最近は「クレーマー」という言葉も市民権を得ているという気がします。
お客様という立場に立って権利を最大限あるいは不条理に主張する人々ですね。
確かに以前よりは増えてきているのではないかと思います。
アメリカなどでは信じられない話が起こっていると耳にします。
自分が太って病気になったのはジャンクフードのせいだからとファーストフード点を訴えたり。
濡れた猫を電子レンジで乾かそうとしたら猫が死んでしまった。説明書には「猫を乾かしていけない」と書いていなかったから製造者責任だと訴えたりだとか。
マクドナルドでコーヒーをこぼして火傷をしたのはマクドナルドのコーヒーが熱すぎるからだと訴えたり。
失礼ながら常軌を逸しているとしか思えないような話を耳にします。
たしかにこれらは異常だと思います。
こういった訴えに対して法的武装は必要だと思います。
しかし昨今、過剰に反応しているのではないかという気もしてきます。
お客様がが苦情を言ってくれば、それをクレーマーとして法的に落ち度のない防御姿勢に入ることを優先して、お客様に適切な対応をとろうとしていないと感じるケースが見受けられます。
以前の経験です。私の息子が就職して家を出ました。そこで金融機関に住所変更の手続きをしようとしました。息子は新人研修などで平日に窓口へ行くのはもちろん電話をすることも難しい状況です。それで私が代わって電話をしてみました。
一つ目の金融機関は本人からの電話でないと書類も送れないと言います。何か方法はないですかと訊ねると電話口の女性は上司であるサービス課長に変わりました。彼は、「当社の営業時間にご本人から電話をください。」の一点張りです。それを何か方法はないかと相談しているのですが、挙句の果ては「電話できるはずです。昼休みでも何でもあるはずです。」と高飛車な回答です。
もう一つの金融機関は電話口の女性が「ご本人が窓口に来ていただかないと」と同じように言います。状況を話しすと彼女は親身に相談にのってくれて、土曜日も手続きが出来る支店が私の家の近くにあることを見つけてくれました。
別にクレームを言っているわけでなく相談しているだけです。
一つ目の金融機関のサービス課長はクレーマーを一人処理したと思っているかもしれません。しかし彼は顧客を一人失うということを分かっていません。
金融機関は金利などもほとんど変わりません。このような対応だけで顧客は離れていきます。私も一つ目の金融機関の口座は解約しました。
苦情ではなく相談しているだけのお客様をクレーマーと決めつけて対応することによってお客様を失う企業もあれば、相談に適切に対応することによってファンを増やす企業もあります。これは統計などに出ないだけに見過ごされているように思います。
私がいつもお勧めするデール・カーネギーの「人を動かす」にも一番最初に「盗人にも五分の理を認める」とあります。
お客様の苦情を過剰防衛してクレーマーとみなし「ディベート的発想」で打ち破ることはとても危険なことです。
逆に苦情を頂いている状態は上手に対処すればファンになっていただけるチャンスです。
ここが上司なり管理職の腕の見せ所だと思います。