竹内栖鳳って、日本画界のMADONNAだったんだ 〜ねこ福流美術鑑賞録 | 大阪高槻 昔話の山里にあなたのプライベートシート 古民家ギャラリーねこ福

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ギャラリーねこ福はこんなところ

 

竹内栖鳳展に行ってきました。

会期ギリギリのレポですみません、12/3までです…

 

 

 

 

タイトルが「破壊と創生のエネルギー」。

時流に乗ったコピーだわね。名付けた人は西洋占星術を嗜むのかしらね。。

 

いかにも「今」を言い当てた文言なのに、戦前の日本画家の展覧会に添えられてる。

あんまりピンとこなかった。

 

そもそも竹内栖鳳の作品の良さが解ってない。

やんわり力の抜けたような画風のどこが破壊と創生なんだろか?

そもそも画壇を代表する大家と謳われるのがずっと謎だった。

 

 

だけど…、

 

行ってみて分かった。わたしの頭が古かったってことだ!

 

こと伝統文化に関しては、「こういうものだ」っていう固定観念が何故かことさらに強かった。床の間に飾りたい絵かどうかが判断基準。

伝統文化にはこうあってほしいって願望一辺倒だったことに最近やっと気付きはじめたところだったので、パーンっと目が覚めた。

 

 

あっ!すんごく斬新やったんや。

 

 

で、上手い(=写実)んやんか、むちゃくちゃ。

 

 

なるほど!親しみやすさが喜ばれ評価されたんだわ。

 

古典様式美を一旦外しながらも、日本画ならではの“余白を描く”構図を独自に再構築してるんだ!

 

↑この構図、かっこよし。

 

後で知ったのだけれど、スマホカバーのデザインにもなっているみたい。

主役を一箇所にごちゃっと集めるなんて型破りなことをしておきながら、均整が取れている。動と静、密と疎、色の対比。

完璧な黄金律で時代を経ても人を惹きつけるんだなぁ。

 

 

 

 

晩年はさらに際立って…。

 

 

 

構図の真ん中に豚の群れ♪ お茶目すぎる

 

 

床の間に飾りたいか?を考えなければすごく楽しめる世界が絵の中で広がってるのよ。

 

いろんな表現方法を提示してみせることを楽しんでたんだな、この人は。

日本画のモードを切り拓いていってたんだ。

 

 

ふと、MADONNAの業績と重なってきた。

あの人もポップス界のモード作ってきた人。とにかく今ない音楽や価値観を投入することに着目し業界を牽引してきた人。「新しい」に意味がある。

 

だから、後発でより練られた音楽が生まれてくると色褪せてしまう粗さがあったり、何を目指してるんだろう?って一貫性が振り返ってみると弱かったり。

 

 

竹内栖鳳の画風って一体何?ってのが今までどうも掴めなかったんだけど、そういうことだなと。

 

時代の寵児だったのね。

 

 

 

 

今まで栖鳳の楽しみ方に気付かず損してたなぁ。

 

ショックなことに、10年前にも京都市美術館で竹内栖鳳展に訪れたみたいなんだけど全く記憶がない。当時のパンフレットを見て、行ったことだけ思い出した。

 

何、観とってん…。

 

 

 

この絵、すごく好き。どこかできっと会ってる気がしたのは、きっと10年前の展覧会でのことなんだろな。

 

 

 

時代に呼応して気付ける素地ができたのか、展覧会の企画力のお陰なのか。

もっと自由に日本画を楽しもう♪って転機になりましたよ。

 

この展覧会では作品と下絵を並べて展示されてたりしてたのもフランクな感じ。

さらに一歩日本画が身近に。

 

両方とも重要文化財なんだとか!

 

画家の試行錯誤の過程を知れるのは我ごとのように興味深い。

高島屋とタイアップした商売戦術みたいなのもあったようで、明治の画壇はお商売と切り離せないものだったことを再確認。

 

 

 

写生、下絵に滲む動物の愛くるしさも作品として仕上げるにあたっては抑えられ、品格が優先されるいくことも見て取れました。

 

 

 

 

水墨画も憎い。

 

 

私の愛するターナーやコロー(どちらもねこ福にリトグラフがある)から影響を受けたのだという。

 

うんうん、これなんかそうだよね!

 

 

 

そうか、ほんとならわたし栖鳳さんと好みのツボが合いそうじゃない。

 

「日本画はこうあれねばならない」が邪魔をして素直に楽しめていなかった竹内栖鳳、これからはファンだわ♪

 

わたしだって破壊と創造の星(冥王星)が効いてる鋳型に生まれてる。

もっともっと好きになれそう。

 

 

 

亡くなる年の作品。

それでもまだ水先案内人であろうとされてたんですね!

 

 

大半の写真は借用させてもらいましたm(_ _)m