空海の両界曼荼羅は宇宙の成り立ちを見える化する挑戦だったんだよね | 山里古民家リトリート 大阪高槻 神峰山の里 ギャラリーねこ福 

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Timeless Comfort ~ 時間が止まる龍宮城 ~
築130年古民家をリノベーション、大地からの贈り物に包まれて内観するための空間をご提供しています。こだわって過ごす交流の場にも。大阪駅・京都駅から1時間、奇跡のアクセスで桃源郷へ♪

ギャラリーねこ福はこんなところ

 

奈良国立博物館に弘法大師のことをもっとよく知りたいなと思って行ってきました。

 

 

今週末9日までです!

いつも終了間近のご案内ですみません

 

 

まずは、

これから訪れる方にオススメすることを手っ取り早くお伝えします。

 

 

*オペラグラスを持っていくとより楽しめます

細密な曼荼羅図を鑑賞するにはあったほうが良い。

なにしろ5m弱四方もある大きな作品。

両界曼荼羅 胎蔵界 久修園院蔵

 

一体一体の仏様それぞれが違った表情をして何をか言わんっとされている。

気になる。だけど視力が…届かない。

あれば楽しみが広がります。

 

それにしても…、

こんなに大きいのに、いたって緻密。いったいどれほどの人が関わってどれくらいの時間を掛けて描き上げられたのだろう。

 

宇宙規模を連想する足掛かりになる気がしました。

 

 

*事前にチケットを購入しておくべし

チケット購入に長蛇の列!昭和な感じ

事前にオンライチケットを是非。

 

 

以上2点♪どうぞ

 

 

 

 

ここからは徒然のレポートを。

 

 

なかなか理解し難き「密教」の世界。これまでも図書館でドサっと本を借りて全集中で“分かろう”と試みたことがあるけれど、未到。

 

今回の展覧会のいちばん素晴らしかったところは「解説」ではないかと。

 

子供に語りかけるように、大人にはもう一歩踏み込んで、かゆい所に手が届く親切さで展示解説がなされてました。

全部読んでたら丸1日必要だったかも

 

 

だけど密教の本質は細かい知識を覚えることじゃないんだよってことも、空海の言葉を借りて、随所に垂れ幕にして掲げられている。

 

「空なるものを表現することは本来できないが、表さなければ伝わらないのでこうしたことをやっている」

 

「密教の全容を言葉では言い尽くせるものではないから、絵にしたり立体にしてみてるんだ」

 

みたいな言葉が天井からぶら下がってる。

 

 

空海のジレンマがひしひしと伝わってくる。

 

 

あぁ…!そうだよね、そういうことだよね。

垂れ幕の補足しかり、子供向けの説明文しかりですごぶる頭の中が整理されました。

 

いかにわかりやすく伝えるかに心を砕いた空海の思いが、そのまま展示構成の工夫になっているというか。

 

 

 

 

会場に入って真っ先に目にするのは5体の大きな如来像を配置した空間

横に並べるのでなく、立体的に配して距離も忠実に寺院での位置関係を再現してあるっぽい。

 

思うに、密教で重要とされるのは物と物の間にできる空間、共鳴、そんなものを感じ取る感性ではないだろか。

そこを伝えるためにはやはり横並びに展示なんて選択はなかったんだろな。

 

 

 

両界曼荼羅には金剛界と胎蔵界がある。なんでや?

 

これもまだ辿り着いてなかった疑問なのだけれど、なんかスッキリした。

なんだ、そんなことだったのか!みたいな

 

世界地図でサクッと説明されると単純明快だった。

マンガってスバラシイ

 

心惹かれるインドネシア文化の世界観は密教が素地だったよう。なるほど

アジア全域あちこちに仏教の名残があるけれど、どうもニュアンスが違うのはそういうことか。とか

 

文字では読んだことがあるはずの内容が、図で提示されて初めて概念として定着した。これも空海密教と相似系…

 

 

 

難しく学ぶためでなく、感じ取りやすくするための教え「密教」。

 

そう割り切ったら更に吸収できる気がしてきて、勢い買ってしまった目録。

 

 

いつページを開くんだろう?時間あるのか?

 

だけど既に満足してる。

 

超ゴージャスな装丁。手触りは高級ブランド品級な質感。

 

表はゴールド、裏はお大師様の筆跡にシルバー

 

思わず抱きしめたくなる、実際に抱きしめてしまったクオリティ。

 

感覚を満足させることも密教の義。

細部にわたって空海の意思に沿ったプロデュースがされてる展覧会だったように感じました。

 

 

 

密教法具もたくさん展示されてたけど、空海が実際に関わっていたとされる物品が放つ空気は抜きん出ていた。

 

 

凛とした真っ直ぐで整った緊張感を放ってる。

1000年を超えて放つオーラ、すばらしき。

 

これを感じるためだけでも訪れる甲斐があるというもの。

 

 

 

空海が師匠から授かったという「諸尊仏龕」。

 

 

日々眺めて布教に勤める…。お大師様の感性の拠り所はこの厨子のなかの世界観だったのかなぁ。

 

 

 

 

国宝、重要文化財がたくさんあったけれど、海外から借用されたものもありました。

 

インドネシアの繊細な装飾を施されたエレガントな仏像群も素敵だったな。

 

これは撮影OKだった中国の宝物「文殊菩薩坐像」

 

 

 

空海の直筆もいくつか。

昨日書いたような保存状態、筆の勢いがすごい

 

 

 

「空海展」だからでしょうか、会場係員さんもいつになく穏やかな対応だったような。

会場にはお大師様の慈愛が満ちていて、“ねばならない”に支配されないやさしさで接してもらえてる感じがした。

 

じっとお大師様の像を見つめる観覧者にさっさと退場願いますと言うのは心が咎めますよね。

 

 

「お大師様は生きている」と言われるのは、こういう現象が起きるからなんだろな。

 

 

 

 

学び多い展覧会でした。

もう密教の考察には迷わないかも。