THE LAST DIVIDED CAPITAL | 学生団体S.A.L. Official blog

学生団体S.A.L. Official blog

慶應義塾大学公認の国際協力団体S.A.L.の公式ブログです。



この日は朝からみんな緊張していた。
イスタンブールから空路を使ってキプロス島の北に入る。
それからニコシアで、グリーンラインと呼ばれる南北キプロスの境界線を南へと超える日だ。
ニコシアはキプロス共和国の首都だが、キプロス島を南北に分断するグリーンラインはその街の真ん中を通っている。

北キプロスに降り立ってから境界線付近に到着するまで、タクシーの窓からほとんど廃墟のような家や、工事中のまま放置された建物がまばらにある、人のいない荒地を見た。
トルコ国旗と、北キプロス・トルコ共和国の国旗が大きく描かれている山も見える。

境界線を超えるのは簡単だった。
銃を持った兵士の絵と撮影禁止のマークが描かれた看板にびくびくしながら、小さな窓口に恐る恐るパスポートを差し出したけれど、おじさんは私達をすんなり通してくれた。
それは本当に思っていたよりずっと簡単すぎて、自分が一体いつどこでその境界線をまたいだのか分からないくらいだ。
こんなもんかぁ、と半分拍子抜けする。

それでも、南キプロスに入ればメインストリートにはマクドナルドがある、スターバックスがある、ケンタッキーもある。なんでもある。一歩裏道に入ればれんが造りの美しい路地がある。

その日泊まったホテルも、小さな共同キッチンのあるかわいいホテルで、狭い階段を1番上まであがると、れんが造りの屋上があった。

その屋上からも、あの山ははっきりと見えた。そこに描かれた赤と白の旗も。

ここは紛れもなく、“THE LAST DIVIDED CAPITAL”だ。


かくして、世界最後の分断された首都ニコシアから、謎がいっぱいのキプロス島を巡る旅が始まった。

photo:01




【文責 マネジメント局2年 湯本愛】