アイデンティティ | 学生団体S.A.L. Official blog

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 イスラエルのイェルサレムからバスで約1時間の場所を訪れた。そこは、パレスチナ。正式にはパレスチナ自治区である。


 バスの窓を覗いていると、先進国特有の街並みから一気にヨルダンのような街並みに変わった。まるでイスラエルの新市街から旧市街へと入っていくような印象を受けた。


 パレスチナの大学でメディア学を専攻する学生たちと交流をした。そこで彼らにイスラエルのことを聞いた。彼らから熱い感情を伴った意見が返ってきた。中でも印象的だったのが、「突然人が降って、そのまま居座った」というイスラエルのイメージである。


 例えば、自分の家に帰ってきたら、見ず知らずの人が何事もなく暮らしている。挙句には、「ここは俺の家だ、出ていけ」と言われる。これが現実に起こったのである。


 また、自国のことについて、現地の子どもたちにどう教育しているのかと尋ねた。教科書を読んで自分たちの国を学んでいくそうだ。ただ、イスラエルの「検閲」が済んだものを通じて。


 「検閲」という言葉は、歴史の教科書に出てくる「死語」だと私は思っていた。しかし、その死語が実際にパレスチナで起こっている。パレスチナとイスラエルの間にある溝を垣間見た気がした。

 
 学生たちとの交流を終えた後、現地の学生が、パレスチナの市街地を案内してくれた。そこの広場の中心に、大きな塔があり、旗とお人形が垂れ下がっていた。遠くから見ると、お人形が本物の人の姿に見えた。


 そのお人形について聞こうと近くの現地の人に声をかけた。「あれは何?」と。「あれがパレスチナだ」と言った。旗に指を指していた。ニコニコしていた表情が、いつの間にかに真顔になっていた。


 しばしば日本では、国旗を掲げることに抵抗があるように思われる。「右翼思想だ、戦前教育の賜物だ」と。


 しかし、パレスチナやイスラエル、その他の国でも街中に大きくそびえたつ国旗を見かけることがある。もしかしたら自分たちのアイデンティティを確認、象徴するものは「国旗」なのかもしれない。



【文責:渉外局2年白須弾】