さろん楓ふなだまほです。
いつも読んでくださって本当にありがとうございます。
今『大往生したければ医療とかかわるな』という
新書がベストセラーになってますよね。
- 大往生したけりゃ医療とかかわるな (幻冬舎新書)/中村 仁一
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本そのものはまだ読んでないのですが、
夫が週刊文春だかの記事をコピーしてきて(なんでだろね)
初めてその本の中身を知りました。
抗がん剤や放射線治療などの延命治療を一切ほどこさない
いわゆる完全放置のがん患者は痛みに苦しむことなく
安らかに死んでゆく、というもの。
この本の存在は知っていましたが、
ちょっと扇動的な書名が嫌悪感があったので
さほど興味を持っていませんでしたが
…これほどの意義ある看取りの実例があったことに驚き、
内容を知ろうとしなかった自分がちょっと恥ずかしくなりました。
この週刊誌の記事で
私は「自然緩和力」という言葉、概念を初めて知りました。
死ぬ間際の飢餓状態、酸欠状態のときは
エンドルフィンという脳内麻薬が出て
実はすごく気持ちのよい状態になっている。
だから自然に迎えるがん患者の最期は
苦しいものではなく、むしろ穏やかな安らかな死であるということを
この本は語っているようです。
でも、なるほど、そうか。
お産のとき、陣痛が1分間隔になってきたとき、
その1分の合間で深~く眠れちゃうあの気持ちよさ。
(すご~く深く眠ったので、どれぐらい寝ていた?と
夫に聞いたら、1分だよと言われて本当に驚いたのです。
あれは忘れられない気持ちよさです。)
あれもエンドルフィンのなせる業だそうですが、
確かに、人体にそんな力が備わっているということ、
ああ、きっとそういうものだろうと漠然と信じられます。
吉本隆明さんの訃報に接して先日書きましたが、
事故に遭って意識を失っているとき
お花畑の道を歩き始めて、
本当に気持ちよかったのですよ。
18年前の3月のことです。
その次の次の瞬間ぐらいに、
ぐいっと何か大きな力に引き戻されて、
意識が戻って身体の重さと痛さを実感したのですが、
極限のときに、そういう気持ちよさが訪れるって
ああきっとそうなんだろうと思う。
☆ ☆ ☆
でもね、何がすごいって、
何に感動したかって、
身体が震えたのは、
そういう死に方をしてくれた方が何人もいたということです。
なぜって、誤解を恐れずに言えば、
認知症のうえにもう手遅れのがんが発覚した。
積極的な治療は望まない、
老人ホームで看取ってくださいと家族が言った。
ある意味、家族から見捨てられたも同然だったから、
そうした最期になったのだと思うのです。
そういう方たちがいたから、
それに著者である中村医師が立ち会ったから、
そのおかげで今、こうしてそれを知ることができた。
もちろん、本一冊が世の中に出るまで、
多くの人の手が関わっているわけですが、
尊い生き様を見せてくれた方たちのおかげに他ならない。
神様って、もう、ものすごい粋な計らいをしてくださいますね。
価値のないいのちなんてない。
きらびやかな大きなつづらと
朽ち果てた小さなつづらがあったら
やっぱりキラキラしたものを選びたくなるけれど。
記録に残る瞬間最大風速と
肌に感じるか感じないぐらいの凪ぎの風。
これはまったく同じ質のものだよと教えてくれている。
真実は今の今はわからないかもしれない。
死ぬときにわかるのかもしれない。
もしくはそのずっと後にわかるのかもしれない。
いろいろあるけれど、
この世はやはり美しくて
「人生は生きるに値する」という
大好きな清水真砂子さんのあの言葉を
やはりかみしめたくなるのです。
今日はもうひとつ、ああ、やっぱり神様って
見ていてくださるんだなって思うことがあって
涙ぽろぽろのふなだまほでした。