ごきげんよう、ざらめの雨です。
金曜日更新にしました。
今回はゆる言語学ラジオの話。
インプット奴隷合宿で、古典的名著を読んで語る回。
場所は酸ヶ湯温泉だそうです。
Wikipediaによると、
「青森県青森市南部にある八甲田山系の火山起源の温泉」
とのこと。
Wikipedia「酸ヶ湯温泉」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%85%B8%E3%83%B6%E6%B9%AF
動画タイトルでは「古典的名著を語る回」と言いつつ、
水野さんの本『会話の0.2秒を言語学する』を成功事例として、
そのフォーマットを使いまわした新著執筆を堀元さんに書かせようという企画会議の話でした。
●『利己的な遺伝子』の内容、ホントに知ってる? 古典的名著を語る回。
2025/11/18 配信
最初に、私がTHE水野さんだと思った箇所をピックアップ。
45:53
僕は、あの本って『あ、ここ面白い』って思った感動を、極力瑞々しく再現するっていうことを狙って、それを知らなかった自分が1 番伝わるようにそれを書いたという感じ
50:32
クリックの0.2 秒を調べ上げたら、何にどういう風に堀さんが変わるんだろうね。
さらっと言っていますが、こういう部分コアにつながっている感じがします。
「自分が変わる」という体験にこだわり続け、それを中心(コア)にしている男。
私の中では水野さんはそんなイメージでございます。
水野さんが堀元さんに質問をするたびに本のイメージや内容が深まっていくのは興味深くて、ここだけでもかなり見ごたえあると思います。
企画会議って面白いよね。
マクルーハンのたとえ話が下手過ぎ問題
前半、マクルーハンの名著『メディア論』の話。
これ、めっちゃおもしろくて。
<15分あたり>
堀元さん:
ここで書かれてるチェアとカウチの違いについての説明がね、すごい分かりやすいから皆さんに紹介しておきたいんですけど
「人間の拡張として見れば、チェアは専門家風に臀部を奪い取ったもの。」
「言うならば尻の絶対奪格である。」
水野さん:(困惑)
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
----------------
えぇと、何を言っているのか実は最後までわかりません。
「絶対奪格」自体はラテン語の文法用語だそうです。
あとでコメント欄の賢い人の解説を抜粋します。
----------------
で、この「尻の絶対奪格」という話が最終的に、
<35分あたり>
水野さん:要はだって、
何かと接触してたらその部位の絶対奪格って言えるんだもんね。
堀元さん:多分。
水野さん:だからコップは唇の絶対奪格ってことですよね。
堀元さん:うん。多分そうですね。そうそうそうそう。
だし、専門家風に唇を奪っているわけですよね
水野さん:(笑)え。これ唇奪われてんの?
専門家風にキスしてんの?
堀元さん: そう、キスの専門家に唇奪われてんの。
水野さん:え、コップって?
堀元さん: コップって多分。
水野さん:そうだったの?
堀元さん: 多分。ええ。
だからコップ@キスの専門家っていうTwitterアカウントがあるでしょうね。
----------------
いや、もう意味が分からないのよ。
どうして『メディア論』に出てきた「尻の絶対奪格」という謎ワードから、「コップ@キスの専門家」っていう変なナンパ師みたいなのが生まれてるのよ。
賢い×おバカ→笑いの怪物誕生
みたいな感じなのよ。
奇跡を見ちゃったね![]()
「唇を奪う」という言葉(日本語)が、
たまたま「キスをする」という意味だった。
だから、こういう面白い展開がありえたんだよね。
もし「唇を奪う」が、たとえば、
「言葉を奪う」とか「言論統制する」とか(※)
そういう意味だったら、こういう面白い話には
・・・たぶん、なっていないよね?
これがこの番組の真骨頂。
ライブで友達と話すってことの
面白味みたいなものなんだろうね。
なお、この話が面白すぎたので水野さんプレゼンツの『利己的な遺伝子』のくだりは割愛します。
気になる方は動画をご覧ください♪
結局、尻の絶対奪格って何よ?
ということで、コメント欄から言及しているものを抜粋。
全部は回収できてないと思う。
なお、ChatGPTに解説してもらったものをそのまま貼っている人が2名以上確認されましたが、それらは省略しています。
生成AIによる解説は、各自でお試しください。
*:;;;;;;:*:;;;;;;:*:;;;;;;;:*:;;;;;;:*:;;;;;;;:*:;;;;;;:*:;;;;;;;:*
@legleg3172
「尻の絶対奪格」ってつまりは、例えばソファーに座っている人間の行動に「ソファーに座っているから」という理由がくっ付けられるって事じゃないかな?
「ソファーに座っているから眠くなる」「ソファーに座っているからスマホを触る」とか。
「ソファーに座っているから」という言葉そのものがソファーのメディアとしての性質である、という事だと思う。
@りとる-d9h
尻の絶対奪格、個人的にはめちゃくちゃわかりやすい例えだと思いました。
chairが、尻とそれを伴う人のあるがままの姿(品詞)にかかわらず、論理的に固い思考をせねばならないという状態(別の品詞)へと“奪格”してしまうということではないでしょうか。
chairに座ることで人は合理的な思考する様になり、sofaに座ることで人は合理的に考えることをやめる。
椅子が人の行動を変えるmediaだということを表現したいがための一節だと感じます。
@nandemotsukuruyo
「尻の絶対奪格」をチャッピーと議論した結果、
尻をもがれてるというより尻に挿入されるというニュアンスだった。
奪格=ラテン語の名詞の格の一つでもう少し直感的に命名すると「状況格」。
絶対奪格=奪格の節を接続詞なしでインサートしてポン付けできる表現「母親激怒、私はバイトした。」
「専門家風に臀部を奪い取ったもの」=チェアに尻をインサートしてるのに、人格主導権を奪われて、チェアから専門家風人格をインサートされてる。
「尻の絶対奪格」=尻にはメディアをインサートして人格・文化を拡張するモジュール性がある。
@masayasuyamamoto571
「専門家風に」というのは、訳が良くないのではないか? 立場が上である人が権威を行使してという意味ではないか。
「尻を奪い取ったもの」相手の臀部から相手をコントロールするモノとしての椅子を言っているのでは。
西洋の椅子は、エジプトのスローンから始まり権威の象徴として長い歴史があります。つまり、椅子に座ることができること自体が権威の象徴だったわけです。先に座っている人が相手に座る事を許可すること自体がその場での力を意味します。
また、相手に椅子を勧めることによって、場の関係性を戦略的に操作することもできます。例えば、重役室で窓を背にした重役が訪問者を窓に向かって座らせることによって、逆光で自分の表情を見えづらくし、反対に重役は順光で訪問者の表情がよく見えるようにすることもよくやることです。また、店舗設計などで椅子を座りづらくしてお店の回転率をあげることもあります。
イスという「カテゴリー」がメディアなのだと言っているのでは。
@あさくらばねじん-y3d
お尻の 機能を チェアーが 奪って、その結果「座り方」「座って 休むか? 仕事するか?」が 変わった と いう意味 なんだろう けど…、マクルーハン 言語脳じゃ ないよね。
@shrapnelnahum4430
趣味でラテン語を勉強している者です。尻の絶対奪格について真面目に考えてみます。
絶対奪格は「絶対奪格の意味上の主語と主文の主語が一致しない」という原則があります。なので今回のケースだと、「Aさんがチェアに座ったので、Aさんの行動が変わった」という文では絶対奪格を使うとは考えづらいです。文脈を汲んで考えると、「Aさんの尻がチェアに座ったので、Aさんの行動が変わった」という文にするのが妥当でしょう。「Aさんの尻がチェアに座った」という部分が絶対奪格になり、「Aさんの行動が変わった」という主文の原因を示します。
絶対奪格は主文から独立しているという性質があるので、比喩的にこの文を解釈すればAさんの尻がAさんから独立していると言えます。言い換えれば、Aさんの尻はAさんから奪い取られているわけです。尻の絶対奪格という表現はこの状態を指しているのでしょう。また、これは「チェアは専門家風に臀部を奪い取ったもの」という表現の言い換えとして成り立つといっても過言ではないかもしれません。
(頑張って肯定してみましたが、正直動画を見た限りだとそこまで深い意味があるとは考えづらいです。ablate(奪う)にablative(奪格)をかけた冗談ではないかと思います。)
*:;;;;;;:*:;;;;;;:*:;;;;;;;:*:;;;;;;:*:;;;;;;;:*:;;;;;;:*:;;;;;;;:*
みなさんは、お分かりいただけましたでしょうか。
私は、なんとなくわかりました。
こうして見ると高等なジョークですね。
いや、やっぱりわからないかも……。
マクルーハン難しすぎない?!
完全に余談ですが、ときどきコメント欄にいる「水野さん大好きな人」が気になってしまいます。
浴衣はだけててほしかった的な書き込みをみちゃったんだよね。
なんか、すごいね。ひっそり応援しちゃう。
----------------
(※)「唇を奪う」という表現について
あがた森魚の「いとしの第六惑星」という歌の中に
「唇を奪う」という言葉が出てきます。
それを思い出しました。
♪かえりたくない かえりたくない
君の唇奪うことばをしゃべるとこへは
かえりたくない かえりたくない
ここでは、「唇を奪う」のは「ことば」となっているので、
キスをするという意味ではなく、「無駄話を余儀なくされる」
みたいな意味なんじゃないかと思ってみたり。
「かえりたくない」と繰り返す場所には、
「同じことばをしゃべるとこ」「こんな美し処」
という言葉も出てきます。
とても難解ですが、ロマンティックな雰囲気が素敵な曲です。
歌い込まれた地名を見ると、その場所は田舎なのかなと想像します。あるいは反対に東京か。
難しいですね。。。
聞いたことがない方は一度ぜひ。
動画に出てきた本のまとめ
今回の動画に出てきた本についてはこちら↓。
ついでに、温泉の情報も↓
温泉行きたいなぁ。
では、今日はここまで。
またお会いしましょう♪
素敵な一日になりますように(*^^*)
☆ゆる言語学ラジオ(公式YouTubeチャンネル)
☆ゆる言語学ラジオ(公式Spotify;ポットキャスト)







