大規模なプロジェクトを管理する手法の一つにPERT(Project Evaluation and Review Techinique)というものがあります。
数十年前から使われている手法なのでご存知の方も多いかもしれません。
実はこの手法は営業はもとより色々な活動を効率的に行うのに役に立ちます。
本格的に利用するにはネットワーク図といったものを作ったりして結構厳密なのですが、その考え方だけを借用するだけでもかなりの効果があります。
細かい点はさておいて、簡単に言うと以下の三つを明確にすることです。
① 一つの活動を見た時にそれの前提となる活動はどれか
② 前後関係のある活動でなければできるだけ同時並行処理できないかを考える
③ 活動の見込み時間を決める
まずは前回例に出した料理で考えてみましょう。
お湯が沸く間じっと待っているのは無駄なことはおわかりでしょう。
料理はお湯を沸かす以外に、材料を切るなどの活動もあります。
材料を切る活動の前提となる活動は何でしょうか(上記①)。お湯を沸かすのは前提にはなりませんよね。
ではお湯を沸かすことと材料を切ることを同時並行でできないか考えてみます(上記②)。どうやらできそうですね。
お湯を沸かすのに何分かかるでしょうか。材料を切るのに何分かかるでしょうか(上記③)。これを推測します。
どちらも5分かかるとします。それならば湯を沸かすためにコンロに火をつけたら直ちに材料を切りにかかります。
お湯が3分、材料を切るのが5分とします。それならばまず材料を切りにかかり、2分後にコンロに火をつけます。すると2つの活動は同時に終わります。
お湯が5分、材料を切るのが3分とします。それならばまずコンロに火をつけ、それからおもむろに2分以内に材料を切り始めればいいのです。
材料を切ってからお湯を沸かす、あるいはお湯を沸かしてから材料を切ると8分はかかりますが、これならば5分で済みます。
前回もうひとつ挙げた例、営業のアポ取りの話です。
アポを取るのと価格見積もりを作るのにどちらかがどちらかの前提条件になりますか。
どちらもそれぞれの前提にはなりません。
価格見積もりを提出するには見積もりを作る作業は前提となります。しかしアポを取るのには前提となりません。
お客様にお会いして見積もりをお出しするお話になった時に、アポを取る活動と見積もりを作る活動のどちらもその時点で始めることが可能なのです。ですから同時並行処理をするようにしましょう。
そこで大事なのが上記③の活動の見込み時間です。見積もりを作るのにどの程度の日数がかかるかを推定しておかなくてはいけません。もし3日かかるのであればアポは3日後以降、1週間かかるのであれば1週間後以降としてアポを取ればよいのです。
前回書いたように見積もりが出来てからアポを取っていては3日あるいは1週間がすぐ無駄になってしまいます。
しなければならない活動をリストアップして、更に上に書いた3点を明確にしてみてください。
活動項目をリストアップしていわゆる To Do List を作る人は多くいますが、それでは備忘録にすぎません。効率的な段取りをするにはもうひと手間必要です。
PERTをもっと勉強したい方はこの本をお勧めします。
もう50年ほど前の本ですが、今でもこれが一番分かりやすいと思います。好評なのでしょうか、増刷をくりかえして2013年に第76刷が出ています。
加藤 昭吉 著 「計画の科学 どこでも使えるPERT-CPM」 講談社ブルーバックス 1965年