友人から預かっていた柴犬が帰っていった。

ちょうど一週間。
娘はかなり可愛がっていたので、泣いてしまうのではと思ったら、それほどでもなく静かにお見送りをした。でも、やはり、分かっているとはいえ、寂しかったのだろう。玄関から見送ったあと、僕の胸に顔を埋めてきた。

多分耐えていたのだろう。

そのすぐ後自分も仕事で家を出なければならず、出ていこうとした時に、こらえていたものが決壊するかのように、ぽろぽろと涙を流して泣きだした。大きな声で。

柴犬と別れ、僕もいなくなることで一気に喪失感が増したのかもしれない。

妻となんとかなだめ、後ろ髪えを引かれながら家を出たのだった。

井伏鱒二ではないけれど、さよならだけが人生だ。

この悲しみの中に、生きるということの尊さがつまっている。