こどものケンカ | 営業は科学だ!  Welcome to the Science of Sales

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3K(勘、経験、気合)で語られる営業ではなく理論的に体系だった手法により、第一線のセールスのスキル向上とともに適切な部下の指導や業績管理を行い会社に貢献できる管理職、経営者の一助となる。

営業にとってコミュニケーションの技術は非常に重要です。特に敵対する関係の人とのコミュニケーションには神経を使います。
ニュースなどを見ていても、コミュニケーションの取り方に関心が行きます。
そんな中で最近「え?こどものケンカ?」と思うような話題に出会いました。

一つは二週間ほど前になりますか、橋下大阪市長と在特会の桜井会長との面談。
もう一つはノーベル賞受賞の中村教授がかつて特許権で争った元勤務先の日亜化学工業に仲直りを申し入れたが断られた件。

一つ目の橋下大阪市長と在特会の桜井会長との面談ですが、ご覧になった方もいるかと思います。

「お前な」「お前って言うなよ!」「うるせえ、お前、お前だよ」

こどものケンカと言わずして一体何と言えばいいのでしょうか。
ネットでの反応では4割が論評に値しないとなっているそうです。

以前「ディベートは武道である」(2014-05-05)と書きました。

一部を引用してみます。
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ディベートを勉強することは悪いことではないと思います。論理的な思考を身につけ論理の欠陥を見破ることが出来るようになります。しかし日常生活では使わないように心掛けることを強くお勧めします。
しかし、武道と同じで少しかじった人間ほど喧嘩に使いたくなるようです。そして生兵法は怪我の元と言いますが、逆にやっつけられたりします。また勝ったとしても無事ではすみませんし、遺恨を残します。
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橋下さんは元々コミュニケーションがディベート的で相手を論破しようとします。
しかし今回は、怒鳴り合いなどは論外ですが、それを差し引いてもディベートととても呼べるものではありません。
ディベートは基本的に事実を提示しそれを基に論理を展開することが必要です。
残念ながら何ら事実を提示せずに、また論理的な展開も行わずに、「黙れ」だとか「大阪から出て行け」と言っているのはディベートではありません。
逆に桜井会長にその点を突かれていました。
私は在特会に賛同しませんが、もしディベートして採点するなら、低レベルの戦いとは言え橋下さんの負けと言えます。
上にも「生兵法は怪我の元」と書きましたが、まさにその通りで、失礼ながら橋下さんにはディベートの能力はないと言わざるを得ません。しかもそれが満天下に暴露されてしまいました。
刀を抜いてはみたものの錆びていて全く切れなかったという感じですね。

一体この会談の目的は何だったのでしょうか。
橋下さんにとっては政治家として、ヘイトスピーチをやめさせることなのではなかったのでしょうか。その目的に対しては何の進展もありませんでした。
逆に在特会にとっては、自分たちの存在を社会に認知させることが目的でしょう。それについては彼らは成功したのではないでしょうか。

コミュニケーションするにあたっては目的をよくわきまえて適切な方法を事前によく考えて準備することは重要です。
すなわちディベートなのかネゴシエーションなのかディスカッションなのかアサーションなのかを検討しなくてはいけません。(参照 2014-05-01 意見の異なる人とのコミュニケーション

今回の橋下さんは明らかに準備不足でした。相手を下に見ていたのでしょう。傲慢は禁物です。
また、ディベート的なコミュニケーション手法しか持たない限界も露呈してしまいました。

ところで橋下さんの著書を調べていましたら「心理戦で負けない交渉術」というのがありました。
その目次を見ると第二章のタイトルは「相手をいいくるめる詭弁の極意」とあります。

私が最も嫌いなのは詭弁で相手をいいくるめることです。
言いくるめるようなことをしていれば信用を失います。
営業はそのようなことを絶対行ってはいけません。
(政治家ならいいと言っているわけでもありません。)