こんにちは!総合政策学部1年の飯野僚子です。
突然ですが、皆さんは「メキシコ」と聞くと、どんなことを想像しますか?
私の場合、ナチョスとビールを抱えて野球観戦を楽しんでいる、
恰幅のよい陽気そうなおじさんをまず想像します。
明るく陽気な人が多い、活気のある国というイメージです。
みなさんもメキシコに対しては、どちらかというと良いイメージを持っている人が多いと思います。
さて、先日、NATIONAL GEOGRAPHICという雑誌で、ある特集記事に出会いました。
「メキシコの麻薬聖人」
「麻薬」と「聖人」の組み合わせってとても不思議ですよね?
それに、私はメキシコに対して良いイメージしか持っていなかったので、衝撃を受けてしまいました。
すぐにそのページを開いてみると、
そこには鎌を持ったローブ姿の骸骨にキスをする若者の写真が…。
なんだか不気味な光景で、今思い出しても鳥肌が立ちます。
そのキスをされていた、死神のような容姿の「彼女」は、
「サンタ・ムエルテ(死の聖人)」と呼ばれるカルト信仰の聖人で、
最近信者を増やしている守護聖人の一人なのだそうです。
干ばつ、新型インフルエンザの流行による観光産業への大打撃、主要な輸出品である石油資源の枯渇、深刻な経済危機、そして何よりも麻薬ビジネスがもたらす災厄と、陰惨で悪名高い暴力犯罪。
メキシコは最近、様々な困難に苦しめられています。
なかでも、「カルテル」と呼ばれる麻薬密売組織が関与する殺人事件は、
身の毛もよだつほど酷いもので、事実上無法状態が続き、
メキシコの人々の恐怖心を煽っています。
(昨年の麻薬がらみの殺人事件は、一つの町のなかだけでも、2600人以上の犠牲者を出したそうです。)
このような死と隣り合わせの日常を救ってもらいたい、という人々の願いから、
サンタ・ムエルテは多くの信仰を集めるようになりました。
でも、なんで死神にお祈りするの?
そう思う人はたくさんいると思います。
実は、サンタ・ムエルテのような絶望を表す守護聖人は、
「麻薬聖人」として麻薬密売人によっても信仰されているのです。
警察官や政治家が、麻薬密売組織に買収されるという問題もあり、
メキシコの人々に唯一できるのが、「これ以上苦しめないでください。」と、麻薬聖人に身の安全をお願いすることなのです。
私はこの記事を読んで、メキシコの人々の心にある、暗い部分に触れてしまった気がして、なんともいえない気持ちになりました。
それと同時に、このことを知っている人はどのくらいいるのだろう、と疑問に思いました。
ニュースや新聞を見ていると、世界中のことを知ったつもりになってしまいますが、
まだまだ知るべきなのに、知らない問題はあるんですよね。
この麻薬問題自体を解決することは、学生の私には不可能です。
それでも、問題を知った以上、現状をもっと学び、人々に知らせなければいけないと感じました。
これからSALの活動に本格的に参加するわけですが、
知ったことは知ったままにしない。
「かわいそう…」で終わらせない。
このことを常に意識していきたいと思いました。
参考文献:NATIONAL GEOGRAPHIC 2010年5月号p130~p149