来月９３歳を迎えるねこ福のおじいちゃん、
先日１０数年ぶりに梅田にお出掛けなさいました。
年々、元気になっていく驚異の年齢の重ね方をなさっていて
‘仙人’の名も決して大げさでない気がしています。
大阪駅が大改装されて『大阪ステーションシティ』がオープンした時、
新聞の見開き大広告をじ〜っと眺めていらっしゃいました。
通い馴れた大阪駅の新しい姿、見てみたいだろうなぁ、驚くだろうなぁって
思い続け、一念発起してやっと実現へと。ずいぶん時間がかかりました。
以前にもトライし、その時は駅に辿り着く前に足がもつれ息が上がってしまって断念。
これでもう山里から出ることはなくなるんだろうと思ってました。
が、おじいちゃんの気力は衰えるどころか、目標はさらに高みへと据え変えられており、
今となっては「梅田」はほんの通過点でしかないのです。
最終目的地は、「あべのハルカス」なのだそうです！！
母の介護外出の経験から車椅子での移動シュミレーションがパパッとできる私、
ハルカスへは車椅子でならなんとか案内できる気がしてます。
おじいちゃんは車椅子を使う気がさらさらないのですが、気力だけで天王寺に行くことは無理なので、
まず梅田探訪をしてご自身の体力を認識してもらう、２段構えの作戦を立てました。
懐かしの大阪駅、さぞ感慨深いかと思いきや大したリアクションもありませんでした。
梅田の寿司は高いと言って、イーレのファミマでタバコだけ買い、
寿司は高槻に戻ってからいつもの駅前スーパーにてご購入。
せっかくの機会だから都会でしかできないこと楽しめばいいのに…
って思うのは、私の価値観の押し付けだなぁって、
シケた行動を後ろからずっと追って付き合うあいだに気がつきました。
この人は、都会のコンビニやレストランを偵察することが楽しいらしい。
それだけで充分にワクワク体験なんだと。
そう思うと、自分も海外に行って一番大切にしていることは、その土地の空気を感じること。
買い物もグルメも大して興味ないよね、『似てるんだこの人と…』なんてことに気がついてしまったり。
相手の歩みに合わせて、いつもと歩調を変えることで見えてくる世界。
これ、介護の醍醐味なんだなぁ。
介護だけでなく、子育てもそうなんじゃないかな。
いくつかプランを用意していたけれど、実現したのは長〜いエスカレータで最上階へ案内したことぐらい。
今日は相手の意向に沿うことに徹すると腹をくくって出かけたものの、
究極につまらなくて、でもそれも通り越してクスクス笑えてきて。
新鮮な体験でした…。
しかし、しょっちゅうはしたくないかな。
で、
帰り際、大阪駅に向かう途中で聞いてみた。
「でや？ハルカスへは車椅子があった方がええやろ？」
素直に、「せやな。」という返事が返ってきた。
説得に手間暇のかかるおじいちゃんの攻略法、私は母より心得ているようです。
寝たきりの母には身を削ってつきっきりのお世話をしたけれど、
この父親のことは可能な限り放任して付き合っています。
そうすることが自分の精神衛生上も、ご本人の心の有り様にも一番良いと思っているので。
それを汲み取って間に入ってくださるホームヘルパーさんや訪問鍼灸師さんがうまく取りもってくださっているので、ねこ福家の裏舞台が円滑に流れているのだと感謝しています。
父親にはお世話らしいお世話をしていないけれど、これも介護の形なんじゃないかと思います。
結果、ご本人がどんどんと生きる気力をみなぎらせてきているから。
一口に介護といってもいろいろな物語がありますよね。
11月11日「介護の日」は介護にまつわるイベントを開催します。
介護についてご一緒に語りましょう。
会のメンバーさんが作ってくださったチラシです。
お申し込みはこちらから
来月、あべのハルカスで開催中の「HOKUSAI」浮世絵展に車椅子を押して出掛けるミッションが控えています。頑張る〜。