チョコラのこと | 学生団体S.A.L. Official blog

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慶應義塾大学公認の国際協力団体S.A.L.の公式ブログです。

こんにちは。
しだいに外も暖かくなってきましたが、いかがお過ごしですか?



さて、私は先日、ケニアのストリートチルドレンを題材にした

『チョコラ』

というドキュメンタリーを見ました。
学校の図書館で本当にたまたま手にしたDVDです。

今、見終わったあとの私の中に、
いくつかのシーンがまだ心に残っているのでブログに書くことにします。

ところで、この映画には直接関係ありませんが、
ストリートチルドレン、という言葉をいつも使う事は、
本当は良くないのかも知れないと考えるようになりました。

なぜなら、路上生活しているコドモの印象が画一化されて、
どの国にいるストリートチルドレンもひとくくりにしてしまうと思うからです。

インドにはインドのストリートチルドレンが、
ケニアにはケニアのストリートチルドレンがいるでしょう。
そこには異なった問題とコンテキストがあるに違いありません。

このようなステレオタイプを生み出す言葉はたくさんありますが、
その場合に沿った言葉をなるべく使うべきでしょう。

 ですから、ここでは、彼らを
「チョコラ」
と特定した名で呼びます。
チョコラというのはケニアのスワヒリ語では「拾う」という意味で、
彼らが空き缶や鉄くずを拾い、売って生活している事から、こう呼ばれています。

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私が今思い出しているシーンは、軒下で眠っていた13歳くらいの子どもが、
朝になって、目をこすりながらとてもキレイとは言えないような袋の中から這い出てくる様子です。

これから彼らは仕事をしに行きます。
慣れてくると、チョコラはその日一日の食料には困らないくらいに、
たくさんの缶や鉄くずを集めることができます。

拾う仕事が終わると、物乞いをします。
人でごった返すバスターミナルで、大人につきまとって、お金を乞います。
いくらかもらった子どもはとても嬉しそうな顔をしています。

 

 次に、子どもたちの中では皆に慕われている、
アンドリューという12歳くらいの男の子が
シンナーが入った瓶を口にくわえているシーンを思い出しています。
アンドリューは少し前から、シンナー中毒になってしまいました。

ストリートにいる子どもを保護している、NGOのスタッフがシンナーを取り上げると、
泣きながらシンナーを返してと叫びます。

アンドリューはもともと比較的裕福な家庭に育ち、
学校に行くチャンスも持っていました。
しかし、ある日家を出て、チョコラになりました。理由は彼の父親にも分かりません。

 

 最後に、子どもたちが夕食のご飯を作るシーンです。
出来上がったアツアツのご飯を分けるお皿はありませんから、熱いご飯を素手で、
しかも早い者勝ちのような格好で食べます。

 すると突然、子どものうちの一人、リチャードが、
ご飯の入ったバケツを突然奪い取って独り占めしてしまいました。
本来ならばけんかが始まろうかという状況ですが、
リチャード以外の子ども達は、実際には笑いながら彼を諌めています。
 
 どこからともなく、誰かがリズムを刻み始めました。
皆が歌いながら楽しそうに踊り始めます。
夜の街は静かですが、そこだけは活気に満ちています。
彼らの踊る姿は大変美しいものがあります。
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率直に言って、見終わったあと、
私はこの生活を少しばかりうらやましく感じてしまいました。
こんな事を言っていいのか分かりませんが、
私の感情を素直に述べるとこういう事になります。

 ストリートで生きる事は、健康面でも、治安の面でも、子どもの将来にとっても、
正しいことでは決してなく、警察に捕まる事すらあります。

 しかし、彼らのたくましさや楽しさを求める姿を見ると、
私に欠けているものを彼らが持っているような気がしたのです。



 S.A.L.の活動は国際問題の啓発ですが、
「ただ問題がそこにあって困る、解決しよう」ということだけを啓発したくはありません。

問題はそこまで単純じゃないし、
その状況下でも活発に生きる人々がいます。

貧困という問題があっても、そこにいる人のことや、
私たちにはない魅力とか、かっこよさ、悩み、
そういうものも、+αとして、抱えている問題と同時に伝えていきたいのです。


今年もたくさんのイベントや企画を通して国際問題(と、+α)を発信していきます。
S.A.L.をどうぞよろしくお願いします。

【文責:広報局2年 鶴原頌太郎】


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