オアハカのバスターミナルから、多少ほろ酔い加減でサン・クリストバル・デ・ラスカサス行きのバスに乗り込む。メキシコのバスの移動では必ず、ミネラルウォーターとバナナを持ち込むのが、いつの間にか習慣になっていた。
メキシコではバナナはとても安いし、保存が効くし、腹持ちもいいので移動食にはとても役立った。
バスの移動中、真夜中に突然起こされた。俺とK君の目の前に、機関銃を肩からぶら下げた、迷彩服を着た軍人(?)が立っていた。バスを止めて乗り込んできたようだ。パスポートの提出を求められた。
睡眠をいきなり妨害されて不愉快極まりなかったが、さすがにこの時ばかりは、とてもパスポートのコピーを出せるような雰囲気ではなかった。Tシャツの下に着けてある貴重品入れから、パスポートを取り出し渡す。パスポートの写真と俺の顔をまじまじと見比べている。出入国記録なども丹念にチェックしてるみたいだ。
他の乗客は全員メキシコ人のようでチェックを受けたのは俺達だけだった。この作業のためだけにバスは10分近く停車していた。
詳しいことは解らないが、サン・クリストバル・デ・ラスカサスのあるチアパス州は先住民族が多く、またグアテマラとも国境を接しており、民族問題や不法入国など何 かと事件が多いとこみたいで、そんなこともあって外国人へのチェックが厳しいようだ。
このあともメキシコ国内のバス移動中に同じような事が何度かあって、そのたびに不愉快な思いをした。