2002年1月22日。日本出発の日。
朝7時起床。ホテルで出発の準備をしていると部屋の電話が鳴る。Nからだ。昨晩別れ際に、ひょっとしたら迎えにくるかもしれないと言っていたが、本当に来るとは思わなかった。Nの車に乗って、俺とK君は博多港国際ターミナルに向かった。
チェックインカウンター近くには、すでに彼女が来ていた。俺とK君、彼女とNの4人で出発の時間まで他愛も無い話をして過ごした。俺とK君は出発の記念に、この旅行で最初の写真を、このターミナルの中でNに撮ってもらった。チェックインの時間が来た。俺は彼女とNに「それじゃあ、また」とだけ言い残してフェリー(ビートル号)に乗り込んだ。
フェリーが出発してまもなく、K君が俺の肩を叩いた。「○○さん(彼女の名前)ですよ」。彼が指差すフェリーの右の方角に、ターミナルの外にある埠頭からずっと、俺たちの乗っているフェリーを見つめている彼女の姿を見たとき、俺はとてつもない自己嫌悪に襲われた。どんどん小さくなっていく彼女の姿をずっと見ていた。俺はいまだに、フェリーから見た、その時彼女が着ていた真っ白なコートの色を忘れることができない。