antique Salon - Seven Days -9ページ目

L'Encyclopédie 百科全書 中編

画像の分厚い箱は百科全書をまとめた総集編のような書物であります。

20世紀の後半になって発刊されたもので、中には印刷されたシートがSection 1からSection 14までカテゴリー別にまとめられ入っています。

 

 

本来は全27巻に補完5巻 項目数が6万余ということですので、完全なオムニバス版です。

実際の百科全書とはカテゴリー順も違いますが、この書物のSection 1の最初はAstronomie(天文学)からです。

地球の起源 ー 人間はどこから来たのか? からスタートという事からなのでしょうか?

 

Section 1は他に Physique(人の体格)Histoire Naturelle(博物誌)Chimie(科学)など

雪の結晶

このオムニバス盤では Hitoire Naturelle 植物や動物などの博物誌があまり重要視されていないのかボリュームがありません。

大胆な構図の蚤

 

Section 2はAnatomie(解剖学)Chirurgie(手術)など

 

Section 3はAgriculuture(農業)Economie Rustique(経済)boulanger(パン屋)など職業に関する事

Section 4はChasse(狩猟)Pêche(釣り)など

Section 5はEscrime(フェンシング)Manège(馬術)Chorégraphie ou art d'écrire la danse(振り付けやダンス)など

 

Section 6はMarchande de modes(ファッション)Fleuriste artificiel(花)Tailleur d'Habits(洋服仕立て屋)など職業に関する事

 

Section 7はSellier-Carrossier,Diligence de Lyon Sellier-Carrossier,Caleche en Gondole(馬車について)

Section 8はÉcriture(筆記)Dessin(デッサン)Gravure(彫刻)などアートに関する事

 

ペン先に関するシート

デッサンの仕方

 

面白い事に18世紀にすでに日本のかなについての記述があります。

 Alphabets Japonois 日本のアルファベットの表現されています。

 

トランプの木版型 これで色付けをするのでしょう

 

カテゴリーの残りは後編にて。

 

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L'Encyclopédie 百科全書 前編

古い図版(銅版画や石版画など)もアンティークのマーケットで幅広く皆様に認知されてきたと思います。

SNSも見ていると、植物や動物の図版をセンス良く さりげなく飾られている方が多くいらっしゃいます。

 

18世紀から19世紀の古い図版ですと銅版画である場合が多いと思いますが、その中でも人気が高くてに入れやすいのが『ビュフォンの博物誌』と『百科全書』ではないでしょうか。

 

私も数多く図版を所有していますが、その中でも『百科全書』は特にお気に入りです。

不揃いの紙、カサカサの質感、力強い線、センスのいい構図がなんといっても魅力。

 

この百科全書ですが、植物や動物、昆虫など自然3界が中心の図鑑だと思っている方もいらっしゃるかと思う。

もちろんご存知な方も多いと思うが、この百科全書は自然3界はもちろん、建築・道具・音楽・自然現象・実験・農業や漁業までも網羅した、まさに現代でいう百科事典なのであります。

 

正式には『L'Encyclopédie, ou Dictionnaire raisonné des sciences, des arts et des métiers, par une société de gens de lettres 』

Denis Diderot ドゥニ・ディドラやJean Le Rond d'Alembert ジャン・ル・ロン・ダランベールら百科全書派と呼ばれるメンバーが中心となり長年にわたり刊行しました。

 

ディドラとダランベールとは別に何人もの人が百科全書に付随する全書を刊行していたようで、下画像は私の所有しているCharles-Joseph Panckoucke シャルル=ジョセフ・パンクークが刊行した『Tableau Encyclopedique et Méthodique des Trois regnes de la Nature 系統的百科全書 植物編』で、テキストは無く、手彩色の無い銅版画が100プレート。

装丁からして普及版です。

 

かなり背表紙が朽ちてきていますが、そこも良い感じ。

 

不揃いのカサカサな紙

 

下画像は18世紀のマヌカン(マネキン)の構造図。

この図版はRobert Bénardの彫りであるが、同じ構図を他の人物も彫っているようです。

 

後編では百科全書のカテゴリーに付いてお伝えしようと思います。

意外なものも登場しますので、是非お楽しみに。

 

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memento mori

『われわれはどこから来たのか?われわれはどこへ行くのか?』

ダン・ブラウン著『オリジン』の中でエドモンド・カーシュが解き明かす人類の永遠のテーマである。

私はまだ中巻までしか読んでいないので、事の結末は分からないが、もし答えがあるのだとすると とても知りたい。

 

オリジンの中で宗教心のある人と無神論者との対立が描かれているが、欧米でも現在 無神論者が増えているようである。

私も無神論者であるが、アンティーク品を扱っていると聖人像や十字架、宗教画など 宗教に関するものをとても目にすることが多く、とても好きな分野である。

 

日本人は無神論者であるくせに宗教的な商品をなぜ扱うのか?と言われそうですが、それはさておき とりわけ欧米人の中にある” memento mori  メメント・モリ”の考え方にはとても興味がある。

 

memento moriという言葉はラテン語で『死を忘れるな』という意味です。

人間は必ずいつか死ぬ。

それは金持ちであったも貧乏人であっても必ず訪れる。

死にまつわるのもを身近に置くことにより常に死を意識して今日をより良く生きる。

と言った意味合いがある。

 

例えばセザンヌが静物画のモチーフに頭蓋骨を描いているが、memento moriの考えからであろう。

また、家族や大切な人が亡くなったな時、まるで生きているかのような姿を写真に収める死後写真もmemento mori的考えであると思う。

 

 

このような考えはわれわれ日本人には薄い考え方であると思う。

 

なぜこの考え方に惹かれるのかはハッキリと言えないが、私も50も半ばになり その先の”死”を意識しだしているのだろうか?

そして私はどこへ行くのだろうか?

 

 

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ユートピアに潜む秘密の風景

先日 パリで骨董仲間と食事をしようとパリ左岸で待ち合わせることになった。

待ち合わせまでに少し時間があったのでレストランの近くをブラブラしていたら、とある小さな店のショーウインドーに釘付けになった。

そこに並べられていたものは薄い大理石の板である。

もちろんただの大理石の他ではなく、描かれたように様々な風景を顔に持つ美しい石たちである。

 

以前、恵比寿の LIBRAIRIE 6 で開催された『澁澤龍彦没後30年 第一部「石の夢」展』で観てから、いつか手に入れてみたいと思っていた。

 

古物の市場では一度も見ることがなく諦めていたので、見つけた時はショーウインドー越しに興奮した。

しかしあいにくの定休日で、私も帰国の日が間近であったせいもあり、食事中もアパートに帰っても手に入れたくてどうしようもなくなった。

 

帰国に日、開店している事を願い 店に朝一で出向くことにした。

運良く開いていたので、店主に頼み色々と観せてもらい説明を聞くことができた。

店主によるとイタリアのフィレンツェ近郊で採れる大理石を切り出して研磨すると現れる摩訶不思議な石 ”paenine  パエジナ”であることが分かった。

地下深くに潜むロマンですね。

 

店主の説明文を添付しておくと

 

Géographie de l'imaginaire   RÊVES DE PIERRES   (直訳すると 想像力の地理 石の夢)

 

Connus sous le nom de "paesine", les marbres florentins sont des calcairees écocènes dont les blocs,enfouis à fable profondeur,ont été exposés a la lente altération des eaux de ruissellenment qui,chargées d'oxydes de fer et de manganèse,y font naître des décors fantasmagoriques que seule leur coupe révèle.

 

成分は酸化鉄とマンガンを含んだ石灰岩のようです。

 

画像のパエジナは稲妻が光る海岸の風景に見える。

店主曰く、この稲妻部分は”クオーツ”であるという事でした。

 

季節でいうと秋から冬、少し寂しげな海岸線 でしょうか。

 

 

 

もう一点は海沿の岩場と遠くの島 のような風景。

空には雲も感じますね。

 

 

澁澤龍彦氏がマルジナリア の中の『パドヴァの石屋』の中で、旅先の石屋でアンモナイトの化石と一緒にトスカナ石(パエジナ)を買ったという記述があり、澁澤好きの間ではパエジナは有名であろう。

 

そのパエジナの画像は『ドラコニアの地平』で確認することができます。

澁澤氏も旅先で見つけた不思議な石にとても興味を持ったであろうことが見て取れる。

 

また、澁澤氏がマルジナリア の中でジル・ラプージュ著『ユートピアと文明』を紹介しているが、そこに『地上で争いが起こっている土地の下に、もう一つの別の土地がその地質学を繰り広げていて、それがユートピアの土地である』と言う一節がある。

 

詳しくは是非読んで欲しいが、まさにこのパエジナが育った大地はユートピアなのではないだろうか。

 

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梅雨入り

5月の代官山蚤の市、東京蚤の市、パリへの仕入れの旅、6月のさいたま骨董アンティークフェアと、私としてはとてもアクティブな1ヶ月でした。

蚤の市には多くの方の足を運んで頂き、誠にありがとうございました。

 

埼玉から名古屋へ帰り久しぶりに店を開け、展示を直しつつ次のことを考えています。

名古屋も暑くなりアイスコーヒーの季節、また本日 梅雨入りしました。

 

これから7月中旬くらいまでは雨の季節ですね。

雨は嫌いではありませんが、夏好きの私としては青い空が早く見たい。

 

雨に関する歌は結構素敵な歌が多くあります。

ブログでも前にも書きましたが、私の好きな曲は南佳孝『 

Scotch and Rain 』

大人の歌で学生時代から好きでした。

 

 

雨に関するアンティークといえば古い傘でしょうか?

残念ながら私は持っていません。

 

少し前に話題になった手に持たない頭に乗ってる傘は間違っても持ってはいけませんね 笑

 

象徴学事典によると雨は『肉体を開花させる魂の生命力』であり、また『雲が天上から受けて下界に雨を降らすように、霊的な人間は主への畏怖の念に心を揺さぶられると、どっと涙を流す』と涙に喩えている。

 

 

長い梅雨ですので、雨を楽しめる心の余裕が欲しいものですね。

 

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