わからないまま、ひっかかったままに。 | 大田区鵜の木さろん楓★料理家 印南真帆のブログ「食べることは生きること」

大田区鵜の木さろん楓★料理家 印南真帆のブログ「食べることは生きること」

「食べて元気に、食べて体調がよくなるごはん」を作っています。
銀河弁当・ケータリング・料理教室・食生活相談。

こんばんは。

さろん楓ふなだまほです。

いつもありがとうございます。



書き溜めていた文章に光を当てるシリーズ第2弾^^

小学校の読み聞かせボランティアに想う、です。



昨年12月のこと、
小学校での絵本読み聞かせは5年生でした。



最近は、何年生の担当であっても
昔話を読むとなんとなく腹を決めています。



ぱらぱらめくって…
『炭焼長者』にしました。



炭焼長者/稲田 和子
¥1,575
Amazon.co.jp

これ、いろいろに読める。
年齢を重ねれば重ねるほど
味わい深く読める絵本だと思います。



裏を返すと、1回、さらっと読み聞かせてもらっただけでは
わからない。



私も解説したい想いをぐっとこらえて
ただ絵本を閉じて教室を後にしました。



何でもわかりやすいことが求められる今日。
わからないまま、何かひっかかったまま大人になることって
大切なんじゃないかと思うからです。



「わからないことをわからないままにしておく精神の自由…」
それを教えてくれたのは、児童文学研究者の清水眞砂子さん



目から鱗が落ちるような思いとはこのこと。
ヤラレました。



でも、確かにそうかもしれないと思ったのです。



調べればわかる科学的なことはさておき、
子どもの頃や10代の頃に抱いた疑問、
「それはなんでだろ?」
「どっちがあるべき姿なんだろう?」
「何が人として正しいんだろう?」
というような哲学的な疑問の答えが、
大人になってふとやってくるときがある。



皆さんもそういう経験、あるのではないでしょうか。
そして、それってものすごい感動だったりしますよね。



きっと今の小学生は、
いろいろなものを「わかりやすく」与えられていると思う。



たとえばね、
教科書に載っていた「スーホの白い馬」のお話を聞いて、
そのすぐ次の瞬間に、
馬頭琴の音を聞きましょうというプログラムが
用意されちゃうわけだから。


スーホの白い馬―モンゴル民話 (日本傑作絵本シリーズ)/大塚 勇三
¥1,365
Amazon.co.jp

↑憶えてますか?


だって、あのお話を聞いて
馬頭琴の音ってどんなだろう?って、
ものすごく尊いもの、ピュアなものとして
きっと誰もが想像したと思う。



想像する間もなく音が聞けちゃうのって
いいようで、よくないよな~と感じてしまう
ザ昭和マインドの私です。



仕事をしていても、
「わかりやすさ」のニーズはものすごく高まっていますよね。


実際、自分自身でもよく読めばわかるはずなのに、
ぱっと見てわからないとイラっときてしまったりね。



そして、すぐ疑問、質問、クレーム、お叱りとなったり。
これは、どの仕事、どの業種にもあてはまることで
実は、ユーザーとしての自分が、
仕事をする立場としての自分の絞めている・・・という事実、
あったりしますよね。



わかりたい、
理屈で納得したい、
説得力が必要な時代。



実際のところ「わかった!」という
腑に落ちたあの感覚は素晴らしいわけで、
教える側としたら、
絶対にそっちの手ごたえがあったほうが
教え甲斐がある。



「ああ、そうか、わかった」と
いう反応を引き出したくなるけど、
そこはぐっと我慢。



課外活動の絵本ぐらい、
わからないことはわからないままでOKだよ



実は、そういうメッセージを内包しています。



ひょっとしたら、誰にとっても
何の意味もないかもしれないけれど、
彼ら、彼女らのたった一人の中にでも
何か残ってくれていたら面白いな。
そう思います。



「ひっかかること」
それは実は大切なこと。



祖母の
「どうして今みんな戦争の話をしたがるのかしら?」
という言葉に、私は今「ひっかかって」います。



30年後とかに、何かわかるときがくるかな。
そのとき、私はそれに感動するのだろうか。