』

右京『そして特殊な液をかけられた大麻はほかの大麻と異なり、試薬Aをかけると赤くなるんですよ。いわゆる試薬に反応する試薬です』

加藤『…なるほど逃げ場はないってことだな』

そこに現れた室井『では今回の一連の事件について犯行を認めるんですね?』

加藤『ああ…最初はちょっとのつもりだったんだが次第に大きくなってしまってな』


 湾岸署にて

青島『また特命係のおかげで事件は解決しましたね』

亀山『いやー揺るぎない信念の勝利ですよ。ねー右京さん』

右京『…気になります』

和久『一体どうしたんだ?』

右京『今回の流用事件は加藤が警備局長に就任したころから起こっています』

亀山『それがどうかしたんすか?』

青島『普通、出世したときにそんなリスクを負いたくないっすね』

右京『ええ、それまでの加藤の経歴にほとんどミスはありません、この時期に大きな何かがあったとしか思えません』

亀山『じゃあ、さらに上層部に指示があったとか』

和久『ちょっと考えてみたんだけどよ、命令に従うのは上司だからとは限らないんじゃないか?』

青島『え?』

和久『人は弱点を突かれると地位の上も下もないってことだ』

右京『僕としたことが!そうです。上司ではなく部下からの指示だったんですよ』

亀山『?え?』

 警視庁、押収大麻の倉庫にて

 何者かが倉庫内で大麻を物色していた

右京『そんなことをしても無駄です』

亀山『今回の大麻ならここにはねーんだよ、今回の事件を受けて一時的に別施設に保管してるんだからな』

 突然、逃走を図る犯人

右京『まだ、逃げるおつもりですか?武田さん』

武田『…俺はただ…』

亀山『いい加減あきらめろ、証拠を隠滅しようとしても無理なんだよ』

武田『…なぜ俺だと?』

右京『我々が警備局長室に来た時、普通ならばあなたを部屋の外に出し話を聞かれたくないはずです。しかし彼はそんなことをしなかった。あなたも部屋から出ようともしませんでしたからね~少し引っかかっていました。それもそのはず今回の一連の事件の首謀者はあなただったからですよ』

武田『よくわかりましたね』

亀山『あんたは加藤が少女買春で起訴寸前までいったところを食い止めた。そんときから加藤はあんたの命令に従わざるを得なくなったんだな』

右京『あなたがノンキャリの少年課からそこまで出世したからくりはそこにあったわけです』

武田『俺達が本庁でやってくにはこれぐらいやらなきゃ生き残れないんだよ』

亀山『何、バカなこと言ってんだ!こら!人を殺してまで守らなければならないことなんてねーんだよ!』

右京『あなたの軽率な行動が全国の警察官にどれだけの影響力をもたらすか考えたことがあるんですか!恥を知りなさい!』

武田『…』

 特命にて

小野田『いやーいつもながらお見事』

亀山『それでどうなりましたか?』

小野田『警視庁始まって以来の大不祥事だからね…慎重に対応してるとこですよ。矢部を撃ったスナイパーは見つかったみたいだね』

右京『隠そうとすれば必ずどこかに歪みが生まれるものです。こんな事が続いて警察が信用されなくなることが何より恐ろしいですよ』

小野田『まったくお前らしいね』

 小野田が去り、角田と捜査一課が登場

伊丹『結局何もできなかった…』

芹沢『まあ事件も解決したし、処分もないしいいことづくめじゃないっすか』

角田『しかし、今回は俺達の出番が明らかに少なかったな』

三浦『次こそは捜査一課の意地見せてやるぞ』

亀山『とりあえず、邪魔だから帰ってもらえません?』


 杉下右京は今日も紅茶に手を伸ばした。

 終わり。


完全フィクションです。

 特命係にて

亀山『問題は岡村は何故死ぬことになったのかですね…』

右京『仮に自殺だとして理由は何でしょうかね~警察内ならば仲間からの報復を恐れることもありません。もっとも報復を恐れるくらいならこんな真似はしませんが』

角田『じゃあ殺されたってのか?』

右京『それは調べてみなければ何とも言えませんがその可能性が高いと思いますよ』

米沢『お待たせしました。岡村貴の検死の結果が出ました。死因は留置所の格子に自らの上着を巻きつけそこで首をつったことによる窒息死です』

亀山『そんなんで死ねるもんなんすか?』

米沢『確かに凄まじい苦しみがありますが出来ないことはありません』

右京『では、他には』

米沢『岡村の右手の人差し指から皮膚組織が発見されました。殺されそうになってとっさに引っ掻いたとも考えられます』

亀山『誰のものかわからないんですか?』

米沢『生憎、DNAを比較する相手が存在しないことにはなんともなりませんな』

右京『警察内部の留置場、となればおのずと犯行も警察内部の人間と考えるのが妥当ですね』

米沢『なにやら物騒な話ですな』

 米沢が去った後、監察の大河内がやってきた

大河内『杉下さん、亀山さん。またよその捜査に首を突っ込んでいるそうですね』

亀山『相変わらず情報が早いっすね。でも何を言われようと止める気ありませんよ』

右京『ええ、僕らを監視する前に調べるべき人物が警察内部にいるようですから』

大河内『岡本の右手に残された皮膚組織のことを言っているのですね?』

亀山『もう知ってたんすか』

大河内『そのことなら事件とは無関係ですよ。岡村の逮捕時に抵抗され取り押さえにかかった湾岸交番勤務の矢部巡査の首筋を引っ掻いたときに付いたものですから』

右京『もうそこまでお調べになっていましたか』

大河内『ですから、これ以上調べても何も出てきません』

右京『諦めるわけにはいきませんよ。まだ事件はなにも終わっていません』


 岡村のいた光浦組にやってきた特命の二人

右京『岡村さんはどんな方でしたか?』

光浦組組長『あいつは気の弱いやつでな、なんでこの世界にいるかわかんないやつだった』

亀山『あんたらの麻薬を横取りされたんだよな』

組長『世間ではそんな風に言われてるけどな、俺達は何もやっちゃいね~よ。そりゃ昔は麻薬だ、拳銃だって時代もあったけどな最近じゃそんなものとも無縁だからな』

右京『では、あの取引自体にまったくの無関係ですか』

組長『ああ、なんで岡村がそんなことやってたのかこっちが知りたいくらいだからな』

右京『他に岡村さんに変わった様子はありましたか?』

組員の山本『そういや岡村さん…久々に子供に会えるって喜んでいたのに、次の日にはすごい怖い顔してたんだ』

亀山『…』

 外に出る二人

亀山『なんかおかしくないっすか?あいつらの言うことが確かなら今回の事件は一体何なんですかね?』

右京『光浦組が無関係ならば彼はどこからか大量の麻薬を手に入れたことになります。そしてそれは捜査の及ばない存在である可能性が高い。こうなると…』

青島『警察関係者が黒幕ってことですか』

亀山『青島君、いつの間に来てたんだよ』

右京『そう考えれば組でもうだつの上がらない岡村が大規模取引をし、さらに強引に自殺として処理しようとすることも辻褄が合います』

亀山『あとはそいつがだれか突き止めるだけですね』

右京『では、次行きましょうか』

青島『湾岸交番の矢部巡査のところですね?』

右京『ええ、ですが青島さんには至急調べてもらいたいことがあります。行ってもらえますか?』

青島『はい!』

 湾岸交番にて

矢部『本庁の刑事さんが何の用ですか?』

右京『あなたは岡村逮捕時に負傷したそうですね~その首筋の引っかき傷ですか?』

矢部『ええ、不覚にもちょっと深くやられてしまいましたよ、それがどかしましたか?』

亀山『念のためにその日の警ら日報を見せてもらえません?』

矢部『はあ、ちょっと待ってください』

右京『なるほど、岡村ともみ合いになり右の首筋を負傷…』

亀山『他に変わったことありませんでした?』

矢部『さあ、自分は連行しただけなんで詳しくは知りません』

 警視庁に戻った二人

右京『岡村を殺害した犯人はわかりました、証拠も揃えられると思います』

亀山『え?わかったんすか?』

右京『ええ、ですからそう言っていますよ。しかしそれだけでは今回の事件が解決しません』

 そこに室井が現れる

室井『杉下さん、まだ調べまわっているそうですね、即刻捜査をやめてもらいたい』

右京『そういうわけには参りません』

 さらに小野田が現れる

小野田『室井君、こいつに何を言っても無駄ですよ。組織の理論など全く通用しない』

室井『しかし、官房長…』

小野田『この際だから事件をはっきりさせた方がいいと思いますよ。そうじゃないと彼らはどんな手で来るかわかりませんから』

室井『わかりました。では私も全面的に協力いたします。それでよろしいのですね?』

小野田『ええ、手に負えなくなったらすべてもみ消しますから』

右京『あなたらしいお考えですね』

小野田『お前もあの時から全く変わらないな、折れるってことを知らない』

右京『室井さん、今回の捜査方針を決定したのはどなたなのですか?』

室井『加藤警備局長です』

亀山『もしかしてその人大麻とかにかかわっていたりします?』

室井『警備局長ともなれば大いにかかわってるはずだ』

右京『そうですか。ちょっとつついてみますか』

 さらに続く~

 大麻取引現場から忽然と姿を消した大量の大麻。そのカギを握ると思われる男を唯一目撃したのが湾岸署の青島巡査部長であった。

 午前9時

一倉『このデータの中に逃げた男の顔が映っているはずだ。必ず見つけ出すんだ』

青島『これ何人いるんです??』

捜査員『ディスク一枚に約8千人のデータがあります』

青島『なんか前にも似たことあったような…』

捜査員『ちなみに10枚あります。見つけるまで目を離さないで下さい』

青島『はあ…本店は俺を殺す気なの??』

和久『現場に出くわしちまったんだから仕方ないよな~』

恩田『手伝ってあげたいけど私は顔見てないから…じゃあお疲れ!』

青島『こうなったら、ぜってー見っけてやっからな!』


 その頃、特命係では

角田『ったく似顔絵作ろうと思ったら一倉って管理官が出張ってきて青島連れてかれちまったよ』

右京『妙ですね~現場に踏み込んだのは我々だけでしたね、にもかかわらずここにきて薬物対策課が捜査の指揮をとりだした』

亀山『そりゃ大麻が盗まれたからじゃないんすか?』

右京『確かに君の言う通りかもしれません。しかし、それだけでしょうかね~正体不明の逃げた男を追うだけならば角田課長の言うように似顔絵を書かせてローラー作戦で見つけ出すほうが遥かに速いと思いますよ』

亀山『どういうことなんすか?』

右京『それは皆目見当がつきませんが、我々が知りえない事実があるかもしれません』

 
 3時間後

 湾岸署内でデータを確認する青島、そこに右京と亀山が訪れる
       
右京『該当者はいましたか?』

青島『右京さん、見つかるわけないっすよ、暗かったうえに顔をまともに見たわけじゃないし』

右京『何か特徴はありませんでしたか?』

青島『さあ…40歳くらいの男だったとしか』

捜査員『目を離さないでください』

青島『ちょっとタイム、休憩行ってきます』

右京『ところで今まで見てきたデータの人物はどのような人物でしょうか』

青島『ほとんど暴力団組織の下っ端とか過去の犯罪者ばかりですね』

 そこに真下が現れる

真下『先輩!とんだ災難でしたね、でもそれらしい犯人が見つかったみたいです、ん?どなたです?』

右京『特命係の杉下です』

亀山『同じく亀山です』

真下『本店の方ですか、真下です』

右京『たしかお父様が第一方面本部長でいらっしゃいますね』

亀山『じゃあキャリア組じゃなっすか~』

真下『まあ、いずれここの副署長になりますから』

青島『そんで、犯人見つかったってどういうこと?』

真下『現場近くで不審人物に職質をかけたところ突然逃げ出したんで公務執行妨害で逮捕したんですよ。そしたら荷物の中から大量の大麻がでてきたんですよ』

青島『じゃあ一気に解決じゃない~で、その犯人はどこに?ってか何でおれに確認取らないの~?』

真下『それが何故かそれ以上の情報が入ってこないんですよ』

右京『担当部署の所轄に情報が入ってこないということは、これ以上の捜査は行わないということですね』

亀山『普通に考えればそいつから組織の壊滅に乗り出すはずですよね?』

右京『ええ、ですが何かが警視庁内で起こっているようです』

 捜査本部にて

内村『今回の犯人は岡村貴(40)、最近勢力を拡大してきた光浦組の構成員で組織の取引品を横取りするために今回の犯行を思いつき、自ら警察に通報し、混乱に乗じて大麻を持ち出したそうだ。だが持ち逃げに成功したもののどこにも行けず街をさまよっていたそうだ』

一倉『今後、光浦組の捜査も行うが、今回のところはこれで捜査は終了だ、捜査本部は解散する』

青島『ちょっと待ってください!まだ確認してませんが』

一倉『本人が認めてんだ、今更お前の証言など関係ない』

青島『そんな無茶な、裏付け捜査はどうなってるんですか』

一倉『うるさい!所轄はだまって俺達に従ってればいいんだよ』

 部屋の外に出る青島

右京『やはりこうなりましたか』

青島『直接聞いてみます』

 
 前を歩く室井を見つけた青島

青島『室井さん!どうなってるんですか!』

室井『私の決定ではない、もっと上の判断に従ったまでだ』

右京『警視庁上層部に圧力があったとみていいのですね?』

室井『あなたは?』

青島『杉下さんですよ』

室井『ああ、特命係の。噂は伺ってますよ。かなり優秀だそうですね』

亀山『そんなことより本当に圧力あったんすか?』

室井『さっきも言ったように私にはどうすることもできない』

右京『そうでしょうかね~それはあなたの心掛け次第ではないでしょうか』

室井『…』

 そのまま去っていく室井。そこに和久が現れる

和久『青島~捜査の基本はなんだか言ってみろ』

青島『こんな時に何言ってんすか』

和久『いいから言ってみろ』

青島『何びとも疑ってかかれ、事件解決に躊躇するな』

右京『揺るぎない信念を持てですね』

和久『その昔、俺の上司が残した言葉だ、いまこそこれが大切なんじゃないか?なんてな』

青島『…』

右京『僕も以前伺った事があります。貴重なお言葉ありがとうございました』

亀山『どうやら俺達がやんなきゃいけない仕事みたいっすね』

 その日の夜、花の里にて

美和子『今回も危ない橋渡るのね』

亀山『こればっかりは仕方ない、ね~右京さん』

右京『ええ…』

 そのとき右京に電話が入る

右京『はい…わざわざありがとうございました…』

亀山『?』

右京『米沢さんからです、たった今岡村貴が署内で自殺を図かり亡くなったようです』

亀山『そんな…自殺なんて信じなれないっすよ』

美和子『…薫ちゃん』

たまき『亀山さんたちも気を付けてくださいね…』

右京『以前も言いましたが、これは売られたケンカです』

亀山『当然買って、そして勝ちましょう!』

右京『ええ』

 続く~

 湾岸署にて・・・午後11時

袴田課長『青島君!本店から人員の要請があったから、すぐ台場第二ビルに向かって!』

青島『籠城事件か何かですか?』

袴田『君をそんなとこに行かせるわけないでしょ。麻薬の一斉検挙の応援!』

青島『そんなの薬物対策課の仕事じゃないっすか』

袴田『向こうは忙しいんだよ、とにかく行って』

 台場第二ビルにて・・・午前0時

角田『いいか、絶対に取り逃がすなよ。タレこみによればかなりの取引なようだから気を引き締めていけ』

大木『はい』

小松『もうそろそろ時間ですね』

角田『ああ、お前らは裏口を、その他は俺について来い、所轄の応援組は外で待機だ』

青島『?待機って、俺らは忙しい中来てんすよ』

角田『青島か、もし俺達が突破されたらお前らの出番なんだぞ』

右京『ええ、万が一に備えて君たちが必要なんですよ』

青島『右京さん~!右京さんも応援でしたか』

亀山『俺ら特命係は命じられればなんでもやりますよ~』

右京『おや、無駄話はそのくらいにして、そろそろ出番のようですよ』

 ビルの一室に捜査二課と特命係が踏み込んだ、そこではタレこみどおり大麻取引が行われていた

角田『全員、大麻所持で逮捕だ!』

 もみ合いの中、全員逮捕に成功する。

 一方、ビルの外では

青島『さあて、そろそろ終わるころかな~…寒い…??』

和久『どうした?青島』

青島『いや、今ビルから出てきたやついましたよね』

和久『そうか?でも逃げたっていう無線連絡はないじゃないか』

青島『ちょっと見てきます』

 裏路地で不審な男を発見した青島

青島『ちょっとあんた、こんな時間に何やってんの?』

男『…』

男はすぐに逃げてしまった

 そのころ、現場では

角田『いやあ~大捕り物だったな~久々だわ』

亀山『結局何人いたんすか?』

角田『20人だな、学生からサラリーマンまでいるとは思わなかったけどな』

右京『それだけ大麻が世間に浸透してしまっている証ですね』

亀山『末恐ろしいですね』

 現場に戻ってきた青島

青島『右京さん、全員捕まえました?』

角田『あたりまえじゃないか』

右京『何かありましたか?』

青島『いや外に不審な男がいたんですよ、職質しようとしたら逃げちゃって』

亀山『俺らのほうからは誰も出てないっすよね』

右京『ええ、それは確かです』

大木『俺がいたんで裏口からも出られないと思いますよ』

角田『どうせ浮浪者かなにかだろ、関係ないだろ』

右京『…』

和久『青島~終わったんならさっさと帰るぞ、疲れるほど働くな~』

 次の日、特命係にて

亀山『おはようございます』

右京『おはようございます』

亀山『昨夜の大麻騒動は結構反響でかいですね』

右京『ええ、スポーツ関係から一般まで浸透してくると他人事ではなくなりますからね~』

亀山『あんな取引はあちこちであるんすかね』

右京『さあどうでしょうかね~』

角田『ヒマか?』

亀山『課長~おはようございます。昨日は久々に体動かしたから今朝がつらくて』

角田『おかげで助かったよ、でもな…ちょっと引っかかることが』

右京『もしや、大麻の量が合わないのではないですか?』

角田『よくわかったな~実はそう…現場に残された金額と残された大麻の末端価格がまったく合わないんだ』

右京『やはりそうでしたか。規模の割に量が少ないのが気になりましてね、誤差はどの程度でしょう』

角田『ちょうど半分くらい足りないかな、もし持ち逃げされたなんてことになったらかなりまずいんだ…』

右京『現場付近で青島さんが目撃した不審者、気になりませんか?』

角田『まさか、そいつが現場にいて半分持って逃げたってのかよ』

亀山『でも、だったら警察が来ることを事前に知っていたことになりますよね』

右京『その男がタレこみをした本人だとしたらどうですか』

角田『そうか、警察が来たどさくさにまぎれて大量の大麻を持ち逃げしたってことか…』

亀山『でもどっから逃げるんです?』

右京『出入り口からだけとは限りません、ビルの構造上窓から隣のビルの窓に移動することは可能です。僕としたことが昨日はこのことに気付けなかった』

角田『じゃあ、すぐに青島を呼んで似顔絵作成だな、忙しくなるぞ~』

 湾岸署にて

和久『青島~お前また何かやったな?』

恩田『青島君は本当にトラブルメーカーね~』

室井『青島~すぐに本庁に来てくれ』

青島『室井さんまで…どうしたんです?』

室井『詳しい説明は後だ、すぐ一倉管理官の指示に従うんだ』

青島『でも、仕事が』

袴田『大丈夫、君がいなくても何とかなるから!』

一倉『おまえは唯一の目撃者だ、徹底的に聞くからな』

 続く~


相棒と踊る大捜査線コラボ第二弾