私、具合悪くなるから
ママはワクチン接種して、そう宣言していました。
か細く床に臥（ふ）せっていることを前提に、数日前から準備開始。
先ずは接種当日、その翌日は、一切予定を入れていません。
頭痛と、発熱と、倦怠感でばったり、
とても何もできないわ、という予想。
ゴハンの用意もできないし、お粥すするだけ、のはずだったけど、
ふとあることを思いだしました。
翌日って、”母の日”じゃない！？
一転、この日は華々しい予定の日になりました。
とは言っても、食べることばっかり。
母の日スペシャルがあるよ、と自分で予約。
本格的な寿司割烹の”すし遊”。
楽しい女将さんと、腕の立つ大将のお寿司屋さん。
KIKIの髪を三つ編みにしてくれたり、おみやげにアンパンをくれたり、
と、サービス満点。
カウンターで供されるお寿司はシャリは小ぶりでオーセンティックな江戸前鮨のスタイルです。
特別な日だから、と、
このお寿司屋さんを選びました。
テイクアウトをピックアップしてきたKIKIとパパ、
具合悪くなる予定のママ、食欲はそのままらしい、と安心しました。
その足で、今度は食後のデザートのピックアップ。
これももちろんママが自ら予約です。
うわ、これはなやか
ママ、予約したケーキだけで事足らず、
これも！
家族三人なのに、ケーキ４つ。
計算が合わないけど、特別な”母の日”です。
細かいことは考えません。
お客さんがいっぱいきて大変だよね
ケーキＭのオーナーパティシエのメグミちゃん、意外な話を始めました。
そうなんだけど、
このお店って、ホテルやレストランのウェディングパーティーへの提供がすごく多かったの
それが一切、なくなっているから、ぜんぜん時間ができたわ
それは大変だあ、と思っていたら、
メグミちゃんはプロらしい捉え方。
ウェディングは一生に一度という大切な機会でしょ
ケーキ、デザートを用意するケーキ屋さんとしてもすごいプレッシャー、
ものすごい仕事量ということもあるけど、心配で前夜は眠れないの
これをずっと続けていたから、すごく良い精神の休養になってる
ケーキの独創性もすごいけど、ここまでの想いで創っています。
大事なディナー、デザートをオウチに届け終わって一安心。
ママばったり、でも
お腹はいっぱいにはなりたいらしい。
２度目のワクチン接種したママ、
２日目になりました。
どう？
うん、今は腕がイタイ
アマタ？熱？ ぜんぜんへいきだなあ
すっかり元気みたいです。
ばったり、はこのあと？
じゃあ、今のうちにちょっと外出してくる、
とKIKIを連れてお出かけです。
お買い物だけど、今度は食べ物ではありません。
オウチのお隣のスーパーマーケット、ホールフーズマーケットは
この日のための売り場が特設されました。
２階に上がると、
がらり様相が変わっていました。
イートインのレストラン、それにロゴショップ、
仕切りを取り払って、大きな空間。
そのすべてが生花と母の日のプレゼント、
おしゃれな花束が所狭しと並びます。
からっぽになった水桶も多くて、お花を買い求める人たちが絶えません。
もちろんカーネーションやバラもずらり、
どれにしようか、
KIKIもきょろきょろ。
迷ったけど、ママに似合うのはこれかな。
そのお花を手に取ったKIKIも、こっくり。
クルマの中で、大切に抱えて運んでくれたKIKI、
オウチのドアはピンポーンしようよ
そうだ、グッドアイデア、そうしよう
チャイムを聞いたママ、ドアを開いてくれました。
わあ、KIKIありがとう
やっぱりなんだか、ヒマワリはママに似合います。
お花をもらったせいか、
ママ、いぜんとして元気。
ワクチン接種の副反応らしき気配もありません。
そのうち、
こんなことを聞きました
この後に副反応ってでてくるのかな
あくまでも、床に臥せる予定。
でも、明日はもう月曜日だし、
スクールは始まるは、歯医者のアポイントはあるは、チューターリングもあるし、
寝てられないんじゃない。
ママも、ばったりしそう、というシナリオはもう仕舞い込むことにしたみたい。
大変なことになりそう、
ワクチン接種２日目にビビっていたママ、
何もありませんでした。
日本だって、こんな豪勢なお寿司はそうは食べません。
具合悪くなるからって、この注文、
半ば嬉しかったのかな。
とても食べ切れない量のはずなのに、
大食漢と化したKIKIがいると、驚くほど減ります。
苦しい・・
KIKIとパパ、お互い膨れ上がったお腹をぽんぽん、
どっちが大きいゲーム。
苦しいって言っている傍から、
もうデザート、って・・
ほぼ自虐です。
それぞれのケーキのピースにキャンドルを灯しました。
ママ、いつもありがとう
ハッピーマザーズデイ！
ふーっ
ママと言われるようになって、もう１１年目のＭｏｍ’ｓ Ｄａｙ
今年は、３人一緒に過ごせて、
困難な時期だけど、それを上回る平穏と幸せ。
お腹を叩き合いながら、まだ食べます。
メグミちゃんの丹精が詰まっているケーキも
いろいろな想いのお味がします。
ママに感謝しなくちゃという気持ち、
KIKIは言葉だけではなく、ちゃんと理解し始めたのは、すごく嬉しい。
ママへのセレブレーションカード、
数年前まではさっぱり英語とは言えない、単語の羅列でした。
きっと、ミス・Ｒの添削は入っていると思うけど、
ちゃんとママに伝わります。
気持を表現する技術を手に入れたKIKI、
頻繁にパパ宛のメッセージも届きます。
へろへろのRUNで遅くなっていたら、
Ｈｉ ｄａｄ，ｗｈｙ ｓｏ ｌａｔｅ ｔｏｄａｙ ｎｉｇｈｔ
Ａｎｄ
ａｒｅ ｙｏｕ ｏｋａｙ?
老体を労わるメッセージが届きました。
アラモアナビーチパークで、
ママの代わりにばったり、しているのかと心配されています。
太陽みたいで、ヒマワリみたいで、
いつも元気いっぱいのママは、
結局、何ごともなかったみたい。
心配していたのは、たぶん本人だけです。
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